渇愛

あんず

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心配。

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イクの元気がない。

学校に来ていても、机に伏せてるだけ。



「こらっ郁弥、

お前他の先生から評判悪いぞ。」

担任のたっくんに声をかけられた。




「お前、放課後残りなぁ~」


「マジ?」


「マジ~」

たっくんは笑って教室を出て行った。







「イク?どうしたの?

ライブの後から元気ないよね?

オレ、何かした?」



「ん~?  コウのせいじゃないよ。

ゴメン心配かけたか?」




「イク、元気ないよ?」



「……ミキ、あれから帰ってないんだ。」



「ミキちゃん連絡取れないの?」



「ん。俺とは取らないよ。」



「えっ?」



「学校の友達の家に泊まってるみたい。

ミキにそんな友達がいるなんて知らなかった。

ミキの全部、知っているつもりだったのに……。

ミキ、俺に『捨てないで』って言ったんだ。

たぶん俺がミキの事、傷つけてるんだよ。

ミキ、母親に捨てられたって思ってるから。」



「イク……。」



「コウが悪いんじゃないよ。

だって俺、ずっと……ずっと…」



イクはまた机に伏せてしまった。

オレはイクの黒くサラサラな髪を指に絡めた。



「イク、ゴメン。

ツラいこと言わせて……。

オレは大丈夫だから。」














放課後、たっくんから

「一緒に帰るぞ。」って言われ

車に乗せられた。

……後部座席には俺とコウ。

わけも分からず乗っている。






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