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♡57… 蒼月の儀
しおりを挟むマーリン王子とララ王子に呼び出されたリーフは、いつもよりきちんとした服を着せられた。
緑色の美しい布で作られた、ハリのあるドレス。繊細なレースで編み上げた薄いエプロンみたいなものを上から掛ける。
「まあ、リーフ様お似合いですよ!まあまあほんとにどうしましょう・・・黒い髪に緑が生えてなんて可愛らしいんでしょう!」
大喜びのソフィア。様子を見に来たスカーレットも目を細めている。
(ドレスなんてどうでもいいんだけど・・・。このクルクルのことどうしよう。誰かに言ったらまた厄介なことになりそうだしな~・・・)
リーフは考えた末、クルクルが人間になることは黙っていることにした。
(いいか・・・バレるまでは内緒にしておこう。それにもう人間にならないかもしれないし)
と、いつものご都合のよい展開を期待しつつ、呼ばれた部屋に向かう。
城の立派な大広間にはすでに多くの兵士と、王様、両王子が揃っていた。
皆、立派な正装をしている。
特に王子たちは美しい絵の様だった。
赤い衣装のマーリン、青い衣装のララ。さすが王子、立ち姿が立派だ。
またとても幻想的で、どこか神がかっていて、この一族が妖精の末裔だというのが分かるような気がした。
対してクレヨンで描いたようなリーフは半端ない場違い間の中、スカーレットに押されて王子たちのそばに行く。
じつは、まだ、リーフはララの姿を見ると心が痛んだ。
あの可愛い少女だった”ララ”はもういないということを思い出すから。
「皆、ご苦労。こうして集まってもらったのは重大な報告があるからだ。」王の声が大広間に響いた。
「知っている者もいるかもしれないが、最近ヒョウガの国が各地で不穏な動きをしている。
我が国と同盟を結んでいるツルギの国でアーサー王子を襲撃したそうだ。幸い王子は事なきを得たが、ほかにも数件、同様の事件を起こしている。
近くヒョウガの国と大規模な戦いが起こることは避けられないだろう。」
この集会は戦争の始まりを告げるものだった。
「なぜ今、ヒョウガの国がこのように強気に二つの国を攻め始めたのかは分からぬが・・・、それはいま調べさせている最中だ。噂では魔の者を操っているとか。いずれにしろ、厳しい戦いになる。」
大広間の空気はピーンと張り詰めた。
(命を懸けるんだもんなぁ・・・)リーフもドキドキした。すごく怖いけど、一度は戦ってみたいかもしれない気持ちもある。中身はやっぱり男の子なのだった・・・・。
「さて、リーフ。」
「は、はいっ」
いきなり名前を呼ばれて焦るリーフ。
「このような事態だ、いかに王族といえども明日の命の保証はない。
呪いの解けた王子たちには一刻も早く結婚し、子をもうけてほしい所なのだが・・・。
ララもマーリンも、お前がよい、お前でなければだめだと譲らぬ。」
ため息をつく王様。
「うう・・・、はあ・・・。」ため息をつきたいのはこっちである。
「そこで致し方なく、蒼月の儀を行うことにした。許せ。」
「蒼月の儀?」も気になるが、「許せ」も何気に気になる。
「新月から満月まで交代で二人と寝所を共にする。ある魔法により、身ごもった瞬間月が蒼くなるのだ。
そしてその時父親となった方の王子と結婚するという儀式だ。」
「ふーん・・・?」
最初は言っている意味が分からないリーフ。
脳みそが分析をはじめしばらくして・・・・
「えっ?」
もう一度考える。
「え?いやそれって・・・」
二人の王子が切なそうな顔でリーフを見つめていた。
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