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⑦
しおりを挟む…お前と俺はアレだ、挑戦者と保有者だ。
奪えるものなら奪ってみろ。
自分の強さに自信が有るんだな?
目の前の緩衝帯に…戦い易い広い所に自分から出た…俺が場に上がるのを待っている。
俺を倒さないとリオは手に入らないからな?
それなら…俺を存分に味わってくれよ。
…さぁ。行こうか。
でけぇな…俺の3倍くらい?
…下品だな…涎垂らすなよ。
あぁ、うん。今秋のボスだ…コイツをやれば今年の秋の魔獣暴走は終わる…騒ついた秋が終わる。俺が負けたら…様子見てる雑魚どもが調子にのる。責任重大だ…笑えてくる。
有り難ぇ…虎が上げた救援信号…頼む気づいてくれ…狡くないよ。使えるモノは使うよ。
御伽話じゃないんだから。
…青白い全身を覆う細かい鱗。見覚えがあり過ぎるんだよ…お前。ウチの庭でチョロチョロしてるのにそっくりだ。
森の中で細やかなに暮らしている魔族を…竜の里を襲ったんだな?喰ったのか…暴いたのか…そこまではわからねぇけど…トカゲも食ったんだろ?…で、元が何だったかわからないほど変異して、その姿なんだよな?
聞こえるはずのない嘆きの声が…聞こえる。
俺は…腹空かしたガキも。泣く雌も。虚な目で下向いた年寄りも。守りきれなかった雄の慟哭も…もう …たくさんなんだよ。…そんなもの要らねぇんだよ。
……おい。邪魔するなよ?
空気の読めないヤツだな?バカのひとつ覚えみたいに咆哮しようとしてる雑魚に特性のクズ魔石をプレゼントだ!
口の中めがけて投げ入れる。…はい!ごっくん!上手!
内臓は鍛えようがないからな?
悶えろ!腹の中から焼かれるのは…どんな感じよ?
…来いよ。
父さんの見様見真似。
記憶を頼りに自分で実戦で身につけた。
こちらから仕掛けるのではなく、あちらの力を利用する……相手が強ければ強いほど俺は強くなる。
懐に入り込み表面を撫でる様に滑らせ、細く鋭い刀で削いでいく。
イライラするだろ?懐に潜り込まれて確実に削られるのは。
…残念だが一撃で倒せないからな?
お前…攻撃が雑だぞ?
少しずつ。
削いで。
薄く。
薄く。
削って。
『ぼりす』
甘く蕩けた声が俺の名前を呼ぶ。
リオ…お前はいい雌だ。
雄をその気にさせる!沸る!
…お前、足が弱点だろ?膝と股関節狙って正解だよ …な!
バランス悪いもんな?図体の割に手は短えし。
尻尾でどうにかバランス取ってるよな?
その尻尾…切ったらどうなるかな?
かなり警戒したんだけどな?背中の翼。
飛べないんだな?無様に地面の這いずってる出来損ないだな?飛べもしないのに竜ですってイキってたんだろ?…冒涜だな。
風を切る音に咄嗟に結界を張る。
衝撃!直撃は避けられた!しなった肉厚な尻尾で吹き飛ばされる…コレまともに受けたら骨が砕ける!同じ方向に飛んで衝撃を逃した。
さらに地面に叩きつけられる勢いをごろりと転がって逃す。
それでも…左腕がイッタか?…くっそが!
……強制的に間合いを離された。
左の指…動く。神経は無事。
間合いを取ってくれて助かったよ。片手じゃこの刀は重いんだ。収納の中の先重心の90の太刀に持ち替える。
お前も…そんだけ体液流したらキツイだろ?臭くてしょうがねぇ。…最近知ったって言うかリオが羊に教えてもらってたんだが、竜は魚みたいに鱗と皮膚が独立してるが、トカゲは一体化してるから、鱗を傷つけると元に戻らない。だから脱皮してる時を見つけたら、そーっとしておきましょうねって。…ダメージでかいだろ?
よし…息は整った…続きといこうか。
お?やっと気がついた?戦いながら幾つも張った捕縛。動きづらいだろ?見た目トカゲっぽいから寒いの苦手かな?と思って、網目状に氷結する様に氷も絡めてある。
…どうなるかな?さっき尻尾切ったらどうなるかな?って言ったよな?…地味に頭足りなさそうだからな?…自滅してくれ。
凍りついた尻尾を無理矢理動かして、鬱陶しさから地面に叩きつけた瞬間、半分近く砕け散った。
…砕けたのは…先っぽだから?ダメージはないよな。身体はな?でもプライドはズタズタだよな?全て揃った身体ってのは野生では強さの象徴だもんな?……尻尾の先がないって事は命を守る為に逃げたって事だ。
……格好悪いな?
攻撃がさらに雑に!大振りになる。
これを待ってた。
これで避けやすい、懐に入りやすい。
繰り返すhit and away。
…背中の鱗は硬いな。
俺を捕まえたくて腕を振るけど張った捕縛に邪魔される…その隙に内側に入り込み削る。
…イライラも最高潮だよな?
グッと喉が膨らんだ…ずっと待ってだんだ!
お前が咆哮するのを。
…お前が気が短くて助かった!プレゼントだ!おら!開けた喉目掛けて魔石を投げ込む。
……上手にごっくんしやがれ!
燃焼系じゃないよ?お前には水。だってお前、青白い見た目だけど炎系だろ?水は熱して気体になると体積が1700倍に膨らむんだ!水蒸気爆発のプレゼントだ、自家発電で自滅しろ!
…爆ぜろ!
ボコッ ボコッボコッ …異様な膨らみ。
よし!逃げろ!
これ被ったら大火傷だ!全速力!
悪意のない物理に俺の結界は上手く働かないからね!
…飛び散る肉片に悪意なんてねえよ!
飛び散る肉片の方が速いから…無傷でいられない事は 覚悟は してる!
「うおぁっ!!」
……やっと来たの?…遅いよ…。
引っ張られて誰かの結界の中に入った。
ビチャバチャ降ってくる肉片が…臭えぇ。
後…宜しくね?
浄化かけて走り戻る。
ボリスって何度も何度も何度も呼ばれた!
「リオ!」
…自分の不甲斐なさを痛感する。
綺麗な白い髪に。顔に。…泥がついてる…。
地面に這い蹲って悶えて…。
布の色が変わるほど泥濘んで…すまん。
…薬が効いていなかったら動けなかった。
鍋と薬草を収納に入れて、リオを抱き上げて転移紙で中央の門まで、そこからは中隊長特権の転移で東門へ…そして家。
「 …ぼりす」
浄化を重ねがけしてから過剰摂取した緊急抑制剤の解剤を飲む。
「おねが い」
…もう少し待ってくれ、わざと焦らしてるわけじゃないんだ…勃たない。
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