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ジョナサン
しおりを挟むこの国のお城は城壁で囲まれた街の1番奥にある。
白い壁に青い装飾が所々施された、なかなか美しいお城だ。
活気に溢れた城下町、たくさんの人々、立派な羽橋、そんな風景にユズはワクワクした。
ユズ「おー…!本当に異世界なんだ…!」
正直、レイラさんの牧場にいる時は、現代(元の世界)の外国の田舎かも…っていうか感覚が抜けなかった。
お隣の牧場のレトロなお爺さん以外は周りは山と森しかなかったし。
ユズ「人が…生きてる!」
馬車はお城の入り口の馬小屋前で止まった。
お爺さん「ユズちゃん、着いたよ。どれ、レイラの長男坊を連れてきてやろう。」
お爺さんは馬を木の柱に繋いで、建物の隙間の小さな路地を入っていった。
ユズは馬車から降りて辺りを見回した。
晴れた日の乾いた空気が気持ちいい。
トントン
ユズ「あれ?なんだか足が勝手に動く…」
天気がいい日に踊り出したくなる気分、という感じだろうか。
トントン、トントン
ユズの足が小気味良いリズムを刻む
ユズの体が勝手に動いて、踊っていた
空まで飛ぶんじゃないかと思うジャンプ
ユズ「ナニコレ!(汗)」
ハアハアと大きく息をしながら、大きく揺れる胸を抑える。
ユズ「…ハア、もしかして向こうの世界でダンスやってたのかな?」
パチパチ
パチパチ
2つの拍手の音が横から聞こえてきた。
お爺さんと若い男の人が興奮したようにユズを見て拍手している。
「凄いじゃないか!それ、なんていう踊り?面白い!」
ユズ「あはは…えーと、よく分からなくて私…あの、もしかしてレイラさんの息子さんの…?」
ジョナサン「そうそう!ジョナサンだよ!えーと、ユズちゃんだね?台所のお手伝いよりダンサーになった方が良くない?(笑)」
ユズ「いえいえそんな、あの、私ユズです!
レイラさんには本当にお世話になりました。
お仕事を紹介して下さりありがとうございます。
ジョナサンさんにもご迷惑をおかけすると思いますが、どうぞよろしくお願いします」
ペコリと大きく頭を下げる。
ジョナサンとお爺さんはその姿を見て爆笑した。
「???」となるユズ
ジョナサン「ユズちゃんは若いのにずいぶん丁寧だね!ほんと面白いや。
これから一緒に働こう、よろしくね!」
ジョナサンの、レイラによく似た大きな口の笑顔、風に揺れる茶色の髪、優しそうな瞳に大いに安心するユズ
握手を求めてきたジョナサンの手は、肉厚で暖かくて、働き者の優しそうな感じがした。
ユズ(自分のこともこの世界のことも、よくわからないことだらけだけど、良い人に恵まれたんだから頑張ろう!)と前向きな気持ちになれた。
この後、そんなユズを上から見下ろして眺めている人物に大いに悩まされることになるのだが…
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