【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

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第三章

第114話 王城に入りますよ

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「え? ライリール君? だから魔力がね」

「くふふ。集めますよ~、ぐるぐる~。ほいっと!」

 範囲を広げ、遠くにいたゴブリンさん達の魔力ももらって、どんどん集めてきます。

「ねえ、ライリール君?」

「心配ないわ。ポリーはダンジョン街に来る前飛んだ場所を転移の到着地点にして準備を。そうだ、夜営の準備は取り止めてもらってね」

「は、はぁ。まあ良く分かりませんが、分かりました」

 テラが助言をしてくれましたね。ちゅ。ありがとうテラ。

「なっ! そ、そうやって、ちゅをみんなの前で恥ずかしいじゃない!」

「だって、嬉しかったからね。よし、集まってきたし、ポリーさん、少しずつ渡しますね、早くみんなを集めて下さいよ? 」

 ポリーさんは、僕達がおかしな事を言ってると思っていそうですが、自信満々な僕達を見て、馬車から下り、みんなを呼び集めています。

 そして、良い感じにポリーさんが先程まで回復途中だった魔力の数十倍は魔力が集まりましたので、準備完了です。

「あの、集まりましたが、ライリール君?」

「はい。じゃあ残りの魔力を渡していきますから、たぶんいつもの五倍くらいでいけると思うのですが、まずは十倍いくのでよろしくお願いします。ほいっと!」

「え? な、何これ! 嘘っ! でもこれなら! 皆さんこれから転移します。いきますよ! 転移!」

 パッ

「す、凄い! まだまだ余裕が有り余ってる感じですよライリール君!」

 ポリーさんの転移で到着したところは、お屋敷の庭のようで、門近くの壁際でした。

「ポリー様! ······転移後の体調は大丈夫なのですか? いつもなら気絶寸前になっておりましたが」

「ええ! まだ何往復いえ! 十往復くらい余裕でいけそうです! ライリール君あなたこれは何? こんなの初めてなんだけど!」

 ポリーさん。興奮しすぎで鼻息が荒いですよ、くふふ。

「僕が集めた魔力をポリーさんに付与しただけですよ。もしかすると、今ので魔力の上限が上がってるかもしれませんが、それはポリーさんの実力があるからですね」

 プシュケもリントもそれにムルムルまで、だいぶ魔力量が増えてきてますから効果はあると思います。

 テラは相変わらず上限が見えないくらいですし、ムルムルがあの神様に何かしてもらってから、魔力の上昇が凄くて、本当にこの前のヒュドラに追い付きそうな勢いです。

「そ、そうかしら? 私、徐々に自信が失くなってきてるのですが······。いえ、今はそんな事より王城に連絡を入れ――」

「その必要は無さそうですね、正面玄関口に止まっている馬車は宰相様の物ですから、党首様に会いに来られているのかと。今なら馬車を準備している途中のようですから、一言くらいならお話もてきるかと思います」

「まあ。それは好都合です。早速参りましょう。ライリール君達は、一旦待っていてもらえますか、もしかするとこのまま王城へ向かう可能性もありますので」

 隣に来ていたお兄さん達も、僕達と同じ様に頷き、ポリーさんを見送りました。

「な、なあ。おおさまに会うんだよな? 俺達ルールとかマナーなんて、なんにもしらねえぞ?」

 お兄さんがどことなく緊張した顔で尋ねてきました。

「ん~、私も他国の王様とはお会いした事は無いので分かりませんが、今回みたいな褒美の授与の場合はやり方を教えてもらえると思いますよ」

「はぁ、そ、そうだよな。それくらいは覚えねえとな」

 くふふ。皆さんホッとした顔になりましたね。ですが中々細かく覚えませんといけませんから頑張りましょうね。

「そうだ、お兄さん達はこの国出身なのですか?」

「ああ。ダンジョン街生まれのな。まあCランクになって、次は中々見えてこねえが、Bランクになれば色々旅もしてみたいと思ってるんだ」

「旅は楽しいですよ♪ おすすめです。あっ戻ってきましたね」

「いつか行ってやるさ。なんだか慌ててるようだが、何かあったのか?」

 ポリーさんは二人の護衛を連れて小走りに戻ってきました。

「み、皆さんお早く! すぐに王城へ向かいますよ!」

 なんと、今からすぐに王城行くとなるとは思ってもみませんでした。

 ポリーさんの言葉でバタバタとあわただしくみんなが馬車、騎馬に乗り込み、すぐに動き出しました。

 前側の小窓からそとを覗くと先程正面玄関口停まっていた馬車も動き出し、その後ろに付くようです。

 高い壁をくぐり抜け、門からそとに出て右に曲がると正面に大きなお城が見えていました。

「プシュケにリント。こっちおいで、お城が見えますよ」

「え! 見たい見たい!」

「べつに見なくても良いけどにゃ。まあ見てみるかにゃ」

 プシュケは先に来て、背伸びをしながら窓の縁に顎を乗せ早速見ているようです。僕はトテトテと近付いてきたリントを持ち上げ窓の縁に乗せてあげました。

「大きいねー。何人くらい住んでるのかな? 村よりは沢山住んでるわよね!?」

「にゃ~! デカイにゃ! ヒュドラよりデカイにゃよ!」

 喜んでくれたようです。

 そして大通りをまっすぐ進み、見えてきた門も大きく、でも僕達が近付くと、その門が開きだし、停まること無く門の中に入りました。

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