オーブ・シークレット

大地ノコ

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オーブ編

我に返る

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 岩影大量殺人事件
 死者:13人 重傷:67人 損害:10億円
 史上初のシークレットによる大量殺人事件であり、シークレットの認知度、恐怖を日本人に鮮明に植え付けることとなった。

 怪我の修復スピードが異常で、2日で治ってしまった。
 それなのに、死者が出た。しかもこんなに。もっと他にできなかったものか…
 それだけじゃない。建物の崩壊に巻き込まれ、今も植物状態の人が大勢いる。
 それなのに………俺は………
 しかし、あそこではあれ以外に攻略法が思い浮かばなかった。仕方ないとも言い切れる。
「くそ!なんで俺がこんな思いにならねぇといけねぇんだよ!」
 オーブを窓の外から投げ出そうとしたが、死ぬのが怖くなって、行き場のない「感情」をどこにぶちまければいいか分からず、1つオーブを持ってあの場所へと向かった。

『閉店のお知らせ』

 マスターは電話に出なかった。
 すべてが嫌になった。みんな嫌いだ。
 マスターも説明無しで俺に戦わせたんだ。みんな、死んじまえ。
 このまままっすぐ帰るのもよかったが、公園によって行くことにした。なんとなくだ。
 先日の事件の影響で、外に出ている人はほとんどおらず、公園も例に漏れず誰一人来ていなかった。
 静まり返る公園のでかい遊具で少し遊んでいく。
 カーの攻撃からか、車輪の跡が強く残っている。改修が行われるのは何年後になるのか…?当分先だろう。
 シークレットはそのときも存在しているのか?シークレットの対抗策はあるのか?
 考えていると吐き気がしてきた。死ぬのは嫌だ。自分も他人も。これは贅沢なのだろうか?我儘なのだろうか?

「速報:シークレット出現」アナウンスからとんでもない声が聞こえてきた。
 戦うにしても、オーブは1つしかない。それに、今戦うのは気分的にもだめな気がする。
 一度家に帰ってオーブをもう何個か持ってこようか。
 少し走る。家までそう遠くない。
「なんで毎回こうなるんだよ!!!」
 叫びながら裏通りの近道に出た。

 オーブも準備して今行くぞってときにマスターから電話がかかってきた。
「シークレットが出た」
「しってる」
「そうか。あと…ロックのことなんだが…」
「大丈夫。あんなことにしたくない。今そんなん気にしてられない。行く。」
「………わかった。」
 現場はこのあたりでもビルが多く立ち並ぶところ。あのときのトラウマが蘇るが、さっきも覚悟を決めたんだ。今そんなん気にしてられない。
 都会の中心で暴れているのがシークレットか。

 スーツ・シークレット
 スーツのシークレット。攻撃力:6 防御力:2 俊敏性:8
 大きな特徴はないが、服の袖から放たれる薙ぎ払いと、素早い攻撃でも簡単に避ける行動力。

 ふぅ。やるか。
「チェンジ、シークレット」
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