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ボリスside 春の最中①
しおりを挟むリオを抱きしめながらひと眠りして起きたら、ごっそり持っていかれてた魔力が全回復してた。
…すげぇ高速充填だな?なんだ?膝の古傷の違和感も消えてる。
唯一と番うって…こう言うことなのか?
…流石に愚息も満足した様で大人しくしているな?……髭がだいぶ伸びてる。風呂に入った時にリオが「おひげ」って言うから…剃ってない。
ガラが悪いんだよ俺が髭伸ばすと。それじゃなくても厳ついのに…髭はなし。
でもリオがもしゃもしゃって触ったから…明後日仕事行く前に剃ればいいだろ。…本当なら深夜だったが発情期が終わったから朝になれば出勤出来たんだが最長で休む事にした。
ずる休みじゃない…当然の権利だ。獣人にとって雌の発情期は重要なんだ。その上、初めての発情期だ…なるべく不安は取り除きたい。
リオが自分の腸の音で目を覚ました。
……まだ朝の6時。
「おなか ごぼごぼ いってる」
「痛いか?」
「いたくない …あったかい」
「わかるか?爪の先まで俺の魔力でキラキラしてる。」
「ん。」
「もう少し目を閉じていろ。」
「ん。」
リオは頭はスッキリしてるみたいだが、身体はまだ動かない。こんな番を置いて仕事なんかに行けない。元々の体力がないから眠りも浅いし細切れにしか眠れない、だから回復にも時間がかかる。
……寝てても手で俺がいる事を確かめるみたいに探すから…家の中だが…スリングに入れる。
それにしても…あの2人は当たりだな。
給料の見直しをしないといけない。
山羊はトラブルの対応が早い。羊は飯が美味いし、庭の管理と言うか草木に好かれている。あの雑然としていた庭が素朴ないい感じの庭になった。
「とても素敵なお庭です。柔らかくて自然で。
私はほんの少しお手伝いしただけです。」
毛玉用にサロンを片付けた時、産後なのにコンサバトリーも手入れしてくれた。
小道で囲われた小さなガゼボの外側に草木が植えられた、そんなに大きくコンサバトリーだ。
…水を与えてもシオシオくったりしてたんだ。
「あらあらステキ。お待たせしました。」
とか言って大胆に枝を落としてたかと思ったら息をふきかえした。
「少し水が多かっただけです。私、片付けは出来るんですけど掃除は苦手で、この排水溝掃除していただけますか?水捌けが良くなれば、もう大丈夫。株分したら次の冬にはお部屋に飾れますよ」と明け透けに言ってくるところもわかりやすくていい。
待ってました!って勢いで蕾をつけて…咲いたのは、濃いピンクだったはずの……白い花。
「愛されていると自信があるのね?幸せな事。」
羊もリオと同じような事を言った。
…腹が減った。
俺は燃費が悪い。食っても食っても腹が減る。それを見越してなのかフードケースにはいつも手軽に食えるサンドイッチが入っているし、朝からきちんとした飯が出てくる。
朝から焼きたてのデニッシュとか、フライパンで焼いて作る平たいパンに燻製肉とポーチドエッグとか…キッシュとか。
あ。駄目だ。…何か食う。
フードケースの中に有るのは…キャベツのサンドイッチ。初めて見た時には、マジか流石草食!って思ったんだが…コレが美味いんだ。塩揉みしたキャベツに粒マスタードが絶妙なバランスで……美味っ。
ん?リオもお茶飲む?ひと口食う?…お茶ね。
日中はかなり暖かくなったから、後回しにしていた書類やりながらサロンで過ごした。
庭で雑草見つけるとポンポン跳ねながら食いに行って美味しいって…もぐもぐしてる毛玉見ながら。
……だから給与の見直しだ。
もちろん夜にリオの寝た後で山羊と話し合いだ。
「本当に助かってる。お前達の働きにあの報酬は見合わない。」
「まだ手探りの最中なので見直しは結構です。」
……間髪入れずに断られた…真面目だな?
それならもう少し適当でいいんだが?って言ったら…そう言う訳にはいかないらしい。山羊のプライドに障るんだろうな?かなりの完璧主義だもんな?
「1年。このままでお願いします。」
「結構丸投げで大変だろ?俺としては使用人の人数増やす気はないから無理してないかが重要なんだ。親が酪農やってたから家畜の羊は知ってる。毛玉は雑草食ってるが…大丈夫なのか?寝るところは家の中だけども。」
「仔山羊や仔羊はあんな感じです。毒性のない草ならなんでも食べます。…獣体の時は睡眠時間が3時間ほどなので…ベーベーベーベー鳴いて…煩いのに自由にさせていただき感謝しております。」
あぁ…あれは親でも煩く感じるんだ…。
「………お願いを聞いて頂けるなら番様の情報をください。人族の資料は持っておりますが…あの失敗を繰り返したくありません。差し障りの無い程度で構いません。」
…今までもその時その時で情報は共有していたんだが。
「誕生日は11月18日だ。本人は10月23日だと言っていたが、医務官に鑑定してもらったから、16なのは間違ない。
カレンダーを見て『毎月28日間?あれ?ニシムクサムライでおぼえたはずなのに』って言ってたから、リオが居た所と暦の数え方が違うのかもしれない。エルフや精霊は季節暦を使うだろ?それなら10月23日で間違いはない。」
「本当に成人はしていたんですね。」
まぁ…うん。見た目幼いよな?身体も小さいしな。
「懐妊の可能性は?私が見た所、変化は見当たりませんが熊の嗅覚ならわかりませんか?」
「孕んでないよ、その時は言う。山羊の目を信じろ俺は信頼してるぞ?後は?何が知りたい?」
「ご実家は…」
「…わからない。出会った時の状況から考えると転移の誤発動で飛ばされたんだ。リオは自分がどこにいたのか覚えてない。
可能性として西領かと思ったが、それにしては
当たり前の事を知らなさ過ぎるし、俺が今まで気づかなかったなんてオカシイだろ?」
「…国を越えての転移の誤作動……負担が大きそうですね…納得しました。唯一だとおっしゃっていたので何処ぞから攫ったのだと…思っておりました。」
「俺が見つけたなら攫ったよ…くだらねぇ躾をされる前に。」
「…でしょうね。」
「人族の考える事は…わからねぇ。ただ、あの外見だ。エルフを弄んでいる様な錯覚が堪らなかったんじゃないか?」
「…愚かですね。」
「…リオの寝言を聞いた事があるだろ…夢の中で誰かと話してるよな。…口調が違うだろ?」
「はい」
「あれはリオの自己防衛だと思うんだ。リオは真面目だから色々思い出したい。でも思い出すと辛い記憶も思い出す…本人は辛いって思ってないけどな?わからねぇけど…身につけた生活に役立つ知識だけを選り分けてるんじゃねぇかな?」
「……そうですね。」
「何処までいっても憶測の域を越えない。ただ…自己肯定感はゼロに等しい。かなり生活を制限されて私心を抑える訓練をしてきた。
大した事は…俺も知らないだろ?……俺は今のリオが笑ってりゃいい。」
「はい。決して口外は致しません。貴重な情報をありがとうございます。宜しくお願いいたします。」
「こちらこそ。宜しく頼む。」
ベッドルームに戻って眠るリオを見るたら、話し合いの最中に起きない様に睡眠をかけたはずなのに…俺の匂いのついたケットを丸めて抱きしめてた。
……妊娠か。発情期はきたが、まだまだ受け入れられる身体じゃねぇよ。
産まれた時から雄の欲望を満足させる為だけに作り上げられた身体。幼児趣味だったんだろ?薬で成長を止めたよな?…リオも無意識に成長しちゃいけないって拒んでる。まぁ…わかる事は背が伸びたりとかはないって事。
それでもだいぶ解けて…強張ったところは減ってきた。本当に笑ってたら …それでいい。
…2日間、微睡みの中で幸せそうにしているリオと穏やかに過ごした。
仕事に行く身支度を整えたら「おひげ ない」って手を伸ばしてきて…触る?
そしたら リオが手の甲で顎を撫であげ て
そのまま 首 胸元に……ちょっ!
「いってらっしゃい」
……くっっ!行きたくねぇ!
胸元の手を上から握りしめて触れるだけの口づけをして…。
「行ってきます!」
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