君色

あんず

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薔薇のアーチ。

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美波さんの後をついて歩く。


美月は俺の腕の中でずっと微笑んでいた。






外来棟を抜けて病棟も通り過ぎた時、
目の前には緑爽やかな樹木に可憐な花が咲く中庭に出た。


奥には大学病院の一角なのか?と思うカントリー調の一戸建てがあった。




薔薇のアーチを潜り入り口の呼び鈴を鳴らした。





カチャリと扉が開くと、とても穏やかな笑顔のまぁるい顔の人が出てきた。





「美月くん、こんにちは。よく来たね?」




きっとこの人が武ちゃん先生なのだろう。




「武ちゃん、こんにちは。ミキいい子?」



美月は嬉しそうに武ちゃん先生を見ている。



まだ何も話していないのに挨拶の後に
『ミキいい子?』って言う美月に
顔色一つ変えずにいてくれる先生……。




「美月くん、きちんと挨拶できて偉いね?
いい子だよ。」




美月は「ふふっ」と小さく笑い笑みを浮かべてどことなく虚ろな表情をしていた。






「さあ、みなさん中に入って下さい。

僕の可愛い友達の様子を教えてもらえますか?」



「篠宮先生、僕は外来に戻らなければならなくて……スミマセン。美月をお願いします。」



「美波くんはいつも忙しそうだなぁ。
また今度ゆっくり話させてほしいな。」



「はい。先生、よろしくお願います。」







美波さんは篠宮先生にお辞儀をして速足で戻っていった。


俺達は篠宮先生に促されて中に入った。









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