最愛の敵

ルテラ

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アデリア戦

21話 神聖ムニティーム帝国

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 ラズリ、レオの目の前にはアデリア帝国の軍隊がいた。
「あれ、ですかね」
「だな」
 アデリア帝国の後方にやたらと大きい大砲(?)のようなものがあった。
「1発撃たれただけでもここがなくなりそうですね」
「撃たれる前に制圧する」
 レオは頷く。レオは指揮官のいるテントに向かう。
「パイロン殿」
指揮官と思われる人が駆け寄る。
「何かありましたか?」
「あの大きな大砲が起動し始めたら。すぐに軍隊を撤退させてください。あれは我々用に作られた武器なので我々でどうにかします」
「畏まりました。すぐに全体に伝えます」
 レオはラズリの元へ行く。
「伝えてきました」
「さっさと片付けて向こうに合流する」
 そう言いラズリは巨大な矢を上空に作る。
 敵も味方も騒めく。
 敵の誰かが叫ぶ
‘逃げろぉぉぉぉぉ’
 だが巨大な矢からどう逃げられようか。矢は容赦なく敵のど真ん中に放たれる。
放たれると同時に進軍を開始し、2人も味方の軍に紛れ進軍する。

ー神聖ムニティーム帝国ー
「アイシャ、炎を消した奴の相手は俺がするから中に行っててくれ」
「でもあんたと相性悪い気が・・・」
「俺の火はあんなんで消えるほどやわじゃねよ」
「何かあったらすぐ連絡しなさい」
「わかってる」
 フィールは敵の元へ、アイシャは神聖ムニティーム帝国へと行く。
「もっと強い奴はいねぇのかー」
 誰かが叫ぶ。
 どうやら炎を消した張本人のようだ。既に何人かの味方はそいつの手によって死んでいた。スイマール帝国の軍人では手の負えなかった。
「おい、お前達、下がれここからは俺がやる」
 味方に安堵の空気が流れる。
「ほう、少しは強そうなやつが現れたな」
「少しかどうかはやってみなきゃわからなよ」
 相手を挑発するように言う。

 アイシャは1人、神聖ムニティーム帝国に入った。敵に気づかれないように木を抜け、民間の屋根で落ち着く。
「きれー」
 アイシャは思はず見惚れてしまう。
 ここで『世界の英雄』が誕生したとされ。一説では神託があったから世界を統一しようとした考えられている。そのためこの地は最も神に近い土地とされてきたそうだ。最初は大袈裟だと思った。
 しかし、あっちこちに花が植えられ。石造りの家。何より真ん中に聳え立つ白い神殿のような建物。神の都にでも訪れてしまったようだった。
 しかしアイシャはハッと我にかえる。
[こちらアイシャ、ムニティームに入れた。これから真ん中の建物に潜入する]
 通信でそう言い。
「ん?」

「通信聞こえましたか?」
「あぁ、思った以上に早いな」
 ラズリ達はアデリア帝国の兵士を片付けていた。
「それよりあれは起動するのか?」
 ラズリの言うあれは巨大な大砲(?)のことだ。
「分かりません。起動しないに越したことはありませんが不気味ですね。おっと」
 死角から襲ってきた敵を安易と捕まえる。
「あの、聞きたいことがあるのですが。あれは何でしょうか?」
「し、知らねよ」
 敵は叫ぶ。
「そうですか」
  ザバキ
「痛えぇぇぇぇ」
 レオは敵の指を一本切る。
「あれは何ですか?」
 レオは再び問う。
「知らね。本当に何も知らない」
 敵は許しを乞うように言う。
 レオはラズリの方を見る。ラズリは人差し指で自分の首を横になぞる。
 バシャ
 レオは敵を殺す。
「やはり、あの近くにいる人間じゃなきゃ分かりませんかね」
「行くぞ」

「こっち誰か手を貸してくれ」
「こっちも来てくれ」
「今行きます」
 トートは怪我人の救助をしていた。
「(皆さん大丈夫だろうか。さっきの敵はどうなったのだろうか?)」
 トートは首を振るう。
「(いや、あの人達はパイロン何だ。きっと大丈夫だ)」
「こっち誰か」
「今行きます」
「(皆さんの為にもここで頑張んなきゃ)」

「なーんだ。期待ハズレだな」
 フィールは敵をあっさり倒していた。
「ありがとうございます。パイロン」
 だがその声にフィールは答えない。
「(変だな。敵が国を攻めてきったていうのに守りが弱すぎねぇか。それともこれが全力?)」
 考えを巡られているとライの言葉を思い出す。
「(‘対パイロン用武器’いやまさかな有り得ない)」
 フィールはその考えを払い除けると、
「おい・・・」
[フィール!]
 アイシャから通信がくる。
[どうした?
[人が1人もいない]
[はっ?どういうことだ?]
[わかんない。でも誰もいない]
[どこにも?]
[街の真ん中に白い城があるんだけど、そこはまだ行ってない]
[ならそこにいるかも知れねぇな。俺もそっちに行く。合流しよう]
[わかった]
「おいお前達行くぞ」
「はい」
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