ケーキなボクの冒険

墨汁らぼ

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恐怖の夜

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さて、リーフは一生懸命逃げる方法を探していた。

紫の壺から出るのはお菓子の材料ばかりで、落ち着くけど役には立たない。


「あのおっさんめ~。今度会ったらおぼえてやがれ~」
すでに神様という認識はなくなっている。


この部屋の窓は高い所に、小さいものが一つしかなく、しかも鉄格子がはめてある。

どうにかそこから出られたとしても、向こう側は海だろう。
崖に打ち付ける波の音からして、随分荒波のようだ。

最終的にリーフは隠れることにした。すぐ見つかりそうだが、ベッドの下に、である。
やらないよりマシだと思ったから。

ゴソゴソと鉄のベッドの下に潜り込む。鉄のさびた匂いと、かび臭い匂いがした。

数分後。



ガコン


部屋の鍵が開けられる。


「こちらでございます。」  スカーレットの声。
足音は二つ。もう一つはマーリン王子。

「あっ」  リーフがいない、そして隠れていることに気付くスカーレット。

「申し訳ありません、すぐ・・・」

「よい。お前はさがっていろ」

それはマーリンの声だが、リーフを馬に乗せて「あったかいね」と言った時とは別人のように冷たい感じがした。


ガチャン

カツカツ・・・・・


スカーレットが去っていく。

リーフの心臓は張り裂けそうだった。張り裂けて心臓が口から出そうだ。
でも、もしかしたら見つからないかも、見つかってもそんなにひどいことはされないかも、という望みが捨てきれていなかった。


ベッドの下から見える王子の足は、部屋をぐるりと一周して、リーフが潜り込んでいる辺りでピタリと止まった。

「出てこい」

冷ややかな声。

恐ろしくて返事ができないリーフ。

ジリッ・・・っと少し後ろに下がる。すると、何かが手に当たった。見ると・・・それは・・・



切り落とされた人間の指だった。



「うわあああああーーーーー!!」

リーフは思わずベッドの下から這いだした。

目の前にはマーリン王子がいた、と思った次の瞬間、リーフは部屋の隅に吹き飛ばされた。

バンッ  体全体が壁に激突する。

何が起こったのか理解できなかったが、口に広がってきた血の味と激しい痛みで分かってきた。

リーフはマーリン王子にイキナリ殴り飛ばされたのだ。


銀髪の王子は冷たく美しい微笑みをリーフに向けた。


リーフが何とか立ち上がり、よろけながらも逃げようとしているところを、王子は髪を掴んでベッドに叩き付けた。

細い棒のようなもので2度3度リーフを殴りつける。

ピッと皮膚が切れて、王子の顔にリーフの血が飛んだ。

「やめてください、ボクの話を聞てください・・・!」

シャレにならない恐怖と闘いながら、やっとのことでリーフがしゃべる。



「もうなにもしゃべらなくていい・・・真実なぞ無用だ」


王子は無表情のまま馬乗りになり、リーフの首を絞めた。「えっ」

どんどん手に込めた力が強くなる。


「今夜はお前の命を楽しむことに決めた。」


(ボク、殺されるの?!)意識が遠くなりかけたとき、首の手が離された。

ゲホッゲホッ  せき込むリーフ。



王子はリーフの腕の傷を見つけた。治りかけの生々しい傷を、思い切り掴む。

「いたいっ・・やめて・・・」また傷口が破れ、血が流れる。


血だらけになった王子の手のひらは、そのままリーフの胸を掴んだ。
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