最愛の敵

ルテラ

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アデリア戦

48話 強い思い(2)

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 No.4の息の根を止めるのを今か今かと待ち侘びるように氷矢がNo.4の周りを埋め尽くす。
「あなたに話しかけるちょっと前です」
「あの会話は時間稼ぎと言う訳か?」
「えぇ、魔力操作にかなり集中力が入りますから」
「一度放った物は動かせないはずなぜ?」
「魔力循環と魔力操作を掛け合わせたものです。我々これを『魔力電流』と呼んでます。では」
 魔力電流・・・体内で行うものだがこれを外で行い無機質なものに魔力を移す。さらに魔力操作により操ることを可能にする。
「ま、待って!いいのか?このまま殺して・・・(奴の隙を作る)」
 見苦しく命乞いを始める。
「惜しいですが、今の俺にあなたを確保できる余力はありません。何より俺の仲間を殺すと言った。これは万死に値します。(それにそろそろ限界だ)」
 よく見ると体に霜が降りてきている。
「ま・・・」
 グサ
「ギャァァ」
 右手もやられる。No.4はレオを睨めつけるが、レオのその冷ややかな目にすぐにその顔は恐怖で埋め尽くされる。
「そのままあの世で懺悔してください」
 パリン
 No.4は一瞬にして氷漬けとなる。
 パン
 No.4は砕ける。
 レオは技を解く。空を見つめる。雲一つない空美しい。
 「速く・・・いかな・・・」
 倒れたレオの体を霜が覆う。
「ハー」
 
 アイシャは髪を掴まれ壁に投げられる。
 ドン
「ギャッ」
 毒で体が動かないため勢いよくぶつかる。
 「なぁ教えてくれよ。見下していた奴に見下されるってどう言う気持ちなんだ。んん」
「・・・ゔ・・・あい・・・」
「聞こえねぇよ」
 No.6はアイシャの手の甲に擦り傷を作り、そこに自身の毒をつける。
 ドクン
「カァ・・・ハァア゛」
 傷口が紫色に変色しみみず腫れのように広がり。
「いやぁぁぁぁ」
 雷なりに打たれたような針で全身を刺されるような痛みが襲いかかる。
「キャアアァァァ」
 涎と涙が滴る。
「いい。いいね!その声が聞きたかったんだ」
 No.6はきみの悪い笑みを浮かべる。「もっと聞かせろ。なぁ!」
 No.6はアイシャの髪を掴み上げる。
「・・・れ」
「あぁ?」
 アイシャは唇を噛み締め顔上げる。
「くたばれ!」
 アイシャは最後の力振り絞り、No.5の口を両手で塞ぐ。
「テメェ何つった!あぁ?」
 壁にアイシャを投げつける。
「もういっぺん・・・カハ」
 No.6は吐血をする。
「何が?テメェ何した!」
 アイシャを蹴る。
 しかしアイシャは何も答えない。
「おい、おい!」
 No.6の体が徐々に膨らんでいく。
「ハガ・・・イハ・・・こ・・・ころ」
 バシャン
 No.6は血と肉を撒き散らし死ぬ。
「一生理解なんてできないわよ」

ー11年前ー
 カン カン
「ん、いや!」
「そこだー!」 
カーン シュッ
 アイシャの首元に木刀が向けられる。
「そこまでです」
 幼いアイシャ、フィール、レオは剣の訓練に励んでいるようだ。
「フィールもう少し手加減したらどうですか?」
「手加減したら練習なんねぇじゃん!」
「いいのレオ、私は大丈夫」
 負けたことが悔しく下を向く。炎天下の中アイシャは一人剣を振るった。
「(もっと強くなんなきゃ)」
 ブン ブン
「あっ!」
 手から剣が抜ける。剣は綺麗に周りながら空中をいく。
「あ、危ない」
 その先に少女がいる。
 だが、少女は飛んできた剣を軽々と掴む。
「ラズリ!」
 少女はラズリだった。
「ごめん。大丈夫だった?」
 ラズリに駆け寄る。
「お前の限界を決めるのはいつだって他人だがお前の最高を決めるお前だ」
「え?」
「自分のペースでやればいい。できないことは仲間が補ってくれる、辛いものだけでなく楽なものも見ていいんだ。お前の人生は自分で歩かなければならないからな」
そう言い剣を渡す。

ー現在ー
 アイシャがやったことは相手に術式を埋め込む術式移動だ。術式移動とは相手または物に自身の術式を写す、書く行為を指す。
 アイシャはパイロン(トートは除く)で戦闘能力が低いが誰よりも魔力を操ることに長けていた。術式移動とはアイシャが独自に作ったものだ。自分の可能性を模索し続けた結果この方法を開発できた。『術式移動』が失敗すれば自身の術式の効果が現れて最悪死ぬこととなるとても危険な行為だ。
 アイシャは薄れ意識のなか手に魔力で術式を書きNo.5の口の覆った瞬間に移動させNo.5のお腹に術式を2つ移植された。
 一つ目は風が集まるよにするための術式。
 二つ目は風を集めるために相手の魔力を利用するための術式だ。
「(ラズリやったよ)」
 相手の血で全身で真っ赤に染まりながらもその笑顔は美しかった。
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