ただ平和に暮らせれば私は…。

まり

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7.外出禁止

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外出禁止か。そりゃそーだ。

2日間も貴族の子供が行方不明になったと思えば、突然、何事もなかったように笑顔で帰ってくるのだから。

屋敷中大騒ぎで、私が戻ってきた後はこれでもかというほど、兵士たちが増えていた。

今回の誘拐の件を家族に言えば、間違いなく王子に知られる。

バレるのは絶対にイヤ。

だから、大人しく部屋に押し込められたまま数日。

家庭教師、雇われました。

恐るべし、親の行動力。

「聞いていますか?ディオネ様?」

『ひゃい!!すっすいません』

「仕方ありませんね。まず、読み、書きから始めます。」

『はい!よろしくお願いします』


前世の時は、自分で言うのもなんだが、
頭脳明晰 博識洽聞 容姿端麗 スポーツ万能の完璧人間 そしてオタクであった。

なので勉強、ダンス、魔法の知識は問題なかったため、魔法の実践に移ることになった。



「なんでも出来て驚いています。
しかし魔法がまだまだですね。知識があっても使えなかったら意味がありません。」


あれぇ?あの時はできたのだが。
火事場の馬鹿力?


「魔力量を測ってみましょう。」

そう言うと先生は水晶玉のようなものを取り出した。

淡い光が揺れ、太陽の光が水晶に差し込んできらめく。

「ここに手をあててください。」

言われた通りに手をあてると、赤と水色と緑と茶色と黄色と黒が綺麗に混ざりあった火のようなものに鎖のようなものがからまって水晶玉の中に小さく現れた。



「!!これは!!」

先生は目を見開き、驚きを抑えきれず席を立った。

「すいません。少し席を外してもよろしいでしょうか?」

『あ。はい。』


返事をしたあとすぐにどこかに行ってしまった。


なんで魔法が使えなくなってるの?
ステータスを開いてみよ。


ーーーーーー・ーーーーーー・ーーーーー・ーーーーー



名前:ディオネ・ディ・アレクサンドル
性別:女
年齢:4歳

LV:――
HP:5000
MP:24
STR:人並み
VIT:357
DEX:人並み
AGI:417

スキル:言葉理解/言語理解/超隠蔽/剣術/体術/武術/弓術/潜水/状態異常無効化/HP自動回復/MP自動回復/調理/魅了/危機察知

称号:嫉妬の女神に呪われし者/神に愛されし者

ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ー


へ!?HPとかMPとかがすごい下がってる!?なんで!?


先生が両親を連れて戻ってきた。
お母様の顔はいつもより曇って見える。

「待たせてしまい申し訳ございません。」

先生は低く頭を下げると、言葉を詰まらせたまま視線を泳がせた。両親の顔色がますます硬くなる。

「ディー。教会に行きましょう。」

教会?

『なぜですか?』

なにか様子がおかしい。

お母様は言葉を濁し、お父様が堪えたように口を開いた。

「実はな、ディー。お前は、何者かに呪いをかけられているんだ。」

はぁ。知ってますが。

『...。それで?』

「それで!?驚かないのか?」
驚かないのかって、驚いて欲しかったのかなぁ?

『ええ。まぁ。知っていましたわ。』

「知っていたのか!?なぜ言わなかった!!」

 『?聞かれなかったし、お父様たちは痛くも痒くもないでしょう?わざわざ話して時間を取らせるほどのことでもないと思ったのです』

お父様は言葉を失い、しばらく黙り込んだ。
待機していた侍女たちが息を詰めているのが分かる。
屋敷の中の温度が、ぎゅっと冷たくなったようだった。


当たり前のことをなぜ聞くの?
自分は、お父様たちの邪魔にならないようにしている。
お手を煩わせるようなことはしない。



「お前は大切な娘なんだぞ!!」

その声は息が震え、かすれていた。
ただ叱っているのではない。怖かったのだ。
小さな娘が傷つかないか、本気で心配していた。

だがディオネは、微塵も気づかない。

社交辞令というものですね。

『ありがとうございます。
わかりました。
次からはなにか、お父様たちが面倒と思われるようなことは随時報告させていただきます。』


「お前は分かっていない!」


『どこがでしょうか。
申し訳ございません。
不手際があったのなら直しますので教えていただけますか?』

何が間違っていたのだ?
前世の時はこのようにしていけば良かったはず。


「お前は!!」

「待ってあなた!」

「だが!」

「少し二人きりにして下さいませ。」

「分かった。」

残された私と母だけの静かな時間が戻る。

「ディー?」

『?何でしょうお母様。』

「お父様は、あなたを心配して言っていたの。」

(心配しているから怒った。)
(心配しているから殴った。)

よく言われた。

(お前のためにやった。)
(こうなったのもお前が悪い。)

どんな理由があろうとこうなった原因は私にある。
私が何かをしたから。

前世のあの重たい記憶が、ふと影を落とす。

『ええ。分かっておりますわ。』

「いいえ。分かってないわ。ディー。」

お母様は少しだけ声を震わせた。
普段の笑顔が、ひどく人間らしく崩れる瞬間だった。

さっきから何が言いたいのか分からない。

「お父様は、悲しかったのよ。
大好きな娘にまるで他人のように言われたから。もっと頼ってほしいのよ。
私もだけどね。
なにか悩んでるなら、いつでもいいから話してちょうだい。」

こんな優しいこと言ってくれたのはあの子以来。

お母様たちを前世の両親と重ねてた。
ごめんなさい。
こんなにも違うのに

でも、私は知っている。
ここで話したら、また誰かが傷つくかもしれない。
誰かを守るために、私は口を噤むのだ。


『ありがとう。お母様。あと、ごめんなさい。悪気はなかったの。お母様と、お父様を心配させたくなかっただけなの。』

「...そう。なにかあったらお母様に話してちょうだいね。一人で抱え込まないで?」

『はい。お母様。』

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