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分からないと怖い話
受験生
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今日も息子は、受験戦争の最前線に立っている。
昔、何気なく見かけたインスタント味噌汁のCMへの謎の憧れを抱いていたが、そんな生半可な意志ではなく、限りなく効率良く、生まれた頃から異常なまでの負けず嫌いと執着心を発揮し、机に齧り付いていた。妻からの問い掛けにも応じず、いつまでも。
私の学生時代には見れなかった生き様を前に、流石に我が子の頑張りに問答無用で褒めちぎりたいのだが、言葉を掛ければ明日にも水死体辺りで見つかりそうなので今はとりあえず大人しくしておこう。
それは勿論、連休でも体に遠慮せず。
だが、やはり止められない感情があるもので、不恰好な形のおにぎりに冷蔵庫に在る最強の具材を使い、永らく溶かさずにいた味噌汁を夜明けに運ぶ。
表面張力で溢れを意識しながら扉を開いた先――
珍しく居眠りに興じたおはようの一言も出せない疲れ切った丸い背中は、お盆をそっと側に置かせた。
ちゃんと、布団で寝かせるべき、だったろうか。
足が机の下に張り付き過ぎてて、私には、もう。
今となっても、どうすることもできなかった。
昔、何気なく見かけたインスタント味噌汁のCMへの謎の憧れを抱いていたが、そんな生半可な意志ではなく、限りなく効率良く、生まれた頃から異常なまでの負けず嫌いと執着心を発揮し、机に齧り付いていた。妻からの問い掛けにも応じず、いつまでも。
私の学生時代には見れなかった生き様を前に、流石に我が子の頑張りに問答無用で褒めちぎりたいのだが、言葉を掛ければ明日にも水死体辺りで見つかりそうなので今はとりあえず大人しくしておこう。
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