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第一章
第8話 盗賊をやっつけましょう
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「さあ、作戦会議を始めるわよ! あっ、大きな声を出しても大丈夫よ、私が結界を張っているから声なんか外には聞こえないからね」
テラはムルムルの上でふんぞり返り、そんな事を言う。
「おお! テラ凄い事が出来るんだね、お花に栄養与える事がお仕事だって言ってたのに、僕にも教えてよ」
「まあ! 結界術ですの! わ、私も教えて欲しいです」
テラはムルムルの上でふんぞり返ったまま鼻の穴を膨らませ、ふふんっとどや顔、可愛いです。
「よろしい! ライ、ティ、教えてあげるわ! ムルムルも一緒に覚えるのよ!」
「「はい!」」
ぷるぷる
ムルムル、それは頑張るって事かな、あははは。
「でもまずは、今の状況ね、この盗賊は、五台の馬車で成り立っているわね、この小さい馬車は子供が二人、ライとティ二人だけね、もう一つの大きな馬車は女性冒険者達が三名捕まっていて、区切られて男性冒険者が六名、合わせて十一名が人攫いの犠牲者ね」
そんなに捕まっているのか、すると人攫いの人数は多いでしょうね。
ティは、自分達以外にも居た事に驚き、大きな眼をさらに大きく見開き口も半開きになっています。
「それで、盗賊の連中は十五人よ、話の内容から察するに、今日の夜も人攫いをするみたいよ、ライ、やっつけちゃいなよ」
やっつけちゃいなってテラってば軽いですね!
「良いのかな? もしかして当たり処が悪くて死んでしまったりするかも、狙いは結構自信がある方だけれど」
「盗賊は生死不問でどこの街でも引き取ってくれますわよ」
ん~、この、“殺す” 事に忌避を感じないのは、スキルの、“健康” が心の健康を守っているからなのかな? 僕は既に強盗を捕まえるために足をウインドアローで撃ち抜き捕まえたのですが、太い動脈を撃ち抜いた様で出血で殺してしまった時も、『ああ、こんな事は普通なんだ』と納得してしまったのですよね。
もしかすると、精神耐性なのかもしれませんが、ステータス見えないからなぁぁ、神様、僕だけでも見える様にして貰えませんかね。
「そうだよ、やっつけちゃって良いからね、ライならちょちょいっとやってしまえるよ、後ついでにこの馬車は頂いちゃいましょう、造りは古臭いけれど頑丈そうよ、ムルムルが穴を開けるのに苦労するくらいね」
ぷるぷる
あははは、ムルムル頑張ったものね、旅の足は必要だし、箱馬車なので夜営はテント要らずになりますね、小さな穴は開いてますが、頂いた後に直しましょう、DIYですよ。
「そうだね、ティを送る目的が出来たから、馬車はあると嬉しいし、ティを歩かせるのも、どれだけ遠いか分からないから欲しいかな」
「送って下さるの? ライ、ありがとうございます、テラ師匠もムルムルさんもよろしくお願いいたしますね」
「任せておいて! ライが何とかするから!」
お~い、僕がやるのにテラがなぜ肩の上で偉そうなのか分からないけれど、何とかしちゃいましょう。
「じゃあ、さっさとやっちゃいましょうか」
「「ぬかるんじゃないよ!」」
僕は立ち上がり行動を開始します。
この馬車には盗賊は御者一人だけしか乗っていない、後は進行方向に気配があるだけなので、まずは馬車の戸に掛かった施錠を外しましょう。
この世界の鍵は魔法の鍵なので、戸に近付き、魔法の鍵に内封されている魔力をぐるぐるします、“ガチャ” 外れた音が聞こえました。
内開きの戸を開け、そ~っと外を見るため顔を出してみる。
後ろは誰もいませんね、前に大小四台の馬車が先行しています。
僕は、馬車の屋根に登り(梯子が付いていました)、そ~っと屋根をつたい御者台へ向かいます。
御者台には男が一人手綱を持ち、大あくびをしていました。
これはチャンスですね、眠いという事は、頭は少し回転が遅くなっている筈ですから絶対気付かないですね、遠慮無く男の魔力を無理やり回し、魔力を発散させて行きます。
魔力があまり多くなかったのか、男はすぐに気を失い、ふらふらと前のめりに倒れ御者台から転げ落ち、馬車が、“ガダンガコン” と男を踏み越え進みます、屋根の上で立ち上がり後ろを見ると、街道には大の字で動かない男が倒れていますので、男を収納してみる、抵抗もなく収納出来ましたので、死んだようですね、街道から男は消え何もなかったかの様になりました。
僕は御者台へ飛び降り手綱を手に取ります、前の馬車に遅れない様にしながら、御者台にある小窓を開けた。
「ライ! 怪我はしていませんか! 酷く揺れましたわよ!」
ティが窓を開け、僕が御者台にいると分かり、小窓から顔を出し声をかけてきてくれました。
小窓に手を掛け、顎を乗せたぶん背伸びをしているでしょうね、あははは。
「盗賊が御者台から落ちて、踏んでしまいましたから、ティは揺れて怪我とかはしてない?」
「はい、大丈夫ですわ、ムルムルさんと師匠は大喜びで転がっていましたが、うふふ」
「あはは、まあ、怪我がなければオッケーかな、テラ、どれが人攫いされた冒険者達が乗っている馬車なのかな?」
「あっ、今持ち上げますわね」
そう言うとティが小窓から消え、次に現れた時は頭にムルムルとテラを乗せ、小窓に顎を乗せる。
うん、さらに可愛さアップだよね。
「すぐ前の馬車よ、ライ、やっておしまい!」
前の馬車をビシッ! っと指差しそう言うが、馬車の操縦はどうしようか。
「あ、あの私が馬車の手綱を握りましょうか? 引っ張って貰ってこの小窓から出して貰えれば、何度か馬車は動かした事がありますので」
「おお、それは助かりますでは引っ張りますね」
片手で手綱を持ち、もう片方の手でティを引っ張りあげます。
「うんしょ、ふう、中も綺麗になったとはいえ、外の空気はやはり良いですね、では手綱をお預かりしますね」
「うん、お願いね」
大きく深呼吸して、御者台に座ったティに手綱を渡します。
「じゃあ行ってきますね」
「行ってらっしゃいませ、お気を付けて!」
「頑張るのよライ、応援は任せておいて!」
二人の言葉を聞き、馬車から飛び降り、前の馬車に向かって、“ドンッ” と地面を蹴り加速します。
数秒で前の馬車に追い付き、屋根に飛び上がり素早く御者台の上に到着。
二人ですね、気付かれる前に一気にぐるぐるやっちゃいますよ~ほいっと!
手綱を握る男はすぐに魔力欠乏で気絶しましたが、もう一人はまだ動けるようです。
「おい、居眠りしてんじゃねえぞ、ッたくしゃ~ね~なぁ~」
手綱を取ろうと、御者台で立ち上がり、垂れ下がっているために体をのりだし手を伸ばしたところで、魔力欠乏で気絶しました。
ガダンガコンガゴン
「収納! よし、こいつはえっとロープは持ってたかな?」
と考えていたのですが、御者台の背もたれ部分にいくつもロープが、掛けられてありました。
「そっか、人攫い用かな」
手足を縛ってしまい、ふと思い付いて、男の持ち物を片っ端から収納して、パンツだけに。
手綱を操作しながら小窓を見てこれなら大人の人でもごつい人以外なら出れそうな大きさです。
「収納した中身は後で確認しようか、んっと、小窓は鍵付きですね、ぐるぐるっと」
“ガチャ” 開きました、そして小窓を開け中に呼び掛けます。
「助けにきました、馬車を運転できる方は? それとこの窓から出れる方はいますか?」
「ああ、助けが来たのか、馬車は大丈夫だが、すまないな俺達は無理だ、縛られて動けないんだよ」
中を覗くと壁にロープで縛り付けられていました。
「ナイフを渡しても抜けるのは厳しいですね、ん~」
「馬さん、前の馬車に付いて走っていて下さいね」
一応ですが、馬さんにお願いをして、手綱を御者台に引っ掛け、小窓から中に滑り込み、素早く六人のロープをナイフで切り拘束を解いていく。
「お兄さん馬車の運転をお願いします、前の馬車に付いて行って下さい、盗賊を捕まえますので」
最初に話しかけてきていたお兄さんに頼んでおきます。
「任せろ、礼は後でな」
「はい、急いで下さい、馬さんに任せてありますのでどうなるか分かりません」
「おう!」
お兄さんは、体に残っていたロープを投げ捨て、器用に小窓から外に出て手綱を握ってくれました。
それを見て、僕は次の方のロープを切り始めました。
テラはムルムルの上でふんぞり返り、そんな事を言う。
「おお! テラ凄い事が出来るんだね、お花に栄養与える事がお仕事だって言ってたのに、僕にも教えてよ」
「まあ! 結界術ですの! わ、私も教えて欲しいです」
テラはムルムルの上でふんぞり返ったまま鼻の穴を膨らませ、ふふんっとどや顔、可愛いです。
「よろしい! ライ、ティ、教えてあげるわ! ムルムルも一緒に覚えるのよ!」
「「はい!」」
ぷるぷる
ムルムル、それは頑張るって事かな、あははは。
「でもまずは、今の状況ね、この盗賊は、五台の馬車で成り立っているわね、この小さい馬車は子供が二人、ライとティ二人だけね、もう一つの大きな馬車は女性冒険者達が三名捕まっていて、区切られて男性冒険者が六名、合わせて十一名が人攫いの犠牲者ね」
そんなに捕まっているのか、すると人攫いの人数は多いでしょうね。
ティは、自分達以外にも居た事に驚き、大きな眼をさらに大きく見開き口も半開きになっています。
「それで、盗賊の連中は十五人よ、話の内容から察するに、今日の夜も人攫いをするみたいよ、ライ、やっつけちゃいなよ」
やっつけちゃいなってテラってば軽いですね!
「良いのかな? もしかして当たり処が悪くて死んでしまったりするかも、狙いは結構自信がある方だけれど」
「盗賊は生死不問でどこの街でも引き取ってくれますわよ」
ん~、この、“殺す” 事に忌避を感じないのは、スキルの、“健康” が心の健康を守っているからなのかな? 僕は既に強盗を捕まえるために足をウインドアローで撃ち抜き捕まえたのですが、太い動脈を撃ち抜いた様で出血で殺してしまった時も、『ああ、こんな事は普通なんだ』と納得してしまったのですよね。
もしかすると、精神耐性なのかもしれませんが、ステータス見えないからなぁぁ、神様、僕だけでも見える様にして貰えませんかね。
「そうだよ、やっつけちゃって良いからね、ライならちょちょいっとやってしまえるよ、後ついでにこの馬車は頂いちゃいましょう、造りは古臭いけれど頑丈そうよ、ムルムルが穴を開けるのに苦労するくらいね」
ぷるぷる
あははは、ムルムル頑張ったものね、旅の足は必要だし、箱馬車なので夜営はテント要らずになりますね、小さな穴は開いてますが、頂いた後に直しましょう、DIYですよ。
「そうだね、ティを送る目的が出来たから、馬車はあると嬉しいし、ティを歩かせるのも、どれだけ遠いか分からないから欲しいかな」
「送って下さるの? ライ、ありがとうございます、テラ師匠もムルムルさんもよろしくお願いいたしますね」
「任せておいて! ライが何とかするから!」
お~い、僕がやるのにテラがなぜ肩の上で偉そうなのか分からないけれど、何とかしちゃいましょう。
「じゃあ、さっさとやっちゃいましょうか」
「「ぬかるんじゃないよ!」」
僕は立ち上がり行動を開始します。
この馬車には盗賊は御者一人だけしか乗っていない、後は進行方向に気配があるだけなので、まずは馬車の戸に掛かった施錠を外しましょう。
この世界の鍵は魔法の鍵なので、戸に近付き、魔法の鍵に内封されている魔力をぐるぐるします、“ガチャ” 外れた音が聞こえました。
内開きの戸を開け、そ~っと外を見るため顔を出してみる。
後ろは誰もいませんね、前に大小四台の馬車が先行しています。
僕は、馬車の屋根に登り(梯子が付いていました)、そ~っと屋根をつたい御者台へ向かいます。
御者台には男が一人手綱を持ち、大あくびをしていました。
これはチャンスですね、眠いという事は、頭は少し回転が遅くなっている筈ですから絶対気付かないですね、遠慮無く男の魔力を無理やり回し、魔力を発散させて行きます。
魔力があまり多くなかったのか、男はすぐに気を失い、ふらふらと前のめりに倒れ御者台から転げ落ち、馬車が、“ガダンガコン” と男を踏み越え進みます、屋根の上で立ち上がり後ろを見ると、街道には大の字で動かない男が倒れていますので、男を収納してみる、抵抗もなく収納出来ましたので、死んだようですね、街道から男は消え何もなかったかの様になりました。
僕は御者台へ飛び降り手綱を手に取ります、前の馬車に遅れない様にしながら、御者台にある小窓を開けた。
「ライ! 怪我はしていませんか! 酷く揺れましたわよ!」
ティが窓を開け、僕が御者台にいると分かり、小窓から顔を出し声をかけてきてくれました。
小窓に手を掛け、顎を乗せたぶん背伸びをしているでしょうね、あははは。
「盗賊が御者台から落ちて、踏んでしまいましたから、ティは揺れて怪我とかはしてない?」
「はい、大丈夫ですわ、ムルムルさんと師匠は大喜びで転がっていましたが、うふふ」
「あはは、まあ、怪我がなければオッケーかな、テラ、どれが人攫いされた冒険者達が乗っている馬車なのかな?」
「あっ、今持ち上げますわね」
そう言うとティが小窓から消え、次に現れた時は頭にムルムルとテラを乗せ、小窓に顎を乗せる。
うん、さらに可愛さアップだよね。
「すぐ前の馬車よ、ライ、やっておしまい!」
前の馬車をビシッ! っと指差しそう言うが、馬車の操縦はどうしようか。
「あ、あの私が馬車の手綱を握りましょうか? 引っ張って貰ってこの小窓から出して貰えれば、何度か馬車は動かした事がありますので」
「おお、それは助かりますでは引っ張りますね」
片手で手綱を持ち、もう片方の手でティを引っ張りあげます。
「うんしょ、ふう、中も綺麗になったとはいえ、外の空気はやはり良いですね、では手綱をお預かりしますね」
「うん、お願いね」
大きく深呼吸して、御者台に座ったティに手綱を渡します。
「じゃあ行ってきますね」
「行ってらっしゃいませ、お気を付けて!」
「頑張るのよライ、応援は任せておいて!」
二人の言葉を聞き、馬車から飛び降り、前の馬車に向かって、“ドンッ” と地面を蹴り加速します。
数秒で前の馬車に追い付き、屋根に飛び上がり素早く御者台の上に到着。
二人ですね、気付かれる前に一気にぐるぐるやっちゃいますよ~ほいっと!
手綱を握る男はすぐに魔力欠乏で気絶しましたが、もう一人はまだ動けるようです。
「おい、居眠りしてんじゃねえぞ、ッたくしゃ~ね~なぁ~」
手綱を取ろうと、御者台で立ち上がり、垂れ下がっているために体をのりだし手を伸ばしたところで、魔力欠乏で気絶しました。
ガダンガコンガゴン
「収納! よし、こいつはえっとロープは持ってたかな?」
と考えていたのですが、御者台の背もたれ部分にいくつもロープが、掛けられてありました。
「そっか、人攫い用かな」
手足を縛ってしまい、ふと思い付いて、男の持ち物を片っ端から収納して、パンツだけに。
手綱を操作しながら小窓を見てこれなら大人の人でもごつい人以外なら出れそうな大きさです。
「収納した中身は後で確認しようか、んっと、小窓は鍵付きですね、ぐるぐるっと」
“ガチャ” 開きました、そして小窓を開け中に呼び掛けます。
「助けにきました、馬車を運転できる方は? それとこの窓から出れる方はいますか?」
「ああ、助けが来たのか、馬車は大丈夫だが、すまないな俺達は無理だ、縛られて動けないんだよ」
中を覗くと壁にロープで縛り付けられていました。
「ナイフを渡しても抜けるのは厳しいですね、ん~」
「馬さん、前の馬車に付いて走っていて下さいね」
一応ですが、馬さんにお願いをして、手綱を御者台に引っ掛け、小窓から中に滑り込み、素早く六人のロープをナイフで切り拘束を解いていく。
「お兄さん馬車の運転をお願いします、前の馬車に付いて行って下さい、盗賊を捕まえますので」
最初に話しかけてきていたお兄さんに頼んでおきます。
「任せろ、礼は後でな」
「はい、急いで下さい、馬さんに任せてありますのでどうなるか分かりません」
「おう!」
お兄さんは、体に残っていたロープを投げ捨て、器用に小窓から外に出て手綱を握ってくれました。
それを見て、僕は次の方のロープを切り始めました。
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