最愛の敵

ルテラ

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アデリア戦

34話 デイビット

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ー40日前ー
 レオは旧セルシア王国についていた。
「着いた」
 海岸のすぐそこが森となっている部分がありそこに着く。レオは久しぶりの大地を噛み締め伸びをする。
「おつかれ様です」
 レオを連れてきた『影』が言う。
「案内ありがとうございます」
「ではここからは私が、別の『影』が現れる。
 『影』それはライの直属の部隊で彼らが情報を収取する専門部隊。どんな所にも潜り込み情報を得る。決して主人を裏切らない。戸籍もないため名前、年齢、経歴の一切が不明、彼らからが捕まっても足がつくことはない。敵に捕まっても自害するように教育されている。情報を得る為に潜入、拷問、殺人なんでも意図はない情報収取に特化した部隊なのだ。ちなみの影に潜れるのは地面に潜る為のアーティファクトをつけているから(つけていない『影』もいる)。
「王が会いたがっています」
「分かりました。案内お願いします」
 森の中に入り、その中にある洞窟の中に入って行く。
「こちらです」
 そこには岩の下に扉があった。
「おぉ、ここに」
 レオが下を覗いた後に『影』見る。『影』は頷く。
「私からお離れならないように」
 ランプに灯りをつけ先に進む。しばらく進むと1つの光が見える。
「お初目お目にかかります。パイロンのお方ですか?」
 体格がよく鼻下の髭が整えられた中年の男が出てくる。
「パイロンのレオと言います。あなたは?」
「ジュードと申します。ここからは私が案内します」
「分かりました。よろしくお願いします」
「では、私は失礼します」
「ありがとうございました」
 『影』は消える。歩き始める。
「兵達はどうですか?」
「窮屈な思いをさせておりますが優しい方々です」
「それはよかったです。それにしても広いですね」
 いくら歩いても先が見えない。足音が反響してこず、光は手持ちのランプだけなのでジュードがいなければ二度と外には出れないだろう。
「町の方にまで続いております。何年もかけ掘り進めました。全ては国を取り戻すため」
 その声には憎しみが込められていた。
 真っ暗で時間感覚がわからない。大分歩いた頃、賑やかな声が聞こえてきた。
「着きました」
 そこには見慣れた制服をきた者たちがいた。
「おっ、パイロンだ」
 誰かが言う。それを機に騒がしさが波紋のように消えていく。
「初めまして。お久しぶりです」
 レオは一礼する。兵達はぎこちなくお辞儀をする。
「王がお待ちです」
 兵達の間から声がする。兵達がはけていくと、そこには背筋を伸ばした老婆がいた。
「あなたは?」
「王の乳母です。こちらへ」
 そう言い後ろを向き歩き始めたため後に続く。
「こちらです」
 兵が二人立っている。
「王、パイロンが来ました」
「入ってください」
「(ん?)」
 違和感を感じる。しかし部屋に入るとその違和感に気づく。
「わざわざ、お越しいただき感謝します」
「いえ(幼いな)」
 王と聞いていたためレーベルト(皇帝)の様な大人を想像していたがかなり幼い。  10歳にも満たないだろう。
「仮面をつけたままの挨拶失礼します。パイロンのレオと申します。お見知りおきよ」
 頭を下げる。
「あ、頭をお上げください」
 王はアタフタする。
「王!あなたは王なのです。堂々として下さい」
 乳母に叱られる。
「(苦労してるな)」
「は、はい」
 縮こまる。
「(トートに似てるな)」

「はぷしょん」
 トートはくしゃみする。
「(風邪かな?)」

「あっ!デイビットと申します。お見知りおきを」
 軽く頭を下げる。
「よろしくお願いします。いきなりですが作戦の概要を話したいのですが時間短縮のため兵達と共に聞いてもらいたいのですが」
「分かりました。そうしましょう」
 作戦の概要を話す。話し終えると一人の兵が手を挙げる。
「タイミングとかは?」
「それは合図があります。そのタイミングで我々も敵陣に侵攻します」
「ではそれまで我々はできる限りの準備をしましょう」
 作戦の概要を話し終え解散する。
「王」
 呼ばれ後ろを振り向くとレオがいた。
「なんでしょうか?」
「お時間ありましょうか?二人で話したいのですが」
「はい、ではこちらへ」
 先程面会した部屋へ通してくれた。
「話しとは?」
 レオは少し考える様に間を置き
「あなたも戦いになるのですか?」
 王は悲しそうな顔し
「したいと思っています」
 レオの眉がピクリっと動く。
「冗談ですよね?」
「いえ」
 王は首を振るう。
「戦いたいのですか?」
「今まで多くの人達に助けられてきました。だから恩返しがしたいんです」
 その目には強い意志があった。
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