12 / 22
12.学園
しおりを挟む
筆記試験はサクッと終了。
満点はわざと避けて、1、2問だけ落としておいた。
完璧すぎると目立つしね。
よし。早く終わった。
さて、次は魔力テストか。
魔力テストには、先生がいつも使っていた水晶玉と同じような測定器が使われるらしい。
力の込め方で光の強さが変わり、魔力量が分かる仕組みだ。
もちろん本気でやったら大惨事だ。
私は周りと同じくらいの魔力だけ見せるつもり。
さて、自分の番になった。慎重に力を込めなければ。
水晶にそっと手を添えて、呼吸を整え
ふと視界の端に、見覚えのある横顔が入った。
……え?
あれって――カマエル先生?
いや、でも立っている場所、完全に試験官側。
しかも、腕を組んで真面目な顔で採点表をめくっている。
『……ちょっと待って、なんで先生が教官やってるの!?』
そういうと同時に水晶玉を壊したのだった。
「驚きました?実はあなたに内緒でここの先生になったんですよ。」
『驚きますよ!驚いて力を込めすぎたじゃないですか!!』
「ふふふ。水晶を木っ端微塵にする人始めてみましたよ。」
可愛い。じゃなくて、もー。
これから嫌な予感しかしない。
結果、学園は合格。
そして担任はまさかのカマエル先生だった。
担任まで、カマエル先生だったなんて。嬉しいけどさ。
「今日からみなさんの担任になりました。カマエルです。よろしくお願いします。」
学園はS、A、B、C、D、E、Fの7つのクラスに分かれている。
Sクラスは優秀者だけが入る最上位で、
Fクラスはギリギリ合格組。
私は先生のせいでSクラスになってしまっていた。
平凡に過ごしてみたかったのに。
しかもこの学園の生徒たちを見て、既視感があった。
この顔ぶれ、服、名前…。
前世でプレイしていた乙女ゲームのキャラと全く同じだった。
教室のざわめきの中、ディオネは胸元のネックレスにそっと手を当てた。
『……プロメディウス様? 聞こえますか?』
宝石の奥で、光が瞬いた。
返事はすぐには来なかったけれど、冷たくはなくて、静かに包み込むような温かさが伝わってくる。
《――聞こえているよ、ディオネ。どうした?》
ディーはほっと息をつき、言葉をつなぐ。
「えっと、その……この世界って、私が前に好きだったゲームが元になってるって本当ですか? 全部、似てて…不思議で…」
宝石が淡く震え、声は柔らかく答えた。
《ああ。君の記憶の断片を見て、世界を作った。君が愛したものをそばに置きたかっただけだよ。だが――》
声は少しだけ真剣になった。
《ここから先は君の選択次第で変わる。君の物語は君が書いていくものだ》
自分の物語……。
ディーの胸に、ほんの少し勇気が灯る。
その言葉を胸に、ディーはネックレスを軽く握りしめなおした。
そういえば、ヒロインも出てくるはずだ。
スチルの中で見た彼女はとても可愛かった。
現実で会ったら、どれだけ綺麗なんだろう。
見たい。けど、ゲームでの舞台は15、16とかの年齢設定がされてたはず。
まだまださきだな。
人生長いようで短いから、あっという間だろう。
たしか、今日は顔合わせと学園の説明だけだったはず。
貴族の世界には「自己紹介」という文化はほぼ無い。
名前と顔を覚えておくのは、呼吸と同じくらい当たり前のことだからだ。
教室を見渡すと、もういくつかのグループは出来上がっていた。
「ディー?」
ん?この声は。天使!?
『エリー。同じクラスだったのですね。嬉しいですわ』
「私もよ。あのね。これからの学園生活。ディーと一緒にいてもいいかしら?」
やわらかく笑うエリーは、変わらず眩しい。
私に好きな人が出来たとしても、
その人と結ばれなければ彼女に呪いはかからない。
私の大切な友達が傷つくことはない。
だから私は...。
呪いも、運命も、全部壊す。
『エリーがそれでいいのであれば、喜んで。』
「良かった。断られたらどうしようかと思ったわ。」
『ありがとう。』
いつか、この呪いのことを話さなければならない。
そのとき、彼女は傷つくだろうか。
それとも笑ってくれるだろうか。
身勝手でごめんなさい。
それでも私は、あなたを守りたい。
満点はわざと避けて、1、2問だけ落としておいた。
完璧すぎると目立つしね。
よし。早く終わった。
さて、次は魔力テストか。
魔力テストには、先生がいつも使っていた水晶玉と同じような測定器が使われるらしい。
力の込め方で光の強さが変わり、魔力量が分かる仕組みだ。
もちろん本気でやったら大惨事だ。
私は周りと同じくらいの魔力だけ見せるつもり。
さて、自分の番になった。慎重に力を込めなければ。
水晶にそっと手を添えて、呼吸を整え
ふと視界の端に、見覚えのある横顔が入った。
……え?
あれって――カマエル先生?
いや、でも立っている場所、完全に試験官側。
しかも、腕を組んで真面目な顔で採点表をめくっている。
『……ちょっと待って、なんで先生が教官やってるの!?』
そういうと同時に水晶玉を壊したのだった。
「驚きました?実はあなたに内緒でここの先生になったんですよ。」
『驚きますよ!驚いて力を込めすぎたじゃないですか!!』
「ふふふ。水晶を木っ端微塵にする人始めてみましたよ。」
可愛い。じゃなくて、もー。
これから嫌な予感しかしない。
結果、学園は合格。
そして担任はまさかのカマエル先生だった。
担任まで、カマエル先生だったなんて。嬉しいけどさ。
「今日からみなさんの担任になりました。カマエルです。よろしくお願いします。」
学園はS、A、B、C、D、E、Fの7つのクラスに分かれている。
Sクラスは優秀者だけが入る最上位で、
Fクラスはギリギリ合格組。
私は先生のせいでSクラスになってしまっていた。
平凡に過ごしてみたかったのに。
しかもこの学園の生徒たちを見て、既視感があった。
この顔ぶれ、服、名前…。
前世でプレイしていた乙女ゲームのキャラと全く同じだった。
教室のざわめきの中、ディオネは胸元のネックレスにそっと手を当てた。
『……プロメディウス様? 聞こえますか?』
宝石の奥で、光が瞬いた。
返事はすぐには来なかったけれど、冷たくはなくて、静かに包み込むような温かさが伝わってくる。
《――聞こえているよ、ディオネ。どうした?》
ディーはほっと息をつき、言葉をつなぐ。
「えっと、その……この世界って、私が前に好きだったゲームが元になってるって本当ですか? 全部、似てて…不思議で…」
宝石が淡く震え、声は柔らかく答えた。
《ああ。君の記憶の断片を見て、世界を作った。君が愛したものをそばに置きたかっただけだよ。だが――》
声は少しだけ真剣になった。
《ここから先は君の選択次第で変わる。君の物語は君が書いていくものだ》
自分の物語……。
ディーの胸に、ほんの少し勇気が灯る。
その言葉を胸に、ディーはネックレスを軽く握りしめなおした。
そういえば、ヒロインも出てくるはずだ。
スチルの中で見た彼女はとても可愛かった。
現実で会ったら、どれだけ綺麗なんだろう。
見たい。けど、ゲームでの舞台は15、16とかの年齢設定がされてたはず。
まだまださきだな。
人生長いようで短いから、あっという間だろう。
たしか、今日は顔合わせと学園の説明だけだったはず。
貴族の世界には「自己紹介」という文化はほぼ無い。
名前と顔を覚えておくのは、呼吸と同じくらい当たり前のことだからだ。
教室を見渡すと、もういくつかのグループは出来上がっていた。
「ディー?」
ん?この声は。天使!?
『エリー。同じクラスだったのですね。嬉しいですわ』
「私もよ。あのね。これからの学園生活。ディーと一緒にいてもいいかしら?」
やわらかく笑うエリーは、変わらず眩しい。
私に好きな人が出来たとしても、
その人と結ばれなければ彼女に呪いはかからない。
私の大切な友達が傷つくことはない。
だから私は...。
呪いも、運命も、全部壊す。
『エリーがそれでいいのであれば、喜んで。』
「良かった。断られたらどうしようかと思ったわ。」
『ありがとう。』
いつか、この呪いのことを話さなければならない。
そのとき、彼女は傷つくだろうか。
それとも笑ってくれるだろうか。
身勝手でごめんなさい。
それでも私は、あなたを守りたい。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
〈本編完結〉わたくしは悪役令嬢になれなかった
伊沙羽 璃衣
ファンタジー
「返しなさい! その体はわたくしのものよ!」
ある日ルミエラが目覚めると、転生者だという女に体を奪われていた。ルミエラは憤慨し、ありとあらゆる手を尽くして己の体を取り戻そうとする。
これは転生者に人生を奪われたひとりの少女のお話。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる