46 / 59
⑥
しおりを挟む…何?
これは おみずをのもうと おもって りおが きゅうに うごいたら かぶって されちゃっただけ にげるなって…だいじょうぶ」
…ごめん。…なんで…そこで欲情するんだ?
「ぼりす すぐ ねちゃったから …あの」
「…足りない?」
遠慮がちに甘い匂いを纏う。
「うん」
「このまま抱いていい?」
ベッドにそっと押し倒して口づける。
「う …ん」
舌をねっとり絡め合わせて。
「会いたかった?」
「う …ん」
「俺も会いたかった。」
……リオ…目尻から涙が溢れ落ちる。
「…あいたかった
こえが ききたかった
だきしめて ほしかった
ひとりは さみしかった」
…本当に…リオの我儘は可愛い。
確かめ合う様にお互いの身体に数え切れないほどの口づけをして…白い身体に赤い花を散らした。
もっと
もっと
もっと
一緒にいる幸せを噛み締めるみたいに感傷的に抱き合った。
2度目の蜜作りは…呆気なく何のトラブルもなく…今が本当に秋なのかと思うほどだった。
黒の熊が「…流石あの人の息子だな。だが…経験が足りなくて危うい。ここの連中じゃお前を引き戻す事が出来ないから、俺が3日に1度フォローに入る。」そう言われて、それからは定期的に家に帰る事が出来る様になった。
家に帰るとリオが…色々話をしてくれる。
腐葉土を作る為に落ち葉と卵の殻を砕いたとか。
鶏糞は不思議な匂いだとか。
園丁士に分けてもらったワームが大きくて驚いたとか。
老虎が一生懸命頑張って出来るところは終わって…本当は悪い人じゃないとか。
薬師さんが手伝いたいから結界に入れて欲しいって言ってたとか。
コンサバトリーの設計図が出来て、別のところで建てて転移で移築するとか。
……本当に色々聞いた気がするんだが…ごめん、適当に返事してる…ほとんど頭に入ってない。
あれからリオが泣く事はなくて…いつもくすくすクスクス笑ってる「ボリスの集中力凄いね?」って。
……3回目の森。
もっとよぉ?どうにかなんねぇかな?
…30なんだけど…いつになったら大人の余裕って言うのは身につくんだ?…どこかに売ってたら速攻で買いに行くんだが。
忘れてた訳じゃない、ただ情けないほどに必死で……。
山羊が人族の発情期は3ヶ月か4か月毎のサイクルって言ってたが…次が来ないな?そろそろ来るかな?とは思っていたんだ。
鍋の火加減を見ながら魔獣が妙に結界に干渉して来るな?とは思っていたんだ。
リオの匂いも…やたら甘いな?って思っていたんだ……眠そうだったから体温が高いのか?って。その…前日にな?寝かさなかったしな?
黒猫と…俺が作った朝ごはん食ってそろそろ帰るか?って時に……リオの発情期が来た。
「……ごめんなさい」
って自分を抱き締めるみたいにしてリオが
膝から崩れ落ちるた。
倒れるギリギリを掬い上げて抱きしめる。
……意識が持っていかれる。
ホワイトアウトする…俺の全てを鷲掴みにするリオ。
「……謝るな。悪い事なんて何もしてない。」
「でも」
謝るのは俺の方。
「ごめんな?今は抱いてやれない。」
胸ポケットに常備してある緊急抑制剤をまとめて飲み込んだ。…効くまでの2分。
砕いてしまいそうなほど強く強く抱き締めた。
収納に何かを入れた状態で…アレと対峙するのは今の俺には無理だろ?
さっき受け取ったばかりの薬草の鉢と蜜の鍋を全て出して小屋の横に置いた。
黒猫を抱き上げている虎に
「アレは今秋のボスだ、全部置いて行く。お前達は家から出るな、通り過ぎるのを待て。…リオの事は考えるな。」
「魔法使いが残した結界のバングルの予備だ。初動にかなり魔力を使うが魔力の補填用の魔石もある。これを使えば番に危険はない。」
そう言って渡されたバングルと魔石。
はははっ ……凄え。
魔法使いは精霊使いだったんだな。
……虎は精霊文字が読めないんだな?花開き煌めく精霊文字で…。
「愛しい」「愛しい」と書いてある。
「私の全てでお前を守る」と書いてある。
「許すのは虎だけだ」と書いてある。
「幸せになれ」「生きろ」と書いてある。
これは黒猫を守るための術式だ…他のヤツには作用しない。
そうか…ここは魔法使いが作り出した唯一無二の奇跡の楽園なのか…俺とリオは邪魔でしかない異物か。それなら…排除すればコレを破れるヤツは居ないだろう。
ここにいたら黒猫もターゲットにされる。
…それは無しだろ?
「俺達を排除しろ。唯一無二の承認にしろ。
その時に、この結界は最大の効果を発揮する。
お前はお前が守りたい者を守れ。俺はリオを守る。」
バングルを返した。…あ、魔石は頂戴。補充に使う。
おい…デカいトカゲモドキ。お前…発情期なんだろ?極上の痺れるようなリオの匂いに惹きつけられて、いつもは森の奥にいるのに出て来たんだろ?
何も持たずに生まれたリオを。
魔力の欠片もないリオを。
屠りその腑を喰らいたくて来たんだろ?
…暴いたら。貪ったら。何かが手に入る気がするんだろ?
わかるよ…わかりたくないけど。
いつものタープの張ってある場所まで行く。
…ここは楽園の外。
「リオ、黒猫と一緒には居られない。ここで待っていろ。何があってもここから動くな。」
俺も …出来るよ精霊結界…これだけだけど。
「逝くのは一緒。でも最後まで抗うのが雌なの、番を護りたいと強く想いなさい。神に赦しを乞いなさい。」
そう言って母さんが教えてくれた結界。
「不可侵。」
足元から虹色に煌めきながら透明な荊が立ち上り繭を作っていく。
いつもの直刀を出して剣帯に差し直す。
短く早い呼吸…泥濘んだ匂い。
立って居られるはずもなく…その場に座り込んでシャツの胸元を握っているリオ。
「 んっ…」
「リオ。俺の事を見ていろ。行ってくる。」
発情期の番を放置か……クソだな。
絶対に許さない…。
10
あなたにおすすめの小説
男同士で番だなんてあってたまるかよ
だいたい石田
BL
石堂徹は、大学の授業中に居眠りをしていた。目覚めたら見知らぬ場所で、隣に寝ていた男にキスをされる。茫然とする徹に男は告げる。「お前は俺の番だ。」と。
――男同士で番だなんてあってたまるかよ!!!
※R描写がメインのお話となります。
この作品は、ムーンライト、ピクシブにて別HNにて投稿しています。
毎日21時に更新されます。8話で完結します。
2019年12月18日追記
カテゴリを「恋愛」から「BL」に変更いたしました。
カテゴリを間違えてすみませんでした。
ご指摘ありがとうございました。
オメガ転生。
桜
BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。
そして…………
気がつけば、男児の姿に…
双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね!
破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
刺されて始まる恋もある
神山おが屑
BL
ストーカーに困るイケメン大学生城田雪人に恋人のフリを頼まれた大学生黒川月兎、そんな雪人とデートの振りして食事に行っていたらストーカーに刺されて病院送り罪悪感からか毎日お見舞いに来る雪人、罪悪感からか毎日大学でも心配してくる雪人、罪悪感からかやたら世話をしてくる雪人、まるで本当の恋人のような距離感に戸惑う月兎そんなふたりの刺されて始まる恋の話。
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる