22 / 27
骨の髄まで肉食いてぇ俺は 社畜ッ 社畜ぅ!
しおりを挟む
「ご歓談、楽しんで頂けましたかな」
「お陰様で」
「では――」
「どうだ? ヒロよ、勝算あるか?」
開戦間際、俺は颯と小声で耳打ちに走る。
「まだまだ役者不足。時間稼ぎが必要だね。でも、長期戦が行けるなら確率は五分かな」
「そんなら任せろ。こっちは現役時代、帰宅は定時だからな。社畜舐めんなあぁァ……」
「それは頼もしいね」
「よし、行くぞ」
多勢に無勢。
過去の俺では矜持で成し得ぬ、目眩し狙いの地面に刃の叩きつけで砂埃を舞い上げた。
でも、
次の瞬間には空は晴れ、視界は曇ってた。
から、掌を天に掲げたのに、無い。
というか――
もげてた、
四肢が。
「え」
何で。
寝起きで動かしにくい首で横向けば……。
ヒロが地面に座って連れ共と戯れていた。
駄犬の首の分厚い毛に指ィ食い込ませて、早起きな過保護な母性の塊と仲良く手を繋ぎ、
親バカの視線は、無色透明の暴れた何かを、片目瞑りで咥えた白騎士に向けられていた。
如何に契約が恐ろしいかを知らしめてやろうと呪印を光らせようとも肝心の手がねぇ。
血の契約なんだから、身体で機能しろよ。首を根源に縛り上げた鎖の首輪だって、大した意味なんざねぇんだから。ふざけんなよ。
結局、何も変わらねぇ。
「やっぱりお前もそっち側か」
「うん」
「お前ふざけんなよ」
「自分の言葉には責任持とうよ」
「おれ、死ぬのか」
。
「俺だってェたくさん頑張ってここまで来たのに、なんでお前らなんかに邪魔されなくちゃいけないんだっよ! 色んなの解決してきただろ‼︎ 頼むから消えてくれよよぉ……ォ。もーッ。嫌だよ、辞めてくれよ。はやくぅ‼︎ ぁぁ!」
体まで真っ黒になってく。でも、もうどうでもいいや。絶対お前ら全員、殺してやっから。
。
死ねば、星になるのだろうか。
親父のように。
名誉の戦死からは程遠くかけ離れている。でも、自害は勘弁だ。せっかく生まれて来たんだし、ちゃんと自分を愛してやらねぇと。
まだきっと、チャンスはある。ある筈だ。
さっき敗因を、まだ負けてねぇけど。ボロボロにされた理由を思い起こせば、必ず……。
走馬灯くらいに鮮烈なフラッシュバックを。
確か――小手調べでメリス御一行、個々の無駄に洗練された数手に見事に翻弄されて、矢継ぎ早の正直、見分け付かねぇ信奉者の。
ぁ、そうだ。
俺、彼奴に八つ裂きにされたんだ。
有象無象率いる隊長全員の攻撃躱したってのに独りだけ、やらしい技繰り出しやがって。俺の弱点本でも読んだみたいに全て知り尽くした上に、最弱の最年長者に微笑まれてた。
他所の我流連中に即席で合わせて巧妙な不可避の形取ってきたのに、星に優しい花びら咲かす掌技や眩しい光線だのと、気色悪い。
環境過保護活動家やんなら道でも塞いどけや。
うん。
そういや、ガキの知り合いみたいだったな。
え、いや長くない? もしかして本当に死んじゃったの? まさか此処でくたばんの? まだ志半ば! まだ早いって、絶対早いって、誰が見ても早いって、主人公だよ? 俺。
「どうされました。もうお眠りに? 貴方が起きてくださらないと始まらないのですが」
「え、寝てた」
気付けば、また現実に引き戻されていた。
「えぇ、瞬き程度に」
寝そべった俺を一同は、温かく見守って。
片目の霞みを指先で沿わようと手を伸ばす。でも、届かない。立ちあがろうとしても足が動かねぇ。身を丸めても視界に映らねぇよ。
「あ」
左に精一杯首傾げば待ち構えた連中が。逆は同じ釜の飯を食った奴が見てすらもない。
「ぁぁ」
天にだって。
神の従僕如きに陰られている。
「ぁ、ぁぁ」
「おや」
「ァァァァァァ‼︎」
「フッ、まるで稚児の駄々」
まるで迷路に迷い込んだ蝶のように、
「……ですね」
ただ羽が欠け落ちるのを待つばかりだ。でも、どうか最後の羽撃きだけは許してくれ。
最新の注意を払って差し伸べた掌の先、飢えを満たしてくれる布に隠れた喉があった。
もう、何も失うことなどない。
好きにやろう。
「ヴァぁウッ‼︎」
初めてだ。人の喉を、噛みちぎったのは。
舌に載った肉やら骨は酷く素朴で不味い。だが、悪くない展開だ。+で、そのまま飲み込むには丁度いいサイズ。
ゴクッ。
そう大々的に公表された音も然る事乍ら、失われた一部たちを自らの力で取り戻した。
魔法というモノで。
「死に際で禁忌に触れるとは……。漏洩した魔力を増加し、縫合。荒療治ですが、妙案」
まだ本調子じゃねぇ。
この人数相手にすんのは流石にキツい。
父さん。もしかしたら本当に俺は貴方と。
「お父さんへの思いはそんなものだったの?」
側から余計な言葉が耳にブッ刺さった。
それはきっと、悪戯好きの小悪魔に違いない。
まだ俺には、希望の光がある。
その一縷の願いを信じ、剣を大地に突き立てる。
「起きろ」
「お陰様で」
「では――」
「どうだ? ヒロよ、勝算あるか?」
開戦間際、俺は颯と小声で耳打ちに走る。
「まだまだ役者不足。時間稼ぎが必要だね。でも、長期戦が行けるなら確率は五分かな」
「そんなら任せろ。こっちは現役時代、帰宅は定時だからな。社畜舐めんなあぁァ……」
「それは頼もしいね」
「よし、行くぞ」
多勢に無勢。
過去の俺では矜持で成し得ぬ、目眩し狙いの地面に刃の叩きつけで砂埃を舞い上げた。
でも、
次の瞬間には空は晴れ、視界は曇ってた。
から、掌を天に掲げたのに、無い。
というか――
もげてた、
四肢が。
「え」
何で。
寝起きで動かしにくい首で横向けば……。
ヒロが地面に座って連れ共と戯れていた。
駄犬の首の分厚い毛に指ィ食い込ませて、早起きな過保護な母性の塊と仲良く手を繋ぎ、
親バカの視線は、無色透明の暴れた何かを、片目瞑りで咥えた白騎士に向けられていた。
如何に契約が恐ろしいかを知らしめてやろうと呪印を光らせようとも肝心の手がねぇ。
血の契約なんだから、身体で機能しろよ。首を根源に縛り上げた鎖の首輪だって、大した意味なんざねぇんだから。ふざけんなよ。
結局、何も変わらねぇ。
「やっぱりお前もそっち側か」
「うん」
「お前ふざけんなよ」
「自分の言葉には責任持とうよ」
「おれ、死ぬのか」
。
「俺だってェたくさん頑張ってここまで来たのに、なんでお前らなんかに邪魔されなくちゃいけないんだっよ! 色んなの解決してきただろ‼︎ 頼むから消えてくれよよぉ……ォ。もーッ。嫌だよ、辞めてくれよ。はやくぅ‼︎ ぁぁ!」
体まで真っ黒になってく。でも、もうどうでもいいや。絶対お前ら全員、殺してやっから。
。
死ねば、星になるのだろうか。
親父のように。
名誉の戦死からは程遠くかけ離れている。でも、自害は勘弁だ。せっかく生まれて来たんだし、ちゃんと自分を愛してやらねぇと。
まだきっと、チャンスはある。ある筈だ。
さっき敗因を、まだ負けてねぇけど。ボロボロにされた理由を思い起こせば、必ず……。
走馬灯くらいに鮮烈なフラッシュバックを。
確か――小手調べでメリス御一行、個々の無駄に洗練された数手に見事に翻弄されて、矢継ぎ早の正直、見分け付かねぇ信奉者の。
ぁ、そうだ。
俺、彼奴に八つ裂きにされたんだ。
有象無象率いる隊長全員の攻撃躱したってのに独りだけ、やらしい技繰り出しやがって。俺の弱点本でも読んだみたいに全て知り尽くした上に、最弱の最年長者に微笑まれてた。
他所の我流連中に即席で合わせて巧妙な不可避の形取ってきたのに、星に優しい花びら咲かす掌技や眩しい光線だのと、気色悪い。
環境過保護活動家やんなら道でも塞いどけや。
うん。
そういや、ガキの知り合いみたいだったな。
え、いや長くない? もしかして本当に死んじゃったの? まさか此処でくたばんの? まだ志半ば! まだ早いって、絶対早いって、誰が見ても早いって、主人公だよ? 俺。
「どうされました。もうお眠りに? 貴方が起きてくださらないと始まらないのですが」
「え、寝てた」
気付けば、また現実に引き戻されていた。
「えぇ、瞬き程度に」
寝そべった俺を一同は、温かく見守って。
片目の霞みを指先で沿わようと手を伸ばす。でも、届かない。立ちあがろうとしても足が動かねぇ。身を丸めても視界に映らねぇよ。
「あ」
左に精一杯首傾げば待ち構えた連中が。逆は同じ釜の飯を食った奴が見てすらもない。
「ぁぁ」
天にだって。
神の従僕如きに陰られている。
「ぁ、ぁぁ」
「おや」
「ァァァァァァ‼︎」
「フッ、まるで稚児の駄々」
まるで迷路に迷い込んだ蝶のように、
「……ですね」
ただ羽が欠け落ちるのを待つばかりだ。でも、どうか最後の羽撃きだけは許してくれ。
最新の注意を払って差し伸べた掌の先、飢えを満たしてくれる布に隠れた喉があった。
もう、何も失うことなどない。
好きにやろう。
「ヴァぁウッ‼︎」
初めてだ。人の喉を、噛みちぎったのは。
舌に載った肉やら骨は酷く素朴で不味い。だが、悪くない展開だ。+で、そのまま飲み込むには丁度いいサイズ。
ゴクッ。
そう大々的に公表された音も然る事乍ら、失われた一部たちを自らの力で取り戻した。
魔法というモノで。
「死に際で禁忌に触れるとは……。漏洩した魔力を増加し、縫合。荒療治ですが、妙案」
まだ本調子じゃねぇ。
この人数相手にすんのは流石にキツい。
父さん。もしかしたら本当に俺は貴方と。
「お父さんへの思いはそんなものだったの?」
側から余計な言葉が耳にブッ刺さった。
それはきっと、悪戯好きの小悪魔に違いない。
まだ俺には、希望の光がある。
その一縷の願いを信じ、剣を大地に突き立てる。
「起きろ」
8
あなたにおすすめの小説
ポンコツと蔑まれた冒険者は最強クランをつくる
ぽとりひょん
ファンタジー
エアハルトは、幼なじみのエルメンヒルトを追ってダンジョンの町「ゴルドベルク」で冒険者になろうとする。しかし、彼のアビリティを見た人たちは冒険者を諦め村へ帰るように説得する。彼には魔力がなかった。魔力がなければ深層で魔物と戦うことが出来ないのだ。エアハルトは諦めきれずエルメンヒルトと肩を並べて冒険するため、冒険者となってポンコツと蔑まれながら、ソロでダンジョンに挑み始める。
幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜
犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。
これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。
足手まといだと言われて冒険者パーティから追放されたのに、なぜか元メンバーが追いかけてきました
ちくわ食べます
ファンタジー
「ユウト。正直にいうけど、最近のあなたは足手まといになっている。もう、ここらへんが限界だと思う」
優秀なアタッカー、メイジ、タンクの3人に囲まれていたヒーラーのユウトは、実力不足を理由に冒険者パーティを追放されてしまう。
――僕には才能がなかった。
打ちひしがれ、故郷の実家へと帰省を決意したユウトを待ち受けていたのは、彼の知らない真実だった。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる