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⑧
しおりを挟む妊娠中は大変だった。
魔力は欲しがるだけ与えていいって補佐官に言われて…鵜呑みにした。
…こんなに魔力が必要なのか?と疑問に思った。
調べた感じだと魔石を使わなくても俺の魔力だけで足りるはずなのに枯渇の症状が出た。
何かが変だ…これは不味い。
…誰に聞けばいいんだ?…イケオジ…子沢山だったはず…5人とか言ってたはず。
倍々で増えるから孫もいっぱいだよ?
お爺ちゃんにしてもらえて子供に感謝だわ~。
孫に小遣いあげたいから要らないって言われるまで仕事するって言ってたはず!
イケオジの入り待ちして朝イチで捕まえた。
「え?お前の魔力を欲しいだけ与えてるの?
それ魔力過多にならない?」
「は?何ですか?それ?いや…枯渇の症状が出てるんです。」
「懇意にしてる医務官。誰?」
「補佐官です。」
「あー。狼は足りないかもね?でも虎と熊は、それやったら過多になる。ちょっと今日お邪魔してもいい?…えっと実践経験なら問題ないけど、医務官の資格ないんだけど…いい?」
「もちろんです!」
…って家に来てきくれた。
「ちゃんと測った事ないから、わからないけど。
ボリスは顕在的魔力は並だけど潜在的魔力が多いから総魔力量はかなりある。だから魔力切れ起こしても動けるんだけど…自覚はないよね?
顕在魔力目一杯だけでも過多になるのに魔石で補充したんでしょ?見なくても確定なんだけど。使用人も呼んで?えっとね覚えて?…コレ結構、雌に負担がデカイから。」
…俺の気分とかは箱に入れて鍵かけた。
「足見せて?足の爪の色。手の爪と色が違うでしょ?
手の爪の薄いピンク色でキラキラしてる感じが丁度いい感じ。足は赤いでしょ?これ妊娠時の魔力過多の症状。…あ、本当に足りないと手の爪がこの色になるからね?
番ちゃんが魔力持ちなら勝手に余剰分は発散出来るんだけど、そうじゃないと溜め込んじゃうの。
魔力を…自分で持ってないから子供を守ろう。足りなくなったらどうしよう!って勝手に身体が蓄積しちゃうの。で蓄積し過ぎて飢餓状態になる。これが妊娠時の魔力過多。表面上は足りなく見える。
俺も1人目の時に囲い過ぎて…やった。
ちょっと浮腫みが出てるけど…回復も止めて…
魔力補給を…4日かな?止めてみな?
循環だけする感じ。それで落ち着くから。
心配なら職場に連れておいで。
足見るだけだから、そこは我慢しなよ。」
辛いでしょ?頑張ってるね?初めてだから怖いでしょ?って聞かれたけど、リオは頷くだけ。
…生きた心地がしなかった。
様子見ながら5日補給を止めたら、目眩と吐き気と震えるほどの悪寒の症状が消えて…食欲とかも戻って…その後は順調で。
精霊が庭に遊びに来てずっと歌を歌って…
降り注ぐ恩恵で…庭が大変な事になった。
もっさぁ!わっさぁ!って感じ…冬なんだが?
あらあらって羊は笑ってて。
虎は必死に草むしりして。
毛玉達がモグモグモグモグモグモグモグモグ。
「……せんせい うむときも くる?」
狼呼ぼうと思ってだけど…イケオジの事だよね?少しでもリオの不安がなくなるなら資格があるとか無いとか関係ない。
「俺でいいの?最近、孫とりあげたばかりだから記憶に新しいけど…人族は俺も初めてだよ?まぁいいや、行くよ。」
って来てくれた。
出産は…13時間かかった…長かった。
「同調率を下げると痛みを和らげる事が出来るんだけど。人族のお産は長いから体力が持たないから頑張ろうね?」
「ボリスは潤滑剤で入口を刺激しないように柔らかくして。」
「……どうやって?」
「…魔力を流さないで優しく…そっけなく。」
……むずっ!
「名前教えてくれる?」
「りお」
「リオちゃん?よろしくね?」
「よろしく おねがい します」
自然に出て来るから力まない。
奥歯をつけずに。
手は握らない。
自分の楽な姿勢でいいよ。
ボリスの事、罵倒していいよ?
俺は番ちゃんに、かなり罵倒されたよ?
あなたのせいだ!って。
痛みが共有出来たらいいのに!
ごめんなさいって謝って!って。
痛みに意識がいかない様に、くだらない…俺の職場での話をずーっと。
へにゃっと笑うリオ。
「リオちゃんは…我慢強いねぇ。」
段々、痛みの間隔が短くなって。
段々、呼吸が浅く短くなって。
それでもへにゃって笑って。
俺は…リオが痛い時に痛いって言えないって事にその時に気がついて…。
たぶんイケオジも気がついて。
「リオちゃんはいい子だね。」
ってイケオジが頭撫でたら…我慢してたんだろう涙がボロっと溢れて…。
それでもへにゃって笑ってて。
腰が痛いね?ボリス優しくさすってあげな。
胎が開いたからゆっくり降りてくるからね。
子供も産まれようって頑張ってるからね。
ん!!!って声が出てビクっと反射反応して。
リオが膝まづくみたいな姿勢で俺に抱きついて来た。水被ったみたいに汗びっしょりで。
痛い 痛い 痛いって匂いがするのに…へにゃっと笑う
…そろそろかな。力もうか。頑張ろうか。
息吸って。はい。息止めて。
長く。押し出すみたいに力んで。
んんんんーーーーーー!
上手だ!もう1回頑張ろう。
リオが頭をゆするみたいに頷いて。
息吸って。
ゆっくり吐くよ?
はい。止めて。
力んで!
頑張れ!
何度か繰り返して。
あ゛っ!って。声が出て。……産まれた。小さい白熊が。
イケオジが子供を手早くお湯で拭って。
ほら。ばぶちゃん。
抱っこしてもらえ。
おっぱいもらえって。
用意しておいたニップルシールドをつけて、ぱくっと。
胎に2回浄化かけちゃった方が回復が早いから。
筋肉痛で動けないと思うけど6時間毎に起こして水飲ませて排泄ね。機能が戻らなくなるから、ここからは浄化しないで。
辛いけどケアとか回復もなし。
身体に残ってる魔力を1週間くらいかけて全部循環させて1度ゼロの状態にする。メリハリが大事。そしたら、この子の治癒力が働き出す。
子供を守る為に命の火が太くなる。じゃ!お疲れ!って帰って行った。
本当に…言葉通り命を削って産んでくれた。
思い出しても涙が出る…感謝しかない。
…出産してひと月後くらいに
「もうひとり ほしい」
え?
何かあっても歳が近かったら2人で助け合えるから。僕のお願いを聞いて。他は何もいらないから。大丈夫だから。僕を信じてって。
…初めてのちゃんとしたお強請りが、コレかよ!無理!俺が心配過ぎて病む!丸2年はあける!
「ぼりす おねがい」
……くっそ!!
それでも…リオの2回の発情期をあけて冬に2人目を孕んで夏に産んだ。
「わがまま きいてくれて ありがとう」
……はい。
子供は2匹とも白熊だよ。
2匹の毛玉と一緒にそこら辺走ってる。
木苺漁ってる。畑荒らしてる。
木に登ったり爪研ぐのは…もう少し先。
バリバリやり始める前に。ぐるっと木に爪研ぎ用の囲いを用意しねぇと…、
ダッダッダッダッダッダッダッ!
ホップホップホップホップホップ!
ホップジャンプホップジャンプ!
コロコロ…コロコロコロコロ。
たったったったったってリオも一緒に走ってる。
絵に描いたような風景。
手に入らないと思っていた風景。
何故だか理由はわからないが天を仰いで感謝する。
…リオ。
俺の所に落ちて来てくれてありがとう。
***
60話完結と書きましたが…59話完結となりました。ありがとうございました。
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