渇愛

あんず

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篠宮先生。

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ミナ兄が院内ピッチでどこかに連絡しているのをボウっと眺めていた。


目を細めて優しく微笑むミナ兄は、綺麗でカッコよくて……とっても大きくて……暖かい。



電話を終えたミナ兄は、黙ったまま俺の頭をずっと撫でてくれていた



たぶん


俺が


泣いていたから…………







何も聞かないミナ兄が……優しくて

余計に泣けた。















「おはようございます。」





病室の入り口に目をやるとちょっと丸いヒトが立っていた。





「篠宮先生おはようございます。

お忙しいのにありがとうございます。

弟の郁弥です。

すみません……話し聴いてやってもらえませんか?」





「うん。大丈夫だよ?

美波クンは相変わらず僕に気を使い過ぎだよ?」



「…………すみません。」


いつも自信があって堂々としているミナ兄が
この丸いヒトの前では何だか幼く見えた。




「郁弥、篠宮先生だよ。

僕と義弥もお世話になってる。
安心して大丈夫。

たくさん話し、聴いてもらいな?」




「うん。」


「僕、仕事行ってくる……
また後で来るから。」



「ミナ兄は笑顔で俺の病室を出て行った。」




ミナ兄と義兄も?

………………



 


「郁弥クン、篠宮 武志です。
一応、専門は精神科の医者なんだ。


座っていいかな?」



「どうぞ。      あの…………

お願いします。」




この丸い篠宮先生は俺の聞こえないような呟きに微笑んでくれて

ゆっくりベッドサイドに座った。



「こちらこそ    よろしくね。」











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