29 / 52
第一章
29 合流 ト 帰宅
しおりを挟む
なんだか嵐みたいな人だったな。
嵐が去った方を呆然と見ているとすれ違いに次の子が入ってくる。
「なにかあったの?」
「んー·····なんでしょうねぇ」
足を踏み鳴らして怒り顔で出て行く子を見たら、当然気になるよね。
私も王家の不興を買ったのではないかと俄然気になる。
「ふっ··········クッ·····。お気になさらずともよろしいかと·····ぶふっ!
さあ坊ちゃん、鑑定いたしましょう」
鑑定士のおじさんが殺しきれない笑いを漏らしながら声をかけてくれる。
「そんなにわらわなくても·····」
「申し訳ございません。大変な不敬ですな·····っぷふー」
漏れてる漏れてる!
「いえ、潔くも豪快なお姿で·····自爆··········ふぁっ!
しかも傾国··········」
褒め方がすごい。
確かに潔く、尚且つ豪快だった。うん。
それに鑑定士さんは殿下の称号を知っているのだ。
あの称号を自慢気されていた姿はなかなかの衝撃だったのだろう。
うっかり私が何の称号も持っていなかったら、あの傾国の称号を誇りに胸を張って王宮に凱旋したのかも、と考えると薄ら寒いものがある。
次に鑑定を受ける子、恐らく侯爵家の子息は頭にクエスチョンマークをいくつも浮かべて不思議そうにしている。
にっこりと笑いかけて大した事じゃないと伝えると、興味はステータスへと移って行った。
やっぱりみんなステータス気になるよね!
私も失礼しよう。
外に出るとリナがセフィドを抱えて待っていてくれた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「リナ、セフィド!ただいま!」
セフィドを受け取り、持っていたステータスの羊皮紙をリナに預ける。
「お邸に食事を用意させてあります。すぐに戻られますか?」
「おなかすいたけど、マリーは?」
「私はこちらに」
気付かなかった。
いや、ずっといた訳ではなくたった今戻って来たらしい。
思いっきり両手に肉串を持っている。
ずいぶんお祭りを堪能してきたのだろう、これぞ屋台メシ!って感じの串ものや、なんと言うか冒険者の人達が普段食べているような豪快なご飯を持てるだけ持っている。
「ちょっとマリーさん!お嬢様の前でそのような!」
「お嬢様がお戻りになるまでには完食しておく予定だったんです」
『ムリだろ』
うん、ムリでしょ。
でも見てると食べたくなってくる。
人の食べてるものは美味しそうに見えるよね。
「それ、おいしそー」
「お嬢様、食べた事あるんですか?」
「ないけど、たべられないものじゃないんでしょ?」
「それもそうですね。
宜しければお一つどうぞ」
やったーーー!
マリーを専属にしてホントに良かった!!
遠慮なく肉串を1本貰って帰りの馬車の中でかぶりつく。
うん、めちゃくちゃ旨い。
「お嬢様のお口に合いますか?」
「うん、おいしーよ!」
焼いた肉に塩をふっただけのシンプルな料理。
塩も岩塩を推し砕いた雑多な物だが、肉が美味しい。
ガツンと来る豪快な旨味に反して上品な脂が入ったような肉汁。スっと歯が入るのも5歳児にはありがたい!
「お祭り限定特別入荷のドラゴン肉の串焼きとの事です。普段はいいとこオーク肉しか出回らないんですけど、さすがドラゴンですよね」
ドラゴン!
凄いな。やっぱり危険度の高いお肉の方が美味しかったりするのだろうか。
『ドラゴン肉って美味しいのか·····』
「うん、とってもおいしい!」
欲を言えば塩だけじゃなくタレでも食べて見たかったよう!!
この世界に醤油がないのが悔やまれる。
肉串を食べ終わって少し落ち着いた頃に邸に到着した。
小腹が満たされたのであまり昼食という気分ではないけれど、せっかく用意してくれたのだか少しでもいただこう。
それからステータスの検証だ!
··········それより、さっきから不思議な声が聞こえて来ないかい??
嵐が去った方を呆然と見ているとすれ違いに次の子が入ってくる。
「なにかあったの?」
「んー·····なんでしょうねぇ」
足を踏み鳴らして怒り顔で出て行く子を見たら、当然気になるよね。
私も王家の不興を買ったのではないかと俄然気になる。
「ふっ··········クッ·····。お気になさらずともよろしいかと·····ぶふっ!
さあ坊ちゃん、鑑定いたしましょう」
鑑定士のおじさんが殺しきれない笑いを漏らしながら声をかけてくれる。
「そんなにわらわなくても·····」
「申し訳ございません。大変な不敬ですな·····っぷふー」
漏れてる漏れてる!
「いえ、潔くも豪快なお姿で·····自爆··········ふぁっ!
しかも傾国··········」
褒め方がすごい。
確かに潔く、尚且つ豪快だった。うん。
それに鑑定士さんは殿下の称号を知っているのだ。
あの称号を自慢気されていた姿はなかなかの衝撃だったのだろう。
うっかり私が何の称号も持っていなかったら、あの傾国の称号を誇りに胸を張って王宮に凱旋したのかも、と考えると薄ら寒いものがある。
次に鑑定を受ける子、恐らく侯爵家の子息は頭にクエスチョンマークをいくつも浮かべて不思議そうにしている。
にっこりと笑いかけて大した事じゃないと伝えると、興味はステータスへと移って行った。
やっぱりみんなステータス気になるよね!
私も失礼しよう。
外に出るとリナがセフィドを抱えて待っていてくれた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「リナ、セフィド!ただいま!」
セフィドを受け取り、持っていたステータスの羊皮紙をリナに預ける。
「お邸に食事を用意させてあります。すぐに戻られますか?」
「おなかすいたけど、マリーは?」
「私はこちらに」
気付かなかった。
いや、ずっといた訳ではなくたった今戻って来たらしい。
思いっきり両手に肉串を持っている。
ずいぶんお祭りを堪能してきたのだろう、これぞ屋台メシ!って感じの串ものや、なんと言うか冒険者の人達が普段食べているような豪快なご飯を持てるだけ持っている。
「ちょっとマリーさん!お嬢様の前でそのような!」
「お嬢様がお戻りになるまでには完食しておく予定だったんです」
『ムリだろ』
うん、ムリでしょ。
でも見てると食べたくなってくる。
人の食べてるものは美味しそうに見えるよね。
「それ、おいしそー」
「お嬢様、食べた事あるんですか?」
「ないけど、たべられないものじゃないんでしょ?」
「それもそうですね。
宜しければお一つどうぞ」
やったーーー!
マリーを専属にしてホントに良かった!!
遠慮なく肉串を1本貰って帰りの馬車の中でかぶりつく。
うん、めちゃくちゃ旨い。
「お嬢様のお口に合いますか?」
「うん、おいしーよ!」
焼いた肉に塩をふっただけのシンプルな料理。
塩も岩塩を推し砕いた雑多な物だが、肉が美味しい。
ガツンと来る豪快な旨味に反して上品な脂が入ったような肉汁。スっと歯が入るのも5歳児にはありがたい!
「お祭り限定特別入荷のドラゴン肉の串焼きとの事です。普段はいいとこオーク肉しか出回らないんですけど、さすがドラゴンですよね」
ドラゴン!
凄いな。やっぱり危険度の高いお肉の方が美味しかったりするのだろうか。
『ドラゴン肉って美味しいのか·····』
「うん、とってもおいしい!」
欲を言えば塩だけじゃなくタレでも食べて見たかったよう!!
この世界に醤油がないのが悔やまれる。
肉串を食べ終わって少し落ち着いた頃に邸に到着した。
小腹が満たされたのであまり昼食という気分ではないけれど、せっかく用意してくれたのだか少しでもいただこう。
それからステータスの検証だ!
··········それより、さっきから不思議な声が聞こえて来ないかい??
10
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる