人間兵器

ツチノコのお口

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本編

第10話 許さない話

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 ノールの死、あの爆弾が投下されてから早一時間。
 俺はその時、なるべく数討ち取ることしか考えていなかったと思う。
 他にも仲間を失った者は数多く、結局カチュカン兵はむしろ、勢いを増していった。
 そして、カチュカン兵のしぶとさに流石にビビったUHS兵が次々と撤退していったことから、あれ程の不意打ちを食らわせておいて、こちらのほうが優勢のまま戦争は進んでいった。
 UHS最高指導者であり、国家元首のユーフ3世によって撤退が命じられたUHS兵。ただ、うちのステル隊長がそんなので逃してやると思うなよ。
「一人たりとも逃がすなァァァ!」

 合図が出ると、俺たちは仲間のことを思いながら敵が集まっているところに突撃をしていった。
 逃げるもの、喚くもの、泣き叫ぶもの、家族の名前を叫ぶもの、いろいろな悲鳴が聞こえた。
 しかし、俺はその時、唯一の友人を失った絶望で頭がいかれていたのだろう。あまり何も考えていなかったのだ。
 殺して、殺して、殺して。
 パニックや、恐怖、あるいは諦め。そんな表情を今日だけで何度見たことだろう。
 それでも何も思わなかった。友人の敵討ちしかなかったのだ。まるでロボットのように。
 しかし本当にそれは敵討ちというのだろうか?

 いつの間にか、UHSは全滅していた。
 勝ったのだ。しかし、多くの犠牲を払って。
 過去1荒れた戦争であったと記憶している。
 ユーフは自ら極刑を求めていたが、多額の賠償金で許してやった。まぁ、9000兆といった、当時のUHS国家予算程度の値段なのだが。
 そんなことはいいんだ。
 それより、ノールの死のことなのだが。

 なんか生き返るらしい。
 
 いやいや、ありえないって。
 なんか理論でいくと、人間兵器の心臓は銃であり、死亡すると、銃のどこらかが破損するとのこと。つまり、直しさえすれば復活するという。
 
 何だったの!あの敵討ちしたるぞって気持ちは?無駄だったってこと!?恥ずかしすぎるんだが...
 まぁ、一人修復するだけでかなり時間がかかるらしいからまだ当分かかるっぽいけど、生き返ってくれるだけでモーマンタイ。
 なんだなんだ。万事解決。
 ただ、まだブリス問題は解決していない。新たな戦争国が出てきたのだ。
 次の戦争に備えて、今日はもう寝よう。あぁ、ふかふかなベッドだ
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