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10話
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そんな俺にちらりと視線を投げると金色の瞳を少し細めた。
「リベル団長、お疲れです」
「ああ、楽にしろ。これから訓練か?」
「はい!今自己紹介が終わったとこです。まさかチヒロからリベル団長のニ———」
「ライド、余計なことは言わなくていい」
ライドさんの話を遮るように言葉を被せるが懲りずにまた口を開く。
「え、まさか本気で———」
「わかったな?」
「.....わかりましたよ」
そしてまたも遮られ、しかも有無を言わせないような圧力までプラスされてライドさんはさすがに口を閉じた。
「他の連中にも伝えておいてくれ」
「お任せください!チヒロに手をだしたらリベル団長が...いだだ!痛いっ!」
言い終わらないうちにリベルがライドさんの耳を容赦なく引っ張ったのでそれ以上言葉は続かなかった。
「おい、この耳は飾りか?」
「すみませんでしたっ...!調子に乗りました!きちんと伝えておきます!」
その言葉にリベルはぱっと手を離す。痛かったのか耳がぱたぱたと動いてかわいい。
俺の名前が出てきてるのに会話の内容は全くわからなかったけどねっ。
「頼んだぞ。......訓練もいいがほどほどにな」
そう言うと背を向けて帰っていった。
え?最後のって俺に言ったの?なんか目合ったけど....。気遣ってくれてる、のかな?
いや、そんなわけないか。たまたまだよな。
「ほどほどにって....。あの訓練の鬼が....?」
「相当入れ込んでるな。まあたしかに可愛いけど」
みんな仲良いんだなーとヴィスさんとライドさんの会話を聞きながら思う。
リベルと話しているときも気安すぎる、というわけではないが親しげだった。
そんな事を思っていると頭に何かが置かれた。
上を見上げると無表情なサムさんと目が合う。頭に乗せられたものはサムさんの手だ。
なんだろう?
首を傾げるとサムさんの目が少しだけ見開かれてすっと目を逸らされた。
そしてぽつりと言葉を漏らす。
「........怖くないのか?」
「へ?」
怖い?なにが?
「....俺が怖くないのか?」
「サムさんが?怖くないですよ?」
うん?なんでそんなこと聞くんだろう。
ってか怖がる要素ありましたっけ?
今のところ可愛い要素しかありませんが?
「......そうか。.....ならいい」
頭に乗せられた手が優しく髪を撫でる。
なんかちょっと恥ずかしいな...。
もしかしてサムさん俺のこと子供だと思ってる?
....ありえる....!ヴィスさんたちにも年齢言ったら驚かれたし!
「あの、俺22ですよ?」
こんなに間違われるなら『22歳です』って書いてどっか貼り付けようかな。いや、それはそれで恥ずかしいか。
俺の言葉に今度はサムさんが首をかしげる。
「.....知ってる。ヴィスから聞いた」
知ってたんかーい。ならなぜに子供扱い!
「サムは初対面の奴には大抵怖がられるからそれが嬉しかったんだろ」
リュードさんの言葉にサムさんが頷く。
そんな馬鹿な。あ、もしかして背が高いから睨んでるように見えちゃうのかな?
たしかに見ようによっちゃ怖い顔に見えなくも...ない。俺の場合は耳で相殺しちゃうけど。
「サムさん、ちょっと屈んでくれませんか?」
「.....?」
ああ、ほら。やっぱり。
屈んでくれたサムさんの瞳は見上げていた時よりも大きく見える。
「サムさん背が高いんでもしかしたら睨んでるように見えちゃってたかもしれないです!なんで目線を合わせればきっと怖がられなくなりますよ!」
少しの間目をぱちぱちさせていたがふっ、と少し笑ってまた俺の頭に手を乗せた。
「ん。ありがと」
頭撫でるの好きなのかな...?嫌じゃないからいいんだけどやっぱりちょっと恥ずかしい。
「同い年だし敬語じゃなくていい」
「え!?」
同い年!?サムさん22!?....神様、不公平すぎやしませんか?
「あ、俺も敬語なしでいいぞ!」
ライドさんがそう言うとヴィスさんもリュードさんも同じように言うもんだからみんな同い年なのかと思ったらさすがに違った。
ヴィスが25歳でライドが24歳。
リュードは21歳とまさかの歳下。雰囲気も落ち着いてるから全然見えない。
やっぱり神様は不公平ですね....。
「....ところで、俺は人族代表として合格...?」
そろそろトレーニングを、というところでずっと気になってたことを聞いてみた。
そうじゃないとそもそもスタートラインに立てない。
「なんだ、お前そんな事気にしてたのか?」
ヴィスが呆れた顔で言った。
そんなことって、重要なことでしょ!
「合格に決まってるじゃーん!」
ライドが両手を上げて近づいて来たと思ったら直前でぴたりと止まる。
「あっぶね、殺されるところだった」となにやらぶつぶつ呟いていたようだが何を言ってるかまでは聞き取れなかった。
サムとリュードも頷いてくれたのでほっとした。
これで今のところはフィレルさんの期待を裏切らずに済んだかな。
安心したところでトレーニングの流れを教えてもらった。
まず、基礎的な筋トレ。
これは腕立てとか腹筋とか日本でもよくやるような筋トレだ。ただ、回数がえぐい。最初はできる回数だけでいいってことになったけどみんなは200回くらいやっているらしい。化け物かよ。
次に体術の実践形式。
1対1や2対1などいろいろな想定をしながら実際に武器を使わずに対戦する。
軽く見せてもらったが獣人の身体能力がハンパない。これ、俺詰んだんじゃない?
最後に武器を使った実践形式。
得意な武器によって訓練は変わるのでとりあえず触ってみようということになった。
剣、短剣、槍、弓、と武器はだいたいこの4種類。
そういえば俺、高校のとき弓道部だったわ。
武器っていう概念がなかったから忘れてたけど。
...でも『かけ』がないんだよなぁ。
かけは右手につけて弓を引くための手袋のようなものであれがないと痛くてとても引けない。
しかも高校を卒業してから一度も引いてないから重くてしかたがない。
剣も槍も同じようにとても重かった。
ということでとりあえず筋肉がつくまでは短剣でのトレーニングを主にすることになった。
はっきり言って、道のりは遠い気がする。
「リベル団長、お疲れです」
「ああ、楽にしろ。これから訓練か?」
「はい!今自己紹介が終わったとこです。まさかチヒロからリベル団長のニ———」
「ライド、余計なことは言わなくていい」
ライドさんの話を遮るように言葉を被せるが懲りずにまた口を開く。
「え、まさか本気で———」
「わかったな?」
「.....わかりましたよ」
そしてまたも遮られ、しかも有無を言わせないような圧力までプラスされてライドさんはさすがに口を閉じた。
「他の連中にも伝えておいてくれ」
「お任せください!チヒロに手をだしたらリベル団長が...いだだ!痛いっ!」
言い終わらないうちにリベルがライドさんの耳を容赦なく引っ張ったのでそれ以上言葉は続かなかった。
「おい、この耳は飾りか?」
「すみませんでしたっ...!調子に乗りました!きちんと伝えておきます!」
その言葉にリベルはぱっと手を離す。痛かったのか耳がぱたぱたと動いてかわいい。
俺の名前が出てきてるのに会話の内容は全くわからなかったけどねっ。
「頼んだぞ。......訓練もいいがほどほどにな」
そう言うと背を向けて帰っていった。
え?最後のって俺に言ったの?なんか目合ったけど....。気遣ってくれてる、のかな?
いや、そんなわけないか。たまたまだよな。
「ほどほどにって....。あの訓練の鬼が....?」
「相当入れ込んでるな。まあたしかに可愛いけど」
みんな仲良いんだなーとヴィスさんとライドさんの会話を聞きながら思う。
リベルと話しているときも気安すぎる、というわけではないが親しげだった。
そんな事を思っていると頭に何かが置かれた。
上を見上げると無表情なサムさんと目が合う。頭に乗せられたものはサムさんの手だ。
なんだろう?
首を傾げるとサムさんの目が少しだけ見開かれてすっと目を逸らされた。
そしてぽつりと言葉を漏らす。
「........怖くないのか?」
「へ?」
怖い?なにが?
「....俺が怖くないのか?」
「サムさんが?怖くないですよ?」
うん?なんでそんなこと聞くんだろう。
ってか怖がる要素ありましたっけ?
今のところ可愛い要素しかありませんが?
「......そうか。.....ならいい」
頭に乗せられた手が優しく髪を撫でる。
なんかちょっと恥ずかしいな...。
もしかしてサムさん俺のこと子供だと思ってる?
....ありえる....!ヴィスさんたちにも年齢言ったら驚かれたし!
「あの、俺22ですよ?」
こんなに間違われるなら『22歳です』って書いてどっか貼り付けようかな。いや、それはそれで恥ずかしいか。
俺の言葉に今度はサムさんが首をかしげる。
「.....知ってる。ヴィスから聞いた」
知ってたんかーい。ならなぜに子供扱い!
「サムは初対面の奴には大抵怖がられるからそれが嬉しかったんだろ」
リュードさんの言葉にサムさんが頷く。
そんな馬鹿な。あ、もしかして背が高いから睨んでるように見えちゃうのかな?
たしかに見ようによっちゃ怖い顔に見えなくも...ない。俺の場合は耳で相殺しちゃうけど。
「サムさん、ちょっと屈んでくれませんか?」
「.....?」
ああ、ほら。やっぱり。
屈んでくれたサムさんの瞳は見上げていた時よりも大きく見える。
「サムさん背が高いんでもしかしたら睨んでるように見えちゃってたかもしれないです!なんで目線を合わせればきっと怖がられなくなりますよ!」
少しの間目をぱちぱちさせていたがふっ、と少し笑ってまた俺の頭に手を乗せた。
「ん。ありがと」
頭撫でるの好きなのかな...?嫌じゃないからいいんだけどやっぱりちょっと恥ずかしい。
「同い年だし敬語じゃなくていい」
「え!?」
同い年!?サムさん22!?....神様、不公平すぎやしませんか?
「あ、俺も敬語なしでいいぞ!」
ライドさんがそう言うとヴィスさんもリュードさんも同じように言うもんだからみんな同い年なのかと思ったらさすがに違った。
ヴィスが25歳でライドが24歳。
リュードは21歳とまさかの歳下。雰囲気も落ち着いてるから全然見えない。
やっぱり神様は不公平ですね....。
「....ところで、俺は人族代表として合格...?」
そろそろトレーニングを、というところでずっと気になってたことを聞いてみた。
そうじゃないとそもそもスタートラインに立てない。
「なんだ、お前そんな事気にしてたのか?」
ヴィスが呆れた顔で言った。
そんなことって、重要なことでしょ!
「合格に決まってるじゃーん!」
ライドが両手を上げて近づいて来たと思ったら直前でぴたりと止まる。
「あっぶね、殺されるところだった」となにやらぶつぶつ呟いていたようだが何を言ってるかまでは聞き取れなかった。
サムとリュードも頷いてくれたのでほっとした。
これで今のところはフィレルさんの期待を裏切らずに済んだかな。
安心したところでトレーニングの流れを教えてもらった。
まず、基礎的な筋トレ。
これは腕立てとか腹筋とか日本でもよくやるような筋トレだ。ただ、回数がえぐい。最初はできる回数だけでいいってことになったけどみんなは200回くらいやっているらしい。化け物かよ。
次に体術の実践形式。
1対1や2対1などいろいろな想定をしながら実際に武器を使わずに対戦する。
軽く見せてもらったが獣人の身体能力がハンパない。これ、俺詰んだんじゃない?
最後に武器を使った実践形式。
得意な武器によって訓練は変わるのでとりあえず触ってみようということになった。
剣、短剣、槍、弓、と武器はだいたいこの4種類。
そういえば俺、高校のとき弓道部だったわ。
武器っていう概念がなかったから忘れてたけど。
...でも『かけ』がないんだよなぁ。
かけは右手につけて弓を引くための手袋のようなものであれがないと痛くてとても引けない。
しかも高校を卒業してから一度も引いてないから重くてしかたがない。
剣も槍も同じようにとても重かった。
ということでとりあえず筋肉がつくまでは短剣でのトレーニングを主にすることになった。
はっきり言って、道のりは遠い気がする。
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