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25話
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結局、目が覚めたのはお昼を少し過ぎた頃だった。
どんだけ寝てんだ、俺は...。
しかも、いつもは起きる時にはいなくなっているリベルもなぜかまだ隣にいる。
どうやらリベルは結構前に起きていたようだ。
なら起こそ?男の寝顔なんか見てたっておもしろくもなんともないだろうに。
ってか明るいところで見る美形のドアップとかムキムキな胸板とか心臓に悪い。
とりあえずお昼を食べながら経緯を話してくれるというので部屋にご飯を運んでもらった。
早くフィレルさんに会いたかったけどお腹も空いてるし仕方ない。
どうやら俺が気を失った後すぐに助けが来たらしい。
助けに来てくれた人たちはフィレルさん直属の部下でほとんど表には出てこない、所謂暗躍部隊。
ある程度のことは予想していたフィレルさんが前もって指示を与えていたらしく、すぐに救出してくれたってわけ。すごくない?フィレルさん。
あの近衛団員の男が匂いを消してなかったのも早期解決に繋がったようだ。ちなみにノックスの部下たちが吹きつけてたやつが匂いを消すためのもので、暗躍している人にとっては必需品なんだって。
あ、だから匂いが無いとか言ってたのね。
俺には匂わないからピンとこないけど匂ってたものが匂わなくなったら不愉快になるのかもしれないな。
ただ、ノックスには逃げられてしまったらしい。
俺としては助かっただけでも御の字だと思ったのだがリベルには甘い、と怒られた。
「ノックスに気に入られたらしいな」
「え?いや、あれは気に入られたというかおもしろがられたというか....」
「同じことだ」
同じ...かなぁ....?
「どちらにせよ、また狙われる可能性があるということだ」
「でもさすがにこんなとこまでは来ないでしょ」
国境付近だし騎士団がたくさんいる場所にわざわざ来るとは思えない。
「それが甘いつってんだよ。いいか、次同じ事が起こったとしても絶対についていこうとするなよ」
「え....」
「誰が殺されそうになっても、だ。分かったな?」
できればもうあんな状況に陥りたくないんですけどね!ただ、同じことをするなと言われてもあまり自信はない。
「.....俺がついていくことで誰かが助かるなら、助けたい」
「駄目だ。皆お前に助けて欲しいなんて思ってない」
「そんな言い方しなくても...!」
「本当の事だ。チヒロを犠牲にしてまで助かりたいと思ってる奴なんていない」
「っ!」
犠牲....、そう言われてしまうとたしかにそうなのかもしれない。みんな俺に助けてもらうほど弱くはないから。
でも、それでも———
「俺だってみんなを助けたい!」
「....気持ちはわかる。だが、もしお前が逆の立場だったらどうだ?そんな事されて嬉しいか?」
「!!」
そう言われて言葉に詰まった。
そうだ。見方を変えればそれはただの自己満足でしかない。
自分が傷つかない方を選んでるだけ。
「........嬉しくない」
ブスッとしながらついていかないことを約束すると、リベルは心底ホッとしたように表情を緩めた。
え、そんな顔しないでよ。不貞腐れた俺恥ずかしいじゃん!
居心地が悪くて慌てて話題を変えた。
転移陣を壊したと近衛団員が言っていたが、実はもう一つあるらしい。
と、いっても知っているのはリベルとトリスさん、後は王族と宰相、近衛騎士団長さんのみであの男は知らなかったみたいだけど。
俺を救出後、狼煙をあげてトリスさんが転移させてくれたようだ。
リュードとヴィスもその転移陣で王都に来ていて、救出に協力してくれたと聞いたので早くお礼を言いに行きたい。
リベルも本当は来たかったようだが、さすがに団長がこの砦を離れるわけにもいかずなぜか謝られた。
「当然じゃない?突然レムールが攻めてきたらやばいし」
指揮官不在の戦争なんて確実に負けるだろう。
「....それでも、俺はお前に護る誓いを立てたのになにもできなかった」
護る誓い.....、あ、あの怖いやつか。
「それ、俺は了承してないからね?だから勝手に申し訳なく思われても困るんですけど」
そう言ってもリベルの顔が晴れないのでしかたなく言葉を重ねた。
「リュードとヴィスもリベルの剣みたいなものでしょ?ちゃんと護ってもらったから、大丈夫。ありがとう」
すると今度はこれでもかというほど目を見開いて驚きの表情に変わる。
なんだ?目が大きい自慢でもしたいのか?
しかしいいですね、イケメンは。そんな表情でもイケメンなのは変わらないのだ。
むしろぶさいくな表情なんかできないんじゃないか?いや、さすがに変顔とかしたらぶさいくになるのかな。
まあ変顔してるリベルは想像つかないけど。
などとくだらないことを考えながらまじまじと見ていたらふわりと笑って「まいった」と呟いた。
うん?今別に睨めっことかしてないよ?笑わすつもりもなかったしね?それともなにか、俺の顔が元々笑えるとでも言いたいのか。
ケンカを売っているのかと思ったけど違うらしい。じゃあなんなんだ。
聞いても「わからないならいい」と話をたたんでしまった。
どんだけ寝てんだ、俺は...。
しかも、いつもは起きる時にはいなくなっているリベルもなぜかまだ隣にいる。
どうやらリベルは結構前に起きていたようだ。
なら起こそ?男の寝顔なんか見てたっておもしろくもなんともないだろうに。
ってか明るいところで見る美形のドアップとかムキムキな胸板とか心臓に悪い。
とりあえずお昼を食べながら経緯を話してくれるというので部屋にご飯を運んでもらった。
早くフィレルさんに会いたかったけどお腹も空いてるし仕方ない。
どうやら俺が気を失った後すぐに助けが来たらしい。
助けに来てくれた人たちはフィレルさん直属の部下でほとんど表には出てこない、所謂暗躍部隊。
ある程度のことは予想していたフィレルさんが前もって指示を与えていたらしく、すぐに救出してくれたってわけ。すごくない?フィレルさん。
あの近衛団員の男が匂いを消してなかったのも早期解決に繋がったようだ。ちなみにノックスの部下たちが吹きつけてたやつが匂いを消すためのもので、暗躍している人にとっては必需品なんだって。
あ、だから匂いが無いとか言ってたのね。
俺には匂わないからピンとこないけど匂ってたものが匂わなくなったら不愉快になるのかもしれないな。
ただ、ノックスには逃げられてしまったらしい。
俺としては助かっただけでも御の字だと思ったのだがリベルには甘い、と怒られた。
「ノックスに気に入られたらしいな」
「え?いや、あれは気に入られたというかおもしろがられたというか....」
「同じことだ」
同じ...かなぁ....?
「どちらにせよ、また狙われる可能性があるということだ」
「でもさすがにこんなとこまでは来ないでしょ」
国境付近だし騎士団がたくさんいる場所にわざわざ来るとは思えない。
「それが甘いつってんだよ。いいか、次同じ事が起こったとしても絶対についていこうとするなよ」
「え....」
「誰が殺されそうになっても、だ。分かったな?」
できればもうあんな状況に陥りたくないんですけどね!ただ、同じことをするなと言われてもあまり自信はない。
「.....俺がついていくことで誰かが助かるなら、助けたい」
「駄目だ。皆お前に助けて欲しいなんて思ってない」
「そんな言い方しなくても...!」
「本当の事だ。チヒロを犠牲にしてまで助かりたいと思ってる奴なんていない」
「っ!」
犠牲....、そう言われてしまうとたしかにそうなのかもしれない。みんな俺に助けてもらうほど弱くはないから。
でも、それでも———
「俺だってみんなを助けたい!」
「....気持ちはわかる。だが、もしお前が逆の立場だったらどうだ?そんな事されて嬉しいか?」
「!!」
そう言われて言葉に詰まった。
そうだ。見方を変えればそれはただの自己満足でしかない。
自分が傷つかない方を選んでるだけ。
「........嬉しくない」
ブスッとしながらついていかないことを約束すると、リベルは心底ホッとしたように表情を緩めた。
え、そんな顔しないでよ。不貞腐れた俺恥ずかしいじゃん!
居心地が悪くて慌てて話題を変えた。
転移陣を壊したと近衛団員が言っていたが、実はもう一つあるらしい。
と、いっても知っているのはリベルとトリスさん、後は王族と宰相、近衛騎士団長さんのみであの男は知らなかったみたいだけど。
俺を救出後、狼煙をあげてトリスさんが転移させてくれたようだ。
リュードとヴィスもその転移陣で王都に来ていて、救出に協力してくれたと聞いたので早くお礼を言いに行きたい。
リベルも本当は来たかったようだが、さすがに団長がこの砦を離れるわけにもいかずなぜか謝られた。
「当然じゃない?突然レムールが攻めてきたらやばいし」
指揮官不在の戦争なんて確実に負けるだろう。
「....それでも、俺はお前に護る誓いを立てたのになにもできなかった」
護る誓い.....、あ、あの怖いやつか。
「それ、俺は了承してないからね?だから勝手に申し訳なく思われても困るんですけど」
そう言ってもリベルの顔が晴れないのでしかたなく言葉を重ねた。
「リュードとヴィスもリベルの剣みたいなものでしょ?ちゃんと護ってもらったから、大丈夫。ありがとう」
すると今度はこれでもかというほど目を見開いて驚きの表情に変わる。
なんだ?目が大きい自慢でもしたいのか?
しかしいいですね、イケメンは。そんな表情でもイケメンなのは変わらないのだ。
むしろぶさいくな表情なんかできないんじゃないか?いや、さすがに変顔とかしたらぶさいくになるのかな。
まあ変顔してるリベルは想像つかないけど。
などとくだらないことを考えながらまじまじと見ていたらふわりと笑って「まいった」と呟いた。
うん?今別に睨めっことかしてないよ?笑わすつもりもなかったしね?それともなにか、俺の顔が元々笑えるとでも言いたいのか。
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聞いても「わからないならいい」と話をたたんでしまった。
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