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⑥
しおりを挟む注文を済ませてカウンターに戻っていくウェイターを目で追うと店の奥の席にがっつり認識阻害のかかった番を連れた中央区の虎の中隊長がいた。
…やっほー!久しぶり!…もしかして番ちゃん?って顔してやがる…管轄は違うが上司だ…面倒くせぇ。
席を立って当たり前の様に向かいの席に浅く座った。
猫科の好奇心をここで出すな!
「久しぶりだな。元気そうだ。番ちゃんとランチか?」
「…お久しぶりです。お気遣いありがとうございます。特に問題はなく過ごしております。」
「そう畏まるなよ同期だろ?」
…そうだよ。入隊テストは一緒だった。コイツはとっくの昔に中隊長だけどな。
「東の中隊長の席が空くから。その席お前ね。」
「は?」
「狼がやらかしたでしょ?親父が降格して兄貴が討伐に移籍した。で玉突きで上がって席が空く。そこにお前。ここ実力が全てだから。お前が思うよりコネは効かないよ?やらかしちゃんはあそこで頭打ち。コレ、侯爵家からの決定事項だから宜しくね。…番ちゃん人族だよね?ちっちゃくて可愛いね。」
…不安 疑念 否定 …諦め
首に腕をかけてしがみついてきた。
「……おしごと?」
「違う。」
あまりの匂いの揺らぎに虎も気がついた。
ガタっと立ち上がり…平静を装いながら
「ごめんごめんっ!箱入りちゃんかな?もう行くよ。」
ヒラヒラっと手を振って席に戻って行った。
くそっ!…割と落ち着いてたのに…過呼吸だ。
…大丈夫。大丈夫。
ほら、ゆっくり吐いて?…そう。上手だ。
大好きだよ。離さない。大丈夫だ。
そう …ゆっくり。
外だからかなかなか落ち着かない。
俺の腹がぎゅるるる!っと派手な音で鳴って意識が外れた事で戻ってこれた。
見計らっていた店員が頼んでいない果実水を持ってきた。…収納から引っ張り出したタオルでリオの汗を拭いて…ほら水分補給だ。
安堵の溜息が店全体から漏れる。
スリングをゆっくり外して背面座位に座り直すと、絶妙なタイミングで料理が並ぶ。
屋台のテイクアウトとは根本的に違う丁寧な飯。
リオがなかなか飯を食べようとしないから俺様ルールを発動させた。
実家ではどうだか知らないが、ここでは3食昼寝と
10時と3時のおやつがルールだと。…リオの痩せ具合なら寝る前におやつ追加でもいいくらいだ。
…イマイチ納得はしていないが、それでも食べる様になった。
…物心つく頃からそう言う事をさせくて『働くもの食うべからず』を曲解させて、さも正論の様に洗脳したんだよな?…本来は怠けず働いた後の飯は美味い。美味い飯を食う為にちゃんと真面目に働こうって意味だろ?…母さんはそう言ってたぞ?
…リオの食べる量は驚くほど少ない。
ひと口サイズのサンドイッチを2切れ。
オムレツは3口…お?美味かったか?もう一口食べてる。…サンドイッチももう一切れ食うか悩んでるのか?腹はいっぱいなんだな?欲張りたいほど美味かったか?…よかったなぁ?
「お召し上がりになりませんか?」
一口サイズのブラウニーにホイップが添えてあるスィーツが届いた。
リオが驚いている。
…ブラウニーに釘付け。
「けーき」
「本日は、こちらのブラウニーとベイクドチーズ、アップルパイがございます。お持ち帰り用にお包みしてございますので、お帰りの際にお渡しいたします。
サンドイッチもお持ち帰りいただけますが、いかがなさいますか?」
ブラウニーに釘付けだった顔がパッと上がって…キッラキラだな?ウェイターは返事を待たずに柔らかい笑みで頷いて戻って行った。
ちっこいブラウニーをさらに半分にして…幸せを噛み締めるみたいに食って…ぽやぽやしてる…可愛いなぁ。
残りはもちろん俺の胃袋に消えた。
やたらと土産が多かった上に支払いが済んでいたが…気にしない。ご馳走様です。
少し外を見出した。
質問に答えて行く。
あれは虎。あれは狼。あれは山羊だな。あっちは羊だ…角が丸いのが羊だ。
「ぼくが しってるのは よつあしで…」
獣の状態の事を言っているのか?
「子供の時は獣だな?」
「しらなかった」
そうか。
「ぼりすさんも こどものときはくま?」
ん?今も熊だけどな?そうだな?
屋台を覗いていたら別の飴玉屋を見つけて…欲しいのに銅貨がなくてがっかりしてる。
頑張って外に出たからな?ご褒美だ。さっきの店には無かったキャラメルをふた粒買って、ひとつ俺の口に入れたらショックな顔してた。
…そんなに好きか?口移しでくれてやった。
途端にご機嫌で…俺の好感度は飴玉で上下するのか?
飴玉様様だなぁ?
屋台で串焼きと焼き野菜のグラタンを買って帰った。
…終わりなわけがないでしょ?こっからだよね?
帰って買い物した物広げて片付けて飯食って風呂入って…はい、今ここ!俺はこれの為に外出したの!
帰りに教会で番証明書を見せて手に入れた術式紙。
リオの名前で描き込む。
まずは説明。
ベッドの上で向かいあって座る。2人の間に術式紙を置く。…今入れられるのはこれだけ。
「これ なに?」
「専有誓約紋術式紙。リオ以外と身体を繋ぐ事が出来なくなる紋。俺は決して余所見はしない。俺はリオの物だ。この術式は入れたら解除する事はできない。」
困惑 未知 …あれ?専有紋知らない?聞いた事ない?……人族は入れないのか?
「リオに刻んで欲しい。リオの成人の日まで待てない。」
「ぼくは?」
「リオは成人したら入れられる。今は俺だけだ。」
「ぼくも ぼりすさんだけが いい」
「うん。」
リオと手を繋いで、俺の魔力をリオに通して術式を発動させると誓紋が俺の左手首にくるりと巻きついて、カチリと施錠された。
戸惑い 歓喜 希望 独占 専有
獣人の番としては…上出来な執着だ。
「ありがとう。」
俺の隠した仄暗い執着と本音は …隠した。
よし。いただきます!
口づけだけでふにゃふにゃのリオの身体を折り曲げ膝裏を抱えてさせて孔を上を向かせて…親指を引っ掛かるように広げて舐めると…トロトロだなぁ?
そのまま人差し指で腸壁を撫でる。
「っあぁ っん!」
細い脚が痙攣する。…甘イキしたのか?可愛いナニからぴゅくっと蜜が垂れた。感度のいい健気なリオの身体。もちろん射精阻止は発動済み。
「 いぃ あんっ 」
…もう入れたい。潤滑剤の助けを借りて押し付けるとずぶっと飲み込んでいく。
短い呼吸で苦しいのを逃しながら一生懸命に俺を受け入れる。
「 っん゛!」
…今日も半分までしか入らないけど、この幸福感は…やばい。あー…最高に気持ちいい。
最奥を小刻みにノック。…気持ちいいか?これはお前のものだぞ?ちゃんと覚えろ?…戸惑いながら少しずつ奥を開けてくれるのがわかる。
「痛くないだろ?」
「 こわ い 」
「大丈夫。無理矢理こじ開けたりしないから。」
番うまで毎日ノックしてやるから、ゆっくりでいいから自分でそのドアを開けろ。…嘘。本当は今すぐぶち抜いて孕ませてぇ…。
前立腺と今のところの最奥をゆっくり目のストロークで行き来してトントンと小刻みにノックを繰り返す。
射精阻止してあるから…わかりやすいイキじゃないよな?どこにも逃がせない感覚だよな?悲鳴みたいな声出して…可愛いなぁ。
あぁ…中が畝るように絡みついてきた…最高。
タマが迫り上がってきたから俺は射精感のまま放った。
もう …トんでるか?寝ててもいいぞ?朝までちゃんと抱いてやる。
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