最愛の敵

ルテラ

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チャムク帝国

90話 真実(2)

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 この2つは遺伝するんだ。親が2つの魔法を持っていなくとも発現することはある。だが殆どの場合は遺伝によって引き継がれているんだ。だから私は強行手段に出た。闇持ちは何人か確保していたが、光持ちは重宝されていたからなかなか見つけることができなかった。だが、ここはチャムク帝国、皇族はバカみたいにプライドが高い。確信した、光持ちを拐っても奴らは隠蔽するとね。だから誘拐した。全員、誘拐してもよかったんだけどね。それは流石に公表されるリスクもあったし警備も厳しかったから1人が限界だったよ。
 だが両方は無理だって?そうだよ。でもそれでよかった。どちらかの魔法が遺伝していれば後は持っていない方を移植すればそれでいいんだ。
 拒絶反応?それは解決した。光と闇はどれも貴重だからね。失敗は許されない。だから他の魔法で実験していたんだ。
 例えば、父親が氷、母親が風だったとしよう。生まれた子供は氷だった。その子供に母親の風を移植した所上手くいったんだ。それだけじゃない、その子供が両方を受け継いでいなく、火だったとしよう。その子供に父親の氷を移植した所、これもいまくいったんだ。さらに欲をかいて、母親のも移植した所上手くいったんだ。まあ、肉体強化が甘くて一週間も生きられなかったけどね。でもそれでよかった。要は基礎さえちゃんとしていれば後はどうにでもなれる。
 完成形のための礎になってもらったよ。でもそっからも苦労してね。ようやく産まれた1人目は嬉しさのあまり、実験を急ぎすぎて死亡。2人目は元々体が強くなかったため同じく死亡。そして3人目でようやく起動に乗った。
 あれは光の魔法を持っていたのさ。だから闇の魔法を移植した。何故父親のを移植しなかったのか?
 最初はそのつもりだったがこれで失敗してはまた一からになってしまうからね。それに『どちらかの魔法が遺伝していれば後は持っていない方を移植すればそれでいいんだ』ってそこで新たな疑問に思った。『父親の氷、母親の風でなくとも氷、風は移植出来ないのか』っと。そして、これも上手くいった。だから別の闇を移植したよ。
 移植したあと、あれの目をみて驚いたよ。闇持ちの象徴である“赤目”を引き継がれていたのだから。確信したよ。成功したと。
 何故あれの親に訓練さてたか?そうしなければあんなことにはならなかった?
 確かにそうだね。でもあれを訓練出来るのはその魔法を持っている者、そして戦闘能力も高いあの2人だったのさ。光持ちの全員は皇族の命で訓練を受けさせられる。そして晴れて“聖騎士”という称号を与えられる。あれの母は次期、聖騎士に一番近い者とされていた。そして、あれの父もまた傭兵として実力を馳せていた者だったのさ。これ以上の適任はいないだろう?そしてあれはわざと何んだ。あれに2人を殺させたのはね。もちろん、2人を殺せれば強くなったという証明になる。だがこの研究所がバレってしまったからね。証拠を隠滅する必要があったんだ。その手っ取り早い方法が“サマエルの魔力暴走”だった訳さ。そして上手くことは行き、あれを“引き取る”ことが出来た。
 そこまでする必要があったかって?ああ、そうだね。でももう一つやるべきことがあったんだ。より確実に私の手駒とさせる為には面倒でもなさなければならなかった。でも、時期的にはもう少し後にやる予定だったんだ。でも粛清しなければならなかった。あの2人を。何故かって?それはあれに心、教えようとしていたからさ。余計なことをしなければ生きられたものを。でもね、教えずともあれは無意識に芽生えていたさ。何故分かるか?あの爆破が証拠さ。何の感情もないあれがあれ程のことをした、それに、それは別に大した問題ではないんだ。聞いたことないかい?狼が人間の子を育てるとかって話。生きとして生きるもの全てに愛はある。自然の摂理だ。
 だが、あれには必要ないものだ。だがら、あれが拒絶する様に仕組んだのさ。簡単に言ってる?まさか段階を飛ばさぬ様に一歩一歩丁寧にやっていた。そしてもう時期、完成する。ああ、まだあれは完成ではないよ。実はねもう一つ並行して進めていた、研究があってね、それがようやく完成の目処が立ったんで、あれを連れ戻すんだ。本来はあれで完成だったんが、より完成に近づけるんだ。妥協なんてすなんて愚かだろう。
 準備を追って説明するよ。あれの完成についてね。
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