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1…不思議の村のアスカ
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その世界には海を隔てて大きな大陸が二つあって、一つは右の大陸、もう一つを左の大陸といった。
右の大陸の右の端に海沿いに、不思議な村がある。
名を、人魚の村という。
村人が海産物を生業とするごく普通の村だったが、1つだけ他と大きく違う所があった。
それはとても大きな違いで、その村の人を見たことがない人間にはにわかには信じられないであろう。
*****
人魚の村の中で、あまり裕福ではない家にアスカは生まれた。
不幸にも母親は、アスカが3歳の時に病気で死んでしまい、父親が後妻に娶った女はアスカを可愛がることはなかった。
母親によく似た、クリームに近い栗色の髪と瞳と、美しい肌、優しい心を持つアスカを妬んだからである。
父親はアスカを溺愛したものの、漁師だったので年中家にいなかった。
実質、いつも家にいるのはアスカと継母、そして継母が産んだ双子の子供ドゥーガとリューガだった。
もっともこの双子は継母の連れ子だったので、アスカより2歳年上だったしもちろん血は繋がっていなかった。
アスカ12歳、ドゥーガとリョーガ14歳。
双子たちは漁師らしく日に焼けたたくましい体つきになっていたが、アスカは細く華奢なままだった。
それが継母には気に入らないことの一つだった。
「うちに女はいらないよ!私一人で十分だ!あんたは来年13歳になったら赤い実を食べて男になってもらうんだから、もっと体を鍛えておくれ!」
継母はいつもアスカにそう言っていた。
そう、この村では、性別は13歳の誕生日に決まる。
それまで、子供たちには性別はない。
生まれた時から彼らの性器は両性具有のようになっており、13歳になった日、自ら性別を選べるのだ。
村の中央に”人魚の木”と呼ばれる大木があって、
男を希望する者はその大木になる赤い実を、女を希望する者は白い実を食べる。
そうすると半年以内に体が望んだ性別への変化を完了させるのだった。
漁師町なので男子を希望する親が多いが、何人か子供がいる家庭であれば本人の好きにさせることも多く、また13歳までにはどちらがふさわしいか、見かけでほとんど分かるのだった。
アスカは来年、と言ってもあと1か月で13歳。
外見は小柄で華奢で、驚くほど可愛らしいが、継母だけではなく本人も男になる道を決心していた。
「やっぱり、アスカは赤い実を食べるの?」
アスカの親友、レオンが笑顔で訪ねてきた。
燃えるような紅い髪の少年。アスカより半年前に13歳を迎えて、そろそろ完璧な男になっていた。
アスカはコクリとうなずく。
「うん、ボクも男になりたい。母さんも望んでいるし、ボクも男になって、このままずっとレオンと友達でいたいんだ。」
「嬉しいこと言ってくれるなぁ」
レオンはまた笑顔になって、照れ隠しにアスカの髪をグシャグシャと触った。
アスカとレオンは幼馴染。実の母親同士が仲が良かったことと、2人の生まれた時が近かったことからいつも一緒に遊んでいた。
アスカの実の母親が亡くなり、継母にいじめられている時も、レオン一家はアスカを見守り助けてくれたのでアスカは生きてこられたのだ。
アスカはレオンをただの友達としてだけではなく、心の底から尊敬している。
村長の息子として生まれ、さわやかな外見、正義感にあふれた優しい性格、天才と言ってもいいほどの頭脳、神がかった剣の腕。
(もし、世界を救う勇者という者がいたら、きっとレオンみたいな人だろう)
アスカはずっとそう思っていた。
右の大陸の右の端に海沿いに、不思議な村がある。
名を、人魚の村という。
村人が海産物を生業とするごく普通の村だったが、1つだけ他と大きく違う所があった。
それはとても大きな違いで、その村の人を見たことがない人間にはにわかには信じられないであろう。
*****
人魚の村の中で、あまり裕福ではない家にアスカは生まれた。
不幸にも母親は、アスカが3歳の時に病気で死んでしまい、父親が後妻に娶った女はアスカを可愛がることはなかった。
母親によく似た、クリームに近い栗色の髪と瞳と、美しい肌、優しい心を持つアスカを妬んだからである。
父親はアスカを溺愛したものの、漁師だったので年中家にいなかった。
実質、いつも家にいるのはアスカと継母、そして継母が産んだ双子の子供ドゥーガとリューガだった。
もっともこの双子は継母の連れ子だったので、アスカより2歳年上だったしもちろん血は繋がっていなかった。
アスカ12歳、ドゥーガとリョーガ14歳。
双子たちは漁師らしく日に焼けたたくましい体つきになっていたが、アスカは細く華奢なままだった。
それが継母には気に入らないことの一つだった。
「うちに女はいらないよ!私一人で十分だ!あんたは来年13歳になったら赤い実を食べて男になってもらうんだから、もっと体を鍛えておくれ!」
継母はいつもアスカにそう言っていた。
そう、この村では、性別は13歳の誕生日に決まる。
それまで、子供たちには性別はない。
生まれた時から彼らの性器は両性具有のようになっており、13歳になった日、自ら性別を選べるのだ。
村の中央に”人魚の木”と呼ばれる大木があって、
男を希望する者はその大木になる赤い実を、女を希望する者は白い実を食べる。
そうすると半年以内に体が望んだ性別への変化を完了させるのだった。
漁師町なので男子を希望する親が多いが、何人か子供がいる家庭であれば本人の好きにさせることも多く、また13歳までにはどちらがふさわしいか、見かけでほとんど分かるのだった。
アスカは来年、と言ってもあと1か月で13歳。
外見は小柄で華奢で、驚くほど可愛らしいが、継母だけではなく本人も男になる道を決心していた。
「やっぱり、アスカは赤い実を食べるの?」
アスカの親友、レオンが笑顔で訪ねてきた。
燃えるような紅い髪の少年。アスカより半年前に13歳を迎えて、そろそろ完璧な男になっていた。
アスカはコクリとうなずく。
「うん、ボクも男になりたい。母さんも望んでいるし、ボクも男になって、このままずっとレオンと友達でいたいんだ。」
「嬉しいこと言ってくれるなぁ」
レオンはまた笑顔になって、照れ隠しにアスカの髪をグシャグシャと触った。
アスカとレオンは幼馴染。実の母親同士が仲が良かったことと、2人の生まれた時が近かったことからいつも一緒に遊んでいた。
アスカの実の母親が亡くなり、継母にいじめられている時も、レオン一家はアスカを見守り助けてくれたのでアスカは生きてこられたのだ。
アスカはレオンをただの友達としてだけではなく、心の底から尊敬している。
村長の息子として生まれ、さわやかな外見、正義感にあふれた優しい性格、天才と言ってもいいほどの頭脳、神がかった剣の腕。
(もし、世界を救う勇者という者がいたら、きっとレオンみたいな人だろう)
アスカはずっとそう思っていた。
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