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プロローグ
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口に手を当てがうほどに埃臭く、仄暗さに覆い尽くされた蔵の中を淡々と進んでいく。
「これじゃ、物置き小屋だな……」
目を凝らせども、幽霊屋敷のように光が閉ざされている所為で何にも見えやしない。
当然かの如く、照明は切れているし、燦々とした太陽の降り注ぐ真昼時なのにも関わらず、どうしてこんなに真っ暗闇なのだろうか。
そんな憂慮ばかりが脳裏をよぎり、乱雑に積み上がった箱の山に、つい、足を引っ掛けてしまった。
「っっ!」
派手に躓き、地に突く両手がジンジンと鈍い痛みを訴える最中、眠りについていた砂埃を起こしてしまい、大量の粉塵が宙に舞う。
「ぶっは、げほ、げほ」
崩れ落ちた箱の山の一つが、中から派手に飛び出し、砂塵の地べたに臥していた。
涙ぐみ、眇めた右眼で一瞥する。
「……?」
それは奇妙な物であった。
不思議と古びているのに真新しさを感じさせる、錆を帯びた黄金色の懐中時計。
息苦しさが絶え間なく襲い続ける中で、表面の埃をそっと払い、徐に蓋を開ける。
「ん?」
裏蓋には、文字が深々と刻まれていた。
殴り書きの様で読みづらく、歪な文字だけど、頑張ればそう苦労はしなさそうな綴りだ。
そこには、こう記されていた。
時は針に、流れは動きに、物を成すには理と根底を。
そして、これを手放してしまえば、この物と共に過ごした日々は綺麗に消えてしまう。
と……。
「これじゃ、物置き小屋だな……」
目を凝らせども、幽霊屋敷のように光が閉ざされている所為で何にも見えやしない。
当然かの如く、照明は切れているし、燦々とした太陽の降り注ぐ真昼時なのにも関わらず、どうしてこんなに真っ暗闇なのだろうか。
そんな憂慮ばかりが脳裏をよぎり、乱雑に積み上がった箱の山に、つい、足を引っ掛けてしまった。
「っっ!」
派手に躓き、地に突く両手がジンジンと鈍い痛みを訴える最中、眠りについていた砂埃を起こしてしまい、大量の粉塵が宙に舞う。
「ぶっは、げほ、げほ」
崩れ落ちた箱の山の一つが、中から派手に飛び出し、砂塵の地べたに臥していた。
涙ぐみ、眇めた右眼で一瞥する。
「……?」
それは奇妙な物であった。
不思議と古びているのに真新しさを感じさせる、錆を帯びた黄金色の懐中時計。
息苦しさが絶え間なく襲い続ける中で、表面の埃をそっと払い、徐に蓋を開ける。
「ん?」
裏蓋には、文字が深々と刻まれていた。
殴り書きの様で読みづらく、歪な文字だけど、頑張ればそう苦労はしなさそうな綴りだ。
そこには、こう記されていた。
時は針に、流れは動きに、物を成すには理と根底を。
そして、これを手放してしまえば、この物と共に過ごした日々は綺麗に消えてしまう。
と……。
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