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第二章
第48話 エルフの町の今後について
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「ムルムル凄いよ! 凄いですけどお腹は大丈夫なの?」
辺り一面に散らばっていたゴブリンの血液なんかも全て綺麗に取り込んで戻ってきました。
ぷるぷる
「もちろんよ♪ ムルムルは私の騎獣ですもの♪ こんなの余裕よ♪」
ぷるぷる
余裕そうです。
「あはは♪ よしこれで取り敢えずの心配は無くなったね。戻るよ」
ムルムルを地面から掬い上げ、肩に乗せます。
そう言えばプシュケは背負子に乗ったままでしたね~。
「何だかんだでそろそろお昼ごはんだよね、早く帰ってお昼ごはんにしよう」
「はい、私も背負子に乗っていただけなのですが、お腹は空きますね♪」
「でしょ♪ よし帰ろう」
ここに来た時と同じ様に枝から枝へ。
「あっ! これってクルミだよね!」
途中まで帰ってきて気付いたのですが、ポコポコ緑色の果実が実った木がそこかしこにあって、行きには気付きませんでしたが沢山ありました。
「まあ! そうです沢山ありますよ! 村の近くにもあったのでよく採取しに行ってました! ここは沢山あるので取り放題です♪」
「あら、気付いてなかったの? この辺りは結構広い範囲でクルミが群生しているから私用に一つ残しておいて、木の半分くらいは取っちゃっても良いわよ。野生動物もこの辺りはあまりいないから」
「そうなの? イノシシさんとかいないのかな? 後はサルさんにリスさんとか?」
「リスはいるけれど、イノシシやサルは魔物にほとんどやられちゃってこの辺りにはいないわ。海近くにはいるかも知れないわね」
「ならリスの分を残してクルミを取りましょう!」
プシュケを背負子から下ろして、籠を渡してあげます。
僕は木に登って枝から、プシュケは低い所と落ちてしまっている物で虫食いしていないものを拾いながら籠にある程度集まったら僕が収納をします。
途中やっぱりお腹が空いたのでマシュー特製シチューと、僕が色んな魔物の形にした魔物パンでお昼を済ませ、何籠収納したのか分かりませんが採取を終え、町に戻った時はもう夕方でみんな畑仕事が終わったのか外には誰もいませんでした。
ですが町の中には昼間と違い大通りには人が溢れていました。
門のところで再会した朝の門番さんに連れられ、泊まるところを紹介してもらいます。
「ここは外から人が来ないから宿はないんですよ。ですから私の家で泊まっていって下さい」
指差したのは大通りを進み広場に面した家が門番さんの家のようです。
「そっか! ハイエルフの村も、このエルフの町も知られてないですからね~。でもどうやってこんなに人が集まったのですか?」
家に着き、応接室のような部屋でお茶をいただきながらちょっと疑問だった事を聞いてみました。
「元々ここには小さな村があったそうです。伝わっているのは海の向こうからこの地に流れ着いたのが始まりと」
へえ。海の向こうにも大陸があるとは知っていましたが。そんな昔から海を渡る船を作っていたのですね。
「そしてこの場所を切り開き村を作りました。そしてその小さな村から出ていく者がいて、そしてその者達に聞いたのか、この村に来るものが現れ、出ていく者より来る者が増え、村から町になっていったのです」
ほお、少しずつ増えて沢山になったのですね。こんなに開墾できるのでしたらサーバル男爵領の領地を開拓してもらいたいですね。
あっ、そうするとハイエルフの村の食料が······ん? それは自分達でやってもらえば良いのかな?
「あの、少し聞いても良いですか?」
「はい。何か分からないところがありましたか?」
「いえ、皆さんはここでハイエルフの村の用の食料も作っているのですよね? なぜそんな事になっているのかなって気になったので」
「ああ、それは······それはなぜそんな事をやり始めたのでしょうか······」
腕を組み考える体勢になった時、腕に魔力を帯びた質素な腕輪が見えました。
「ねえテラ。ここの皆さん同じ腕輪かネックレス着けていて、それらか魔力が出てるのですよ。これって」
「ちょっと待ってね。んん~! あちゃ~それのせいね。これって偽装されているから普通なら分からないけれど奴隷にする魔道具よ」
「「なんですと!」」
エルフのおじさんは信じられないって顔で叫び、プシュケは口に手を当てこちらも信じられないって顔をしています。
「じゃあそれを取ってしまえば良いのかな? どう思う?」
「そうね、取ってもまだ食料を渡すって思っているなら良いけど、たぶんそんな人はいないでしょうね♪ うふふ♪ プシュケの両親を殺そうとした仕返しが出来そうね♪」
「え! じ、じゃあ」
「うんうん♪ あの人達にはあの人達で頑張ってねって事かな♪」
「それにここの土地はしばらく休ませないとどんどん収穫量が減るはずよ。そうでしょ?」
テラはそんな事を言いましたが、どうなのでしょうか?
「は、はい。ハイエルフの村に食料を持っていった後の残りではこの冬を越すのは難しいかと。収穫量は年々減り続けここ数年は毎年冬になると食べるものが少なく何人か亡くなっております」
おお、流石テラ。植物に関してだからお見通しなんだね。でも······
「そんな······私達って······」
やっぱりそれを聞いたプシュケはうつむき、黙ってしまいました。
よし、なんにせよまずは奴隷の腕輪を使えなくしてからです!
「じゃあそれ使えなくしても良いですよね?」
「そうね、ライやっちゃいなさい!」
「うん、よ~し! 町ごといっくよ~! ほいっと!」
町全体に魔力行き渡らせ、奴隷の魔道具に内封されている魔力をぐるぐるさせて吸い上げてしまいましょう!
どんどんこの家の上空に魔力を集めて行きます。
すると家の外から沢山の怒声が聞こえだしました。
『俺達は今まで何やらされてたんだ!』『嘘っ! 去年死んだ娘が生きられたかもしれないのに!』『うちの息子もだ! まだ三歳だったんだぞ!』『こんなところにいられるか! 町長だ! 町長に相談するんだ!』『よし! みんなを村長宅の前に集めるんだ!』『分かった! よし! そっちのお前は、すまないが長老達も呼んで来てくれ!』『分かったわ! 馬車で迎えに行ってくる!』
何やら騒がしくなってきましたよ······。
「ねえテラ、ヤバくないかな?」
「くふふふ。ライ、あなたのお父さんの領地に招待してあげれば? 開墾する場所はあるのでしょ?」
するとその事を聞いていたのか、ズザザザと膝をついたままこちらに向かってきました。
「ほ、本当ですか! この町の住民全てが行く事は無いかもしれませんが数千人、いくら少なく見積もっても千人は移動しかねませんよ! この町には三千人近くいます、それでも大丈夫なのでしょうか!」
「はい、たぶん全員来ても大丈夫ですよ。山や森もありますが、大きな川と湖、それに支流も通っていたし、草原もまだまだ沢山ありますし、開拓し始めてそんなに経っていないですから手付かずな土地はいっぱいありますね」
跪いた体勢のまま僕の言葉を真剣な目で見ています。
「その土地だって父さんが若い時に戦争で武勲を上げ騎士爵から陞爵して男爵になったのと同時に領地をいただいたそうで、まあ元々は誰も見向きもしない辺鄙な場所なので国の直轄地でしたし、今も少ない人達で細々と開墾している最中ですから」
「きっ、貴族のご子息様でしたか! ご無礼いたしました!」
詰め寄っていたのに、向かってきた時とは逆に、ズザザザと離れていきました。
「くふふふ。良いですよ♪ 僕は三男ですから家は継ぎませんので♪」
叙爵は決まっていますがこの場では誰も、テラとムルムルは知ってますが内緒で良いですよね。
「ほっ、ではお父上の領地に私達が行く事になっても良いのでしょうか?」
「この森には住んでいる人がいるなんて知らないと思いますので、ここの領主さんもいなくなっても気付くことは無いでしょうね♪」
「な、なるほど。ではその事を皆に報せなければなりませんね町長として」
え! 町長さんだったの!
横を見ると目の前のテラも、横に座っているプシュケも驚いているようです。
コンコンコン
『町長、皆さんが町長に会いたいと前の広場に集まってきていますが』
「分かった! すぐに行くので広場を照らすように、篝火の用意を頼む!」
『はい、分かりました』
「では私は皆のところに行きます。サーバル男爵領、場所は知るものがいれば良いのですが」
「一番近くの町で聞くのが一番かな。そうだ! 手紙を、父さん宛の手紙を書きますね♪」
「はい。助かります! では後程!」
町長は立ち上がり部屋を出ていきました。
辺り一面に散らばっていたゴブリンの血液なんかも全て綺麗に取り込んで戻ってきました。
ぷるぷる
「もちろんよ♪ ムルムルは私の騎獣ですもの♪ こんなの余裕よ♪」
ぷるぷる
余裕そうです。
「あはは♪ よしこれで取り敢えずの心配は無くなったね。戻るよ」
ムルムルを地面から掬い上げ、肩に乗せます。
そう言えばプシュケは背負子に乗ったままでしたね~。
「何だかんだでそろそろお昼ごはんだよね、早く帰ってお昼ごはんにしよう」
「はい、私も背負子に乗っていただけなのですが、お腹は空きますね♪」
「でしょ♪ よし帰ろう」
ここに来た時と同じ様に枝から枝へ。
「あっ! これってクルミだよね!」
途中まで帰ってきて気付いたのですが、ポコポコ緑色の果実が実った木がそこかしこにあって、行きには気付きませんでしたが沢山ありました。
「まあ! そうです沢山ありますよ! 村の近くにもあったのでよく採取しに行ってました! ここは沢山あるので取り放題です♪」
「あら、気付いてなかったの? この辺りは結構広い範囲でクルミが群生しているから私用に一つ残しておいて、木の半分くらいは取っちゃっても良いわよ。野生動物もこの辺りはあまりいないから」
「そうなの? イノシシさんとかいないのかな? 後はサルさんにリスさんとか?」
「リスはいるけれど、イノシシやサルは魔物にほとんどやられちゃってこの辺りにはいないわ。海近くにはいるかも知れないわね」
「ならリスの分を残してクルミを取りましょう!」
プシュケを背負子から下ろして、籠を渡してあげます。
僕は木に登って枝から、プシュケは低い所と落ちてしまっている物で虫食いしていないものを拾いながら籠にある程度集まったら僕が収納をします。
途中やっぱりお腹が空いたのでマシュー特製シチューと、僕が色んな魔物の形にした魔物パンでお昼を済ませ、何籠収納したのか分かりませんが採取を終え、町に戻った時はもう夕方でみんな畑仕事が終わったのか外には誰もいませんでした。
ですが町の中には昼間と違い大通りには人が溢れていました。
門のところで再会した朝の門番さんに連れられ、泊まるところを紹介してもらいます。
「ここは外から人が来ないから宿はないんですよ。ですから私の家で泊まっていって下さい」
指差したのは大通りを進み広場に面した家が門番さんの家のようです。
「そっか! ハイエルフの村も、このエルフの町も知られてないですからね~。でもどうやってこんなに人が集まったのですか?」
家に着き、応接室のような部屋でお茶をいただきながらちょっと疑問だった事を聞いてみました。
「元々ここには小さな村があったそうです。伝わっているのは海の向こうからこの地に流れ着いたのが始まりと」
へえ。海の向こうにも大陸があるとは知っていましたが。そんな昔から海を渡る船を作っていたのですね。
「そしてこの場所を切り開き村を作りました。そしてその小さな村から出ていく者がいて、そしてその者達に聞いたのか、この村に来るものが現れ、出ていく者より来る者が増え、村から町になっていったのです」
ほお、少しずつ増えて沢山になったのですね。こんなに開墾できるのでしたらサーバル男爵領の領地を開拓してもらいたいですね。
あっ、そうするとハイエルフの村の食料が······ん? それは自分達でやってもらえば良いのかな?
「あの、少し聞いても良いですか?」
「はい。何か分からないところがありましたか?」
「いえ、皆さんはここでハイエルフの村の用の食料も作っているのですよね? なぜそんな事になっているのかなって気になったので」
「ああ、それは······それはなぜそんな事をやり始めたのでしょうか······」
腕を組み考える体勢になった時、腕に魔力を帯びた質素な腕輪が見えました。
「ねえテラ。ここの皆さん同じ腕輪かネックレス着けていて、それらか魔力が出てるのですよ。これって」
「ちょっと待ってね。んん~! あちゃ~それのせいね。これって偽装されているから普通なら分からないけれど奴隷にする魔道具よ」
「「なんですと!」」
エルフのおじさんは信じられないって顔で叫び、プシュケは口に手を当てこちらも信じられないって顔をしています。
「じゃあそれを取ってしまえば良いのかな? どう思う?」
「そうね、取ってもまだ食料を渡すって思っているなら良いけど、たぶんそんな人はいないでしょうね♪ うふふ♪ プシュケの両親を殺そうとした仕返しが出来そうね♪」
「え! じ、じゃあ」
「うんうん♪ あの人達にはあの人達で頑張ってねって事かな♪」
「それにここの土地はしばらく休ませないとどんどん収穫量が減るはずよ。そうでしょ?」
テラはそんな事を言いましたが、どうなのでしょうか?
「は、はい。ハイエルフの村に食料を持っていった後の残りではこの冬を越すのは難しいかと。収穫量は年々減り続けここ数年は毎年冬になると食べるものが少なく何人か亡くなっております」
おお、流石テラ。植物に関してだからお見通しなんだね。でも······
「そんな······私達って······」
やっぱりそれを聞いたプシュケはうつむき、黙ってしまいました。
よし、なんにせよまずは奴隷の腕輪を使えなくしてからです!
「じゃあそれ使えなくしても良いですよね?」
「そうね、ライやっちゃいなさい!」
「うん、よ~し! 町ごといっくよ~! ほいっと!」
町全体に魔力行き渡らせ、奴隷の魔道具に内封されている魔力をぐるぐるさせて吸い上げてしまいましょう!
どんどんこの家の上空に魔力を集めて行きます。
すると家の外から沢山の怒声が聞こえだしました。
『俺達は今まで何やらされてたんだ!』『嘘っ! 去年死んだ娘が生きられたかもしれないのに!』『うちの息子もだ! まだ三歳だったんだぞ!』『こんなところにいられるか! 町長だ! 町長に相談するんだ!』『よし! みんなを村長宅の前に集めるんだ!』『分かった! よし! そっちのお前は、すまないが長老達も呼んで来てくれ!』『分かったわ! 馬車で迎えに行ってくる!』
何やら騒がしくなってきましたよ······。
「ねえテラ、ヤバくないかな?」
「くふふふ。ライ、あなたのお父さんの領地に招待してあげれば? 開墾する場所はあるのでしょ?」
するとその事を聞いていたのか、ズザザザと膝をついたままこちらに向かってきました。
「ほ、本当ですか! この町の住民全てが行く事は無いかもしれませんが数千人、いくら少なく見積もっても千人は移動しかねませんよ! この町には三千人近くいます、それでも大丈夫なのでしょうか!」
「はい、たぶん全員来ても大丈夫ですよ。山や森もありますが、大きな川と湖、それに支流も通っていたし、草原もまだまだ沢山ありますし、開拓し始めてそんなに経っていないですから手付かずな土地はいっぱいありますね」
跪いた体勢のまま僕の言葉を真剣な目で見ています。
「その土地だって父さんが若い時に戦争で武勲を上げ騎士爵から陞爵して男爵になったのと同時に領地をいただいたそうで、まあ元々は誰も見向きもしない辺鄙な場所なので国の直轄地でしたし、今も少ない人達で細々と開墾している最中ですから」
「きっ、貴族のご子息様でしたか! ご無礼いたしました!」
詰め寄っていたのに、向かってきた時とは逆に、ズザザザと離れていきました。
「くふふふ。良いですよ♪ 僕は三男ですから家は継ぎませんので♪」
叙爵は決まっていますがこの場では誰も、テラとムルムルは知ってますが内緒で良いですよね。
「ほっ、ではお父上の領地に私達が行く事になっても良いのでしょうか?」
「この森には住んでいる人がいるなんて知らないと思いますので、ここの領主さんもいなくなっても気付くことは無いでしょうね♪」
「な、なるほど。ではその事を皆に報せなければなりませんね町長として」
え! 町長さんだったの!
横を見ると目の前のテラも、横に座っているプシュケも驚いているようです。
コンコンコン
『町長、皆さんが町長に会いたいと前の広場に集まってきていますが』
「分かった! すぐに行くので広場を照らすように、篝火の用意を頼む!」
『はい、分かりました』
「では私は皆のところに行きます。サーバル男爵領、場所は知るものがいれば良いのですが」
「一番近くの町で聞くのが一番かな。そうだ! 手紙を、父さん宛の手紙を書きますね♪」
「はい。助かります! では後程!」
町長は立ち上がり部屋を出ていきました。
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