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第2章
第24話
しおりを挟む「全く!お前のせいで2時間ほど無駄にした!」
おっさんの怒りはだいぶ治まったが、まだ少しプンプン丸状態だった。
「だから悪かったって。ロゼッタも謝ってるし。」
『申し訳ありませんガレアス様。』
「もう良い。それより早く始めるぞ!」
「今度は何?」
そう聞くとおっさんは少し嬉しそうになった。本当に特訓好きだなこの人。
「今日から残りの1ヶ月は空中戦をしてもらう。」
「おぉ、今までの特訓を活かした模擬戦みたいな感じか?」
「まぁそれに近いが、模擬戦ではない。相手する儂らはお前を殺す気でやる。」
(ん?聞き間違いかな?今当たり前みたいな顔で殺害予告された気がする。)
「…ごめん、疲れで幻聴でも聞こえたかも。もう一回言ってくれるか?」
「だからお前を殺す気でやると…」
「なんで?!」
「お主にはどんな攻撃もほぼ効かんじゃろ?」
「まぁそうだけど…」
「だから本番さながらでやるというだけじゃ。殺したいなんぞ思っちゃおらんわ。」
「なるほどね…」
「儂ら側は4.5日で交代をする。順番的には儂・アイナ・リヒト・ゼリス・バレルの順番だ。」
「確かにそれならいろんな戦い方ができるな。」
「そういう事じゃ。よし、初日は儂じゃな。ルールは鬼ごっこと同じ、ここら一体じゃ。ただし、お前は相手を死に至らしめる魔法・武術は禁止じゃ。」
「難しいな…ちょっと待って。」
俺は魔法袋から天叢雲剣を取り出し、刃の部分に薄く魔法障壁をはった。これによって龍殺しの刀は木刀と同じようなものになった。
「ロゼッタ」
『およびでしょうか、マスター』
「今回は自分で魔法を選ぶから、手動操作に変更頼む。」
『わかりました。自動操作から手動操作へ切り替えを開始します。…手動操作への変更完了です。』
「準備ができたようじゃな。とりあえず1回3時間を今日は3本じゃな。」
「うわぁ…わかったよ。」
俺とおっさんは空中で向かいあった。
審判はアイナさんだ。
「ルールは制限時間3時間、相手を死に至らしめる武術・魔法は禁止。相手を戦闘不能にしたらそこで一時中断となります。これは試合ではないので、勝ち負けはありません。思う存分戦ってください。それでは…」
俺は右手に刀、左手にロゼッタを持って構えをとった。おっさんは紅い大剣を右手だけで持っている。
「始め!!」
開始と同時に俺とおっさんは互いに一直線に突っ込んだ。
俺の叢雲とおっさんの魔剣がぶつかり、大きな金属音とともに衝撃波が発生した。下からエレナの驚く声がしたが、今はそんな事に構っていられない。
「儂の剣を受け止めるとは怖いやつだ。」
「喋ってる場合かよ!」
俺はロゼッタをおっさんに向け、遠距離攻撃型魔法を発動した。
「『氷弾』!!」
おっさんは高速でバック飛行をしなが、俺の弾丸を避けていく。
「ふんっ!」
避けているだけかと思ったら、おっさんは迂回しながら俺に向かって剣を振るった。すると赤い斬撃のようなものがいくつか飛んできた。
「飛ぶ斬撃が許されるのはゾロと鷹の目だけでしょっ!」
飛んできた数個の斬撃を叢雲で相殺する。
だか俺が斬撃を消している間におっさんは一気に距離を詰め、魔剣を振り下ろそうとしていた。
振り下ろされた魔剣をロゼッタで受け止め、叢雲に魔力を流し俺も斬撃を飛ばしてみた。叢雲から青い巨大な斬撃がいくつかおっさんめがけて飛んで行ったが、全て掻き消された。
「さすがだな!」
「おっさんこそ!」
こうしてひとまず3時間の勝負は終わった。
「はぁー疲れたぁ…」
「五龍の一角の本気を相手にした感想がそれか。普通のやつなら最初の一撃で終わっとるわい。」
「まぁそうかもな。」
「よし、早く次を始めるぞ!」
「わかってるよ!」
おっさんは戦うのが大好きなのか、俺にあまり休ませる間もなく空へ飛んで行った。
おっさんとの特訓は4日で終わり今度はアイナさん、リヒトさん、ゼリスさん、バレルさんと順々に続いていった。
アイナさんとバレルさんは主に魔法を使って、リヒトさんは体術と魔法、ゼリスさんは剣と魔法といった感じだった。
みんなそれぞれの戦い方に個性というか特徴があって、それを観察しながら戦うのは楽しかった。
そして3週間が経過しよとしていたー。
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