転生令嬢は冒険したい~ダンジョン目指してるのになぜか婚約破棄~

四葉

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第一章

4 教師 ト 期待 ~或る教師の胸中~

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私、レジーナ・ウィリスと申します。
上位貴族の方はジーナと呼びます。

家名を名乗っている通り、貴族の家の出身でございます。しかし実際はしがない子爵家。
国に不要と断じられれば比較的容易に爵位返上を命じられる立場の生まれでございます。

当家は代々尊きお方の教育に携わる事で爵位を繋ぐ一族でございます。
ですので、尊き血筋のお子様に礼儀作法や貴種の心得などをご指導し、社交界で正しく振舞っていただくことで一族の実績として参りました。

一代限りの騎爵位とは違い、子や孫に子爵位を継承する事が認められていますが、それも実績あっての事。
私どもは必死と言っても良いほどに尊き血筋のお子様に礼儀や教養を身に付けていただきます。


しかし、私どもがどれほど情熱を傾けようとも子供というのは勉強を嫌がるものでございます。

もちろん個人差はございますので優秀な方もいれば要領のよろしくないお子様もいらっしゃいます。

その中でこの度、家庭教師を命じられたお嬢様は飛び抜けておりました。
驚く程に優秀なのでございます。

通常、才能溢れる子であっても3才で家庭教師を付ける事はございません。
遊びたい、甘えたい盛りの年頃でございますれば乳母や侍女を侍らせて面倒を見るのが一般的なのです。

5歳を迎えると神官様に祝福をいただき、神に認められた称号と与えられたスキルを鑑定士に鑑定させ、それによって教育の量や方針が決定されます。

ところが今お教えしている公爵家のセレスティアお嬢様は3才ながらも机に向かう事を嫌がりません。
むしろ好んで本をお読みになり、積極的に質問されます。

なぜか「どうやったらレベルがあがるの?」とか「ダンジョンはどこにあるの?」とか「スキルはどうやって身に付けるの?」といった、おおよそ貴族らしからぬ質問ばかりなのが気になりますが。

言葉遣いや食事のマナーはまだ難しいご様子ですが3才ながら丁寧な挨拶をなさり、簡単な計算もおできになるなんて!
この調子で成長なさればステータスを鑑定される頃には魔法すら発現されるかもしれません。

非常に将来が楽しみであり、かつてない程に家庭教師が楽しいお嬢様でいらっしゃいます。


その為か、つい3才という事を忘れて年齢以上の成果を求めてしまいます。
なまじ3才らしからぬ受け答えをしてくださるので成年の貴婦人のような完璧さを欲して細かい所まで注意してしまうのです。

早いうちに旦那様に進言し、ステータスの鑑定と同時に歴史や魔法などもお教えできるよう家庭教師を増やすようご検討いただいた方がよろしいかもしれませんね。
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