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23話
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鶴橋のように何も話してもらえないかと思いきや、意外とすんなり答えてくれた。
まず聞いたのは目的だ。
だが、以前も言った通り、俺が目的だと言う。
『あんたを穢したいって奴は意外と多いぞ?』
ニヤニヤとした顔でそう言われ、なぜか佐原が怒ったような顔で一歩前に出たので手で制した。
「他の奴らもそうなのか?」
『そ。あの人間たちは知らないけどね』
顎で示した先には佐原が伸した男が三人いる。
影山には報告したので、すぐに誰かが回収に来てくれるだろう。
「なぜ協力を?今までまとまって行動なんてしなかっただろ」
『俺も別に好き好んで一緒に行動したわけじゃないよ?ただその方が成功率上がるっていうし、面倒なマッチングは全部あいつがやってくれたしそれならいいかなぁって』
「あいつ...?」
『いっとくけど名前なんて知らないよ。知ってるのは人間の男で、顔はまあまあ綺麗だけどあんたよりは劣るってことくらいかな』
「そいつが幽霊をまとめ上げてたのか?」
『まとめ上げるなんてたいそうな事はしてないと思うよ。あんたに用のある奴ばっか集めてたし』
「俺に....?」
『そうとう執着されてるみたいだけど心当たりないの?』
心当たり.....。あるといえばあるが.....。
隣をちら、と見ると佐原は目を見開き、慌てて首を横に振った。
「俺じゃないですよ!?」
「わ、わかってるよ」
いや、俺だって本気で疑ってたわけじゃないぞ?ただ、可能性はなくはないかな、と思っただけで。
しゅんとしてしまった佐原を見ると罪悪感が湧いてくる。
「わ、悪い...。けど、俺だって本気でそう思ったわけじゃ....」
「俺は、姫崎さんに顔向けできなくなるようなことはしませんよ」
きっぱりと言われ、返答に困る。
わ、悪かったって...、ともう一度謝れば、『なにイチャついてんだよ』と男に言われた。
「は!?んなことしてないだろ!」
『えー、自覚ないの?』
自覚!?そんなもんあるわけねえだろ!してないんだから!何を言い出すんだこいつは!
「話戻すぞ!」
なにやら照れている佐原を無視して強引に話を戻す。
その後も話を聞いたが、どうやら協力、というよりは本当にお互いに利害が一致して、都合が良かっただけのようだ。
大きなコミュニティが無かったのは一安心だが、なぜこうも俺に執着するのかがわからない。
結局、興味の無い事にはとにかく無頓着で、幽霊の橋渡しのようなことをしている奴がどんな男かも、目的もはっきりしないままだ。
あまり有益な情報を得られなかったことに、焦りと苛立ちを覚える。元々、回りくどいのは嫌いだ。俺に用があるなら直接来やがれ。
最後の男も除霊し終え、後処理などでなんやかんや家に帰ったのは0時を過ぎた頃だった。
さすがに疲れたし眠い。
佐原が風呂から出るのを待つ間、瞼が閉じそうになるのを何度か堪えていると、携帯が短く振動した。
御堂先生からメールで、『渡したい物があるので今から会えませんか』とのことだった。
今から?と少し訝しむが、もしかしたら何か伝えたいこともあるのかもしれない。
だが、今は佐原が風呂に入っているので外に出る事ができない。
伝えたい事があるのかどうかも含め、外に出られない事を返信すると、すぐに『マンションまで来ているので』と返ってきた。
伝えたい事に関してのレスポンスはなかったが、もしかしたら焦っていて返信ができなかったとか?と、いうかこんな時間に出歩くなんて...。
余程緊急の用なのか、どちらにせよここまで来ているのなら一人で帰すのも危険だ。とりあえず上がってもらって、佐原が出てきたら申し訳ないが一緒に送っていくしかない。
「佐原、少し出るがすぐ戻る」
「えっ!?姫崎さん!?待ってください!一人での行動は——」
「下に行くだけだから」
風呂場から聞こえてくる静止の声を無視して部屋を出た。
エレベーターで一階に下り、警備員に挨拶をしてからマンションを出た。
だが、肝心の御堂先生が見当たらない。
下に着いたことをメールをしても、返事は来ないし、電話をしても留守電に繋がってしまう。一応留守電にもメッセージを残しておいた。
何かあったのか....?そうだとしたら一度戻って佐原を呼んだ方がいいかもしれない。...いや、その前にマンションの周りだけ見ておくか。
もしかしたら玄関ではなく、裏にいる可能性もある。
電話をかけ続けながらマンションの周りを歩き始めると、何度目かのかけ直しでようやく繋がった。
「もしもし?御堂先生?」
『........っ、は.....、ひめ、ざきさん.....』
聞こえてきた声はかなり弱々しく、何かあった事は明白だ。
「御堂先生!?今どこです!?」
『.....すみ...ません.....』
クソッ!この状況だと連れ去られてる可能性が高いか...!?
「御堂先生!電話はこのままで!動けるようならどこかに隠れられる場所がないか探してください!」
あのメールは僅か五分ほど前のものだ。もし連れ去られていたとしてもまだそこまで遠くへは行っていないだろう。
連続で喚びだすのは少々しんどいが、空からリューイに探してもらって....、
そう考えたところで、後頭部に強い衝撃が走った。
痛い、と声に出す事もできず、意識が遠ざかっていく。
しまっ———
誰に殴られたのか確認もできぬまま地面に倒れ、意識を失った。
まず聞いたのは目的だ。
だが、以前も言った通り、俺が目的だと言う。
『あんたを穢したいって奴は意外と多いぞ?』
ニヤニヤとした顔でそう言われ、なぜか佐原が怒ったような顔で一歩前に出たので手で制した。
「他の奴らもそうなのか?」
『そ。あの人間たちは知らないけどね』
顎で示した先には佐原が伸した男が三人いる。
影山には報告したので、すぐに誰かが回収に来てくれるだろう。
「なぜ協力を?今までまとまって行動なんてしなかっただろ」
『俺も別に好き好んで一緒に行動したわけじゃないよ?ただその方が成功率上がるっていうし、面倒なマッチングは全部あいつがやってくれたしそれならいいかなぁって』
「あいつ...?」
『いっとくけど名前なんて知らないよ。知ってるのは人間の男で、顔はまあまあ綺麗だけどあんたよりは劣るってことくらいかな』
「そいつが幽霊をまとめ上げてたのか?」
『まとめ上げるなんてたいそうな事はしてないと思うよ。あんたに用のある奴ばっか集めてたし』
「俺に....?」
『そうとう執着されてるみたいだけど心当たりないの?』
心当たり.....。あるといえばあるが.....。
隣をちら、と見ると佐原は目を見開き、慌てて首を横に振った。
「俺じゃないですよ!?」
「わ、わかってるよ」
いや、俺だって本気で疑ってたわけじゃないぞ?ただ、可能性はなくはないかな、と思っただけで。
しゅんとしてしまった佐原を見ると罪悪感が湧いてくる。
「わ、悪い...。けど、俺だって本気でそう思ったわけじゃ....」
「俺は、姫崎さんに顔向けできなくなるようなことはしませんよ」
きっぱりと言われ、返答に困る。
わ、悪かったって...、ともう一度謝れば、『なにイチャついてんだよ』と男に言われた。
「は!?んなことしてないだろ!」
『えー、自覚ないの?』
自覚!?そんなもんあるわけねえだろ!してないんだから!何を言い出すんだこいつは!
「話戻すぞ!」
なにやら照れている佐原を無視して強引に話を戻す。
その後も話を聞いたが、どうやら協力、というよりは本当にお互いに利害が一致して、都合が良かっただけのようだ。
大きなコミュニティが無かったのは一安心だが、なぜこうも俺に執着するのかがわからない。
結局、興味の無い事にはとにかく無頓着で、幽霊の橋渡しのようなことをしている奴がどんな男かも、目的もはっきりしないままだ。
あまり有益な情報を得られなかったことに、焦りと苛立ちを覚える。元々、回りくどいのは嫌いだ。俺に用があるなら直接来やがれ。
最後の男も除霊し終え、後処理などでなんやかんや家に帰ったのは0時を過ぎた頃だった。
さすがに疲れたし眠い。
佐原が風呂から出るのを待つ間、瞼が閉じそうになるのを何度か堪えていると、携帯が短く振動した。
御堂先生からメールで、『渡したい物があるので今から会えませんか』とのことだった。
今から?と少し訝しむが、もしかしたら何か伝えたいこともあるのかもしれない。
だが、今は佐原が風呂に入っているので外に出る事ができない。
伝えたい事があるのかどうかも含め、外に出られない事を返信すると、すぐに『マンションまで来ているので』と返ってきた。
伝えたい事に関してのレスポンスはなかったが、もしかしたら焦っていて返信ができなかったとか?と、いうかこんな時間に出歩くなんて...。
余程緊急の用なのか、どちらにせよここまで来ているのなら一人で帰すのも危険だ。とりあえず上がってもらって、佐原が出てきたら申し訳ないが一緒に送っていくしかない。
「佐原、少し出るがすぐ戻る」
「えっ!?姫崎さん!?待ってください!一人での行動は——」
「下に行くだけだから」
風呂場から聞こえてくる静止の声を無視して部屋を出た。
エレベーターで一階に下り、警備員に挨拶をしてからマンションを出た。
だが、肝心の御堂先生が見当たらない。
下に着いたことをメールをしても、返事は来ないし、電話をしても留守電に繋がってしまう。一応留守電にもメッセージを残しておいた。
何かあったのか....?そうだとしたら一度戻って佐原を呼んだ方がいいかもしれない。...いや、その前にマンションの周りだけ見ておくか。
もしかしたら玄関ではなく、裏にいる可能性もある。
電話をかけ続けながらマンションの周りを歩き始めると、何度目かのかけ直しでようやく繋がった。
「もしもし?御堂先生?」
『........っ、は.....、ひめ、ざきさん.....』
聞こえてきた声はかなり弱々しく、何かあった事は明白だ。
「御堂先生!?今どこです!?」
『.....すみ...ません.....』
クソッ!この状況だと連れ去られてる可能性が高いか...!?
「御堂先生!電話はこのままで!動けるようならどこかに隠れられる場所がないか探してください!」
あのメールは僅か五分ほど前のものだ。もし連れ去られていたとしてもまだそこまで遠くへは行っていないだろう。
連続で喚びだすのは少々しんどいが、空からリューイに探してもらって....、
そう考えたところで、後頭部に強い衝撃が走った。
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しまっ———
誰に殴られたのか確認もできぬまま地面に倒れ、意識を失った。
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