ステータスブレイク〜レベル1でも勇者と真実の旅へ〜

緑川

文字の大きさ
134 / 166
過去編

第二十三話 様々な作成と其々の派閥

しおりを挟む
「なぁ、何やってんだ?」
初めに徐に声を掛けたのは、先代と似たような属性を備えた優しい面差しが第一印象の少年であった。

「あぁ、えーと、どうも」

「んで、何やってんだ?」

「ちょっと武器作りを」

「武器作り⁉︎」

「うん、誰でも出来るよ」

「マジか、全然気付かなかった」

「それで何しに?」

「いやぁーあんな弱かったお前が勝負に勝てるんだから、余程効果覿面な勝利の秘訣でもあるんなら、是非とも伝授してもらいたいなーと」

 薄ら笑いを頬に貼り付けながら縋り寄ろうとするも、静寂に包まれたまま綺麗に躱し、颯と告げる。

「僕は上振れに期待して、駄目元の挑戦に挑んでるんじゃなくて、確実な全体の向上に時間を費やしてるんだ。ちゃんと努力しないと、成果は出ないよ」

 見え透いた魂胆を切り裂いて、容赦無く念を突く。

「わかってるよ、だからさ、教えてくれない?」

「普通にステータス上で案内してくれるでしょ」

「ステータスで? うーん、反応無いけどな」

「個人差があるのかもね、聞いてみれば?」

「あぁ、そうだな」

「あ? お前ら何やってんだ?」

「なんか、面白そうなことやってんなぁ!」

 風当たりが無に帰した頃、次々と興味津々な生徒達によって図書館は過去の栄光を取り戻していく。

「じゃーん、出来たー!」

「んだよ、それ」

 何処かで目にした純白なる魔道具を見せびらかす。

「これは、魔力遮断付製造完成完成短縮小型機械‼︎」

「長えぇよ」

「ま、やってみ?」

「何入れんだよ」

「んーそうだな~」

 その言葉を弾ませる話を、聞き戯れる生徒は異様な生物の姿をモチーフにした仮面を手にしていた。

 黒々しく、言いしれぬ謎の不気味さを纏わせて。

「それは?」先代は不思議そうに問う。

「ん、これか? これはな、フルフェイス。って、今んところ候補として名付けたマスクだ。機能性を限りなく重視しながらも厨二心をくすぐるだろ? でも、まだ完成には後一歩及ばないんだよな」

「……ねぇ、これにマナを使ってみない?」

「マナ? でも、それじゃダセェし、敵にバレバレだろ」

「いや、原石をそのまま使うんじゃなくて、砕いて粉上にして撒いた上で全体に満遍なく纏わせるんだ」

「お前……」

「な、何?」

 途絶した会話が妙な溝を開くかと思われた矢先、「凄えなぁ! やっぱ、始まりの人間なんだな!」生徒は一目置いた輝きを灯す眼差しで褒め立てた。

「あ、ありがとう」

「じゃあ、早速やってみるわ」

「うん、程々にね。これ、結構疲れるから」

「あぁ、わかってるよ! マジでありがとな」

 そんな駆け出していった生徒の傍ら、その一部始終を記憶の片隅にすら置かずにいた二番煎じの少年が地べたに胡座をかいて、慎重に掌に収まる程度の小さな機械仕掛けであろう物に工具を回していた。

 そっと足音を立てずに背後へと忍び寄っていく。

「……オルゴール」無意識のうちに口走っていた。

「っ⁉︎」

 慌ただしく振り向く生徒の視線とぶつかり合う。

「うわっ!」

「あっ、ごめん」

「何か、用か?」

「いや、ちょっと何作ってるのか気になって」

「あぁ、これか。これは、これは、オルゴールだ」

「うん。でも、ただのオルゴールじゃないんでしょ」

「いや、ただの、ただのオルゴールさ」

 この世界の骨董品に似た代物を介して、小石に躓きながらの言葉を交差させ、流れは淀みへ向かう。

「そっか」
だが、それを稚児のように縮こまる姿を間に受けた親心の先代によって斯くも呆気なく断ち切られた。

「じゃ、僕は行くね」

「あぁ、悪いな」

「気にしなくて大丈夫だよ」

 腹拵えに大食堂へと空っぽな胃袋を押さえながら向かえば、陰りに呑まれた生徒らが何やら怪しげな会議を囲んだ食事そっちのけに話題を広げていた。

 彼等の肉体の供給源とも呼べるご馳走が冷めゆくのを諸共せずに、周囲の視線にばかり気を遣って。

「……?」

 そんな異様な光景に一瞥しながらも配膳された、湯気の昇る心なしか身体に優しいスープに思わず、「やった」と、心情を吐露し、空席に進んでゆく。

 他を寄せ付けぬ猛禽の如く鋭い眼光に死守され、中々思い通りに進めなくとも、運良く巨躯に挟まれての偶然の一席に巡り合い、何とか腰を下ろした。

 そして、赤裸々に胸の内を披露するのは先代だけでは無かった。先、彼らとほんの僅かに目が合ってしまっていたのか、弱腰姿勢諸君が一丸となって、図体の割に小胆なる板挟みの兵士二人を押し退け、逃げる隙すら与えずに皆が皆、轟々と捲し立てる。

 たった一人――大人しげな寡黙の少女を除いて。

「ねぇ、貴方逃げ延びたんでしょ⁉︎」
「確か、京介って言ったよな? どうやったんだ⁉︎」
「三日経って、外の状況は? 兵士の捜索とか!」
それはあの時の状況を事細かに求めているようで。

「もういっそのこと、俺たちのチームに」

「いや、此奴は彼奴と組んでるんだ。辞めておいた方がいいに決まってる」

「それもそうだな、悪いな。今度、ちゃんと話そう」

「う、うん」

 まるで、嵐のように過ぎ去っていってしまった。

 先代の食事に目に見えないながらも沸々と不快感を込み上げてくる、無数の飛沫と唾液を飛ばして。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...