君色

あんず

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駿くん。

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きっと

僕は変な顔をしているんだろう。

自分でも

わかる。




今夜のステージに立てるか

不安になってきた。






ありのままの自分の姿を

さらけ出せるのは

イクと駿くんの前だけだ。






いつからだったか

友達だと思っていたヤツに

『お前んち、変なの』って言われ

ヒトが怖くなった。




イクは

生まれた時から一緒に育った。

イクは

僕のおじさんにあたる。

イクには

父さんと母さんがいる。






僕には

優しい父さんと

優しいおじさんのミナ君がいる。

不満はない。

だけど

母さんもいないし

父さんとミナ君の部屋は

同じで

僕は一度も入った事がない。








授業参観に二人が来てくれた次の日に

友達にからかわれた……。

イクは怒ってくれた。





僕にとって当たり前の家族で

優しい父さんとおじさんなのに……。



でも

『変』かもって思った自分に気付いて






引きこもりになった。





父さんも

ミナ君も

優しくて

大好きで

僕を大切にしてくれる。

だから

『変』って思った自分が

大嫌いになった。





そんな僕の側に

ずっといてくれたのは

イクだった。















僕の様子がいつもと違う事に

駿くんが気付いて

イクを控え室から出した。



駿くんは

僕とイクが生まれた時から髪や服の面倒を

見てくれている。

引きこもりだった僕に

魔法をかけて部屋の外に出られるように

してくれた。

今の僕がいるのは駿くんのおかけだ。








青いコンタクトレンズ。

女の子にも見える髪や服。

武装して部屋の外に出れば

歌やピアノで自己表現できるくらい

自信を持たせてくれた。








「ミキ。

イクと何かあった?」


優しい駿くんの一言で

僕の閉じ込められた感情が

溢れ出してしまった。







駿くんの胸で

涙した。









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