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④
しおりを挟む「俺がやっておくよ」ってイケオジの一言で明日行く事になった。
帰りに手土産を用意する。被るのが嫌だからイゴールに何持っていく?って聞いたら「は?」って言われたけど俺は「え?」って感じ。他人の家の庭先にお邪魔するのに何も持たずに行くの?コレ庶民のマナー?…わからん。
リオとは相談済み。
番にタオルとバームクリームと柑橘のシロップ漬け。虎には火酒と羊の作ったスモークチーズ。
リオにお邪魔する家の人の名前は?って聞かれた。獣人の執着って本当厄介…碌でもない。
リオが二人の名前を呼ぶのは気に障る。
俺達は番の名前は知ってても呼ばない。
「お前の番さぁ」とか「猫ちゃん元気?」とか…
なんて言うか、そこは踏み込まない。向こうも「熊」と「白いの」って呼ぶ。
「おおかみさんと くろうさぎさん」
「とらさんと くろねこさん」
…それでいい。
本当は他の雄と合わせるからガッツリ匂いつけてトロトロの状態で連れて行きたい。
ちょっと時間足りないから…我慢。
今、羊がバスルームで踏み踏みしてるとこ。
山羊が、ベストにオイルを薄く塗って揉んでボロ布で拭くのをやってくれてる。俺は刀を研ぎ直す…山羊と羊様様。
最後、軽く洗浄かけて乾かして外した物を付け直す…3人がかりだと早いな。
これで寝不足は回避出来た。ありがとう。
朝、リオをスリングに入れた状態で
身体の可動範囲を最終確認しながら準備運動。
戦術がいくつか使えない。
刀を両手で握れなから威力が落ち浅くなる。
やっぱり一撃で捌くのは無理…その分体重を乗せて…踏み込みを深く…
リオ…そのキラキラちょっと待ってくれ。
堪え性のない愚息がそわそわしちまう。
いつもは手元重心の100の直刀を使うが…先重心の90の太刀に変えた。
もう一本90の手元重心の太刀を予備に収納に入れて棍棒は持ち手の有る旋棍棒。
「リオ。飴舐める?」
「ん!」
目標!リオはピクニック気分で不安なく楽しく!
中央門でイゴールと合流した。
うわ…兎トロトロ…俺も匂いつけたかった。
「おはよう ございます」
「本日はご協力頂き感謝いたします。不測の事態が起こらぬ様に致します。宜しくお願い致します。」
イゴールがリオに頭を下げた。不満げなお偉いさんも後にならう。…理由?リオが盾の家紋が入った腰紐つけてるからね?ここじゃ最上位だ。
「とんでもない ことで ございます おちからに なれることを ほこらしく おもいます
よろしく おねがい いたします」
こう言う時、言葉が丁寧だと上から目線に聞こえるよな…私を守らせる栄誉を与えよう的な…まぁいい。さてと
「リオ寝とけ?」
「ん。」
スリングに潜り込むリオに睡眠をかける。
さあ行こうかって……全然前に進めない。頼む!少しは遠慮ってものを覚えてくれねぇかな!雑魚は走って交わすのも…有りだろ!
…美味そうな匂いがするんだよな?リオと黒兎は…じゃなけりゃこの数は異常だ。
イゴールは流石殲滅者だけあって身のこなしが滑らかだ。イゴールと背中合わせに立って。
ちょっと休憩…まだ半分も来てねぇし。
「今日は …随分大人しいな。」
は?コレ大人しいの?マジかよ。
俺は戦う時に阻害をかけると視界がぶれるのが嫌で…リオに固有結界も張ってねぇんだよ。
凄ぇ…緊張する。
…身体は温まってきた。
山羊の次は熊!この熊なんで角が生えてんだよ!コイツの武器は爪。まともに受けたら吹っ飛ぶ。ギラギラした目しやがって!
振り上げた右手の脇を身を沈めて…狙うのは、右膝!切った勢いのまま左足重心で旋回。
体勢崩して、下がった首を目掛けて太刀を振り下ろす!
急所狙って手数を少なく!
分厚い皮を切り、骨に当たる感触。
熱っ!
…切り損ねたら命取り。
先重心にして正解。取り回しは重く感じるが殺傷効果が高い!苦し紛れの左の爪から身をかわし…落とす!…次!
腰帯の垂れで体液を拭き取る暇もねぇ!
雑魚は引っ込んどけ!イラつく!
ザッと魔獣どもが怯んだ?
……ああ……今日は随分大人しいなって魔獣じゃなくて俺の事だったのか…わかりにくいわ!
なるべく穏便にそーっと抜けようと思ってたのが間違いなんだな?それなら…温存してた魔力を解放する。…かかってこい。
俺からリオを奪えると思うなら!
……イゴール…頼むよ。
早く教えてよ…あっさりじゃん。その後は2体しか来なかった。うん…来たやつは強かったけど。
…かかった体液がくっせえ!さっさと浄化かけてこの匂いから解放されたいが気を抜けない…一定の距離を保った状態で魔獣がこっち見てる。
あのマッシブな牛、嫌いなんだよ。
目が良くて、こっちの攻撃を予測してきて。さらに動きが速い。リオ抱いた状態だと苦戦する。
リオがスリングの中でモゾモゾしてる…寝てても臭いよな?ごめんな?
虎、発見!おっしゃ!ゴールが見えた!
もう俺は走る!全力で!牛よりは速いよ!狼には負けるけどね!虎の結界の中に走り込む!入れてくれ!
うわぁ…物凄く不機嫌。
「ご苦労様です。」
「お世話になります。」
凄ぇな…普通、認識阻害は無機物には作用しない。この先に虎の家が有るのは想像出来るが全く見えない。
「んっふ。」
すまん。浄化で……匂いは取れたけど、気分的には風呂入りたい。お湯でさっぱりしたい。
暑っちい…立ち止まったら汗が吹き出してきた。
イゴールが追いついたら風景が一変した。
…たぶん条件付きで認識阻害が解除された。
魔獣の住む森なのに…それを感じない。
見た事もないのに懐かしさを覚える石造りの小さな家と小屋と畑。
「野営はこの辺りでしてくれ。準備が終わったら猫を呼んでくる。」
そう言って虎は戻って行った。
俺はリオを必要以上に見せたくない。
だからリオはまだスリングの中。
…黒兎は野営用の無骨な椅子に座ってお茶してる。この前見た時は寝ていたからか、もっと小さく見えたんだが…兎にしては大きいな。
小屋の近くにタープを張って、イゴールが焚き火台とスタックしたデカい寸胴鍋を置いていく。鍋多くね?これだけあれば足りるだろ?って感じ?
俺は少し離れた所にリオ用のターフを張り、椅子とテーブルを出した。
「リオ起きて?水を飲もう?暑かっただろ?」
スリングから出して、帽子を外して…腰帯を解いて。慌てず急げ俺!…リオが脱水起こす。…ベストを脱がして、上のシャツをプルオーバーの七分袖シャツに着替えて…持って来たハーブ水を使ってザッと洗浄をかけて…蜂蜜入りの檸檬水飲んでる間に、残りで俺も洗浄…あぁ…
生き返る…爽やか。
リオがほっと息を吐いた。
「飴舐める?」
「うん」
結局ぶっつけ本番になった森の魔素も…大丈夫そうだな?…良かった。
ツバの広い帽子被せたところで、虎が黒猫を連れて来た。
リオが口に入れた飴をどうしようか迷って…おっ?俺の服を掴んで引き寄せて口移しで飴を渡して来た。…口に入ってると喋れないからな?
……え?
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