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ショウ。
しおりを挟む周りを見ても誰も帰ろうとしない。
「今日、あるかもね?」
「やっぱり?」
「参加メンバー帰ろうとしないじゃん。」
「じゃあ、やっぱりあるんじゃない?」
「帰んない方がいいね。」
そんな会話があちこちから聞こえる。
会場がザワザワする。
サラリーマン風の男たちが
「ショーっ ショーっ ショーっ」と
叫び出し手拍子が始まった。
あっと言う間に会場中に
掛け声と手拍子の一体感が生まれていた。
俺はこの何とも言えない感覚に震えていた。
音楽好きという共通点はあるものの、
友達同士っていう小さな繋がりがあるだけ
所詮、他人だ。
なのに この一体感。
ココはスゴい所だ。
隣りにいる
コウは皆んなと一緒に夢中で叫び手拍子を
していた。
急に会場のライトが落とされ
ステージの上にスポットライトが落とされた。
誰もいないんじゃないかと思うくらい
静まり返る。
ステージに男が上がった。
俺の身分確認をしたワイルドで色香漂う男だ。
「お前ら、どうしたい?」
男の一言に会場はまた興奮の渦に飲まれる。
「ショウ、聴かせろよ」
「ショウさん聴きたい」
「ショウさん皆んなに逢いたい」
それぞれが思いを口にする。
隣りにいるコウは泣きそうな顔で
ステージを見つめていた……
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