51 / 115
アデリア戦
50話 会議
しおりを挟む
「頂けません」
自分はリヒト陛下に返還しようとする。
「貰っとけ」
テントの幕が開く。
「皆さん!」
そこにはレオさん、フィールさん、アイシャさん、セリアさんがいた。
「おはよう、トート」
セリアさんが微笑みながら手を振るう。
「検診に来ました」
「頼んだ」
「トートせっかく貰ったんだから飲んどけ」
フィールさんが勧める。
「でも・・・」
「私達も貰ったから」
「皆さんもお怪我を?大丈夫でしたか?」
「この通り、大丈夫よ」
「中級ポーションだからすぐに回復するはずよ」
セリアさんが言う。
「分かりました」
ポーションを飲むと体が熱くなったかと思えば徐々に落ち着く。
巻かれていた包帯を取ると包帯が巻かれていたのが不思議なほど綺麗に消えていた。
「すごい」
思わず口にする。自分は陛下の方を見る。
「このご恩は一生かけても返します」
自分は頭を下げる。
「そうかそうか・・・」
「もう俺たちは皇帝に一生分の恩を売った」
フィールが嫌味を言う。
「今度は返される番だ」
「そうそう」
自分、リヒト陛下、デイビット王、セリアさんは苦笑いする。
「あのラズリさんは?」
「城の方にいるよ」
自分が寝ていたテントは都市の広場にあった。セリアさんは他にもやることがあるためここで別れ、城へと向かう。
城に向かう間、自分は一言も発しなかった。いや話せなかった、皆さんがとても重々しい感じだったから。
城の中ではなく庭園へと向かう。
「ラズリ」
ラズリさんはこちらを向く。
「起きたか」
「ご迷惑をお掛けしました。あの、あの後どうなったんですか?」
ー3日前ー
ラズリは城へと向かった。皇帝の姿はどこにもなかった。ラズリはひとまず地下へと向かい民間人の救出をし動けるもの達で動けない者そしてレオ、フィール、アイシャ、トートの救助にあたった。
2日後、『影』と王、民が到着。その1日後皇帝達も合流した。
ー現在ー
「以上だ」
「皇帝の捜索は?」
「鋭利捜査中だ」
ラズリの言葉にリヒト陛下が困ったように言う。
「あの黒マントの人達は?」
トートがラズリに質問する。
「それも捜査中だ」
「2日後、会議をここで開くパイロンも参加してくれ」
「わかった」
「他に何かあるか?」
「いえ、ありません」
トートは首を振るう。
「トートは会議まで休んどけ」
フィールがトートに指示を出す。
「はい」
「あのトート殿、少し歩きませんか?」
デイビット王がトートを誘う。
「いいんじゃないでしょうか。リハビリだと思って」
「自分でいいなら。それでは失礼します」
自分は頭を下げデイビット王と共に後にする。
「言わなくていいのか?」
皇帝が言う。
「何をだ?」
「黒マント・・・オムニブスのことは言わなくていいのか?」
「知らなくていい。それと会議・・・」
「わかっている。オムニブスと“魔力玉”の件はここだけの秘密だ」
「助かる」
「ライには?」
「今はそっとしといてあげてください。あいつも成すべきことは分かっていますから」
ライは城の一室で無気力のまま外を眺めていた。
「わかった」
ー2日後ー
アルデリの城で会議が開かれた。参加者はパイロン、ライ(皇帝の側近設定で参加)、スイマール帝国の皇帝と側近3名、パルデーニャ王国の王と側近2名、旧セルシアルのデイビット王とその側近2名、アデリア帝国の生き残り5名が参加した。
内容は今後の事と報酬について。話はスムーズに進んだ。アデリアの人達がごねると思ったが皇帝が自分達にした事とを考えると、反発する気力はない様だ。
ライはただ黙って立っていた。後から聞いた話だがアデリア帝国にいた3名の『影』の内1名が行方をくらましているそうだ。それがショックだったのだろう。
会議は2日間にかけて行われ1週間後に新聞やテレビで報道された。全員が知る事実はアデリア帝国はスイマール帝国のものとなったこと。
パルデーニャ王国はアデリア戦に大きく貢献したため10年間の減税と土地と金の授与が決まった。
旧セルシアルは正式に国として独立しデイビットが王に就任しスイマールの傘下に入った。こちらもアデリア戦に大きく貢献したため土地の授与と復興のための支援をしてもらえることとなった。さらにワープ装置もつけられることとなり交流がしやすくなることだろう。
ワープ装置とは乗り物でも1週間以上かかる所を数分で行ける。欠点と言えば魔力消費が激しいこと、ワープ装置が設置されている所でしか行き来が出来ないことだ。その為、皇族と許可された一部の貴族しか使えない点だ。
自分はリヒト陛下に返還しようとする。
「貰っとけ」
テントの幕が開く。
「皆さん!」
そこにはレオさん、フィールさん、アイシャさん、セリアさんがいた。
「おはよう、トート」
セリアさんが微笑みながら手を振るう。
「検診に来ました」
「頼んだ」
「トートせっかく貰ったんだから飲んどけ」
フィールさんが勧める。
「でも・・・」
「私達も貰ったから」
「皆さんもお怪我を?大丈夫でしたか?」
「この通り、大丈夫よ」
「中級ポーションだからすぐに回復するはずよ」
セリアさんが言う。
「分かりました」
ポーションを飲むと体が熱くなったかと思えば徐々に落ち着く。
巻かれていた包帯を取ると包帯が巻かれていたのが不思議なほど綺麗に消えていた。
「すごい」
思わず口にする。自分は陛下の方を見る。
「このご恩は一生かけても返します」
自分は頭を下げる。
「そうかそうか・・・」
「もう俺たちは皇帝に一生分の恩を売った」
フィールが嫌味を言う。
「今度は返される番だ」
「そうそう」
自分、リヒト陛下、デイビット王、セリアさんは苦笑いする。
「あのラズリさんは?」
「城の方にいるよ」
自分が寝ていたテントは都市の広場にあった。セリアさんは他にもやることがあるためここで別れ、城へと向かう。
城に向かう間、自分は一言も発しなかった。いや話せなかった、皆さんがとても重々しい感じだったから。
城の中ではなく庭園へと向かう。
「ラズリ」
ラズリさんはこちらを向く。
「起きたか」
「ご迷惑をお掛けしました。あの、あの後どうなったんですか?」
ー3日前ー
ラズリは城へと向かった。皇帝の姿はどこにもなかった。ラズリはひとまず地下へと向かい民間人の救出をし動けるもの達で動けない者そしてレオ、フィール、アイシャ、トートの救助にあたった。
2日後、『影』と王、民が到着。その1日後皇帝達も合流した。
ー現在ー
「以上だ」
「皇帝の捜索は?」
「鋭利捜査中だ」
ラズリの言葉にリヒト陛下が困ったように言う。
「あの黒マントの人達は?」
トートがラズリに質問する。
「それも捜査中だ」
「2日後、会議をここで開くパイロンも参加してくれ」
「わかった」
「他に何かあるか?」
「いえ、ありません」
トートは首を振るう。
「トートは会議まで休んどけ」
フィールがトートに指示を出す。
「はい」
「あのトート殿、少し歩きませんか?」
デイビット王がトートを誘う。
「いいんじゃないでしょうか。リハビリだと思って」
「自分でいいなら。それでは失礼します」
自分は頭を下げデイビット王と共に後にする。
「言わなくていいのか?」
皇帝が言う。
「何をだ?」
「黒マント・・・オムニブスのことは言わなくていいのか?」
「知らなくていい。それと会議・・・」
「わかっている。オムニブスと“魔力玉”の件はここだけの秘密だ」
「助かる」
「ライには?」
「今はそっとしといてあげてください。あいつも成すべきことは分かっていますから」
ライは城の一室で無気力のまま外を眺めていた。
「わかった」
ー2日後ー
アルデリの城で会議が開かれた。参加者はパイロン、ライ(皇帝の側近設定で参加)、スイマール帝国の皇帝と側近3名、パルデーニャ王国の王と側近2名、旧セルシアルのデイビット王とその側近2名、アデリア帝国の生き残り5名が参加した。
内容は今後の事と報酬について。話はスムーズに進んだ。アデリアの人達がごねると思ったが皇帝が自分達にした事とを考えると、反発する気力はない様だ。
ライはただ黙って立っていた。後から聞いた話だがアデリア帝国にいた3名の『影』の内1名が行方をくらましているそうだ。それがショックだったのだろう。
会議は2日間にかけて行われ1週間後に新聞やテレビで報道された。全員が知る事実はアデリア帝国はスイマール帝国のものとなったこと。
パルデーニャ王国はアデリア戦に大きく貢献したため10年間の減税と土地と金の授与が決まった。
旧セルシアルは正式に国として独立しデイビットが王に就任しスイマールの傘下に入った。こちらもアデリア戦に大きく貢献したため土地の授与と復興のための支援をしてもらえることとなった。さらにワープ装置もつけられることとなり交流がしやすくなることだろう。
ワープ装置とは乗り物でも1週間以上かかる所を数分で行ける。欠点と言えば魔力消費が激しいこと、ワープ装置が設置されている所でしか行き来が出来ないことだ。その為、皇族と許可された一部の貴族しか使えない点だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる