転生令嬢は冒険したい～ダンジョン目指してるのになぜか婚約破棄～

第二章

39 半年 ト 進捗

私が王太子殿下の婚約者となって初の顔合わせ以降、月1くらいのペースで王宮に参じた。

かれこれ半年。
国王夫妻に請われた通りに殿下を導くべく弄してみたけれど、結果は思わしくない。

もうね、目指す目標が全く違うんですよ。

私や、殿下の専属教師は現在の称号を改善することを目標としているのに対し、殿下自身は称号を増やすことを目標に努力している。

ハッキリと「お前の称号だと国がヤベーよ？」と言えれば楽なのだけれど、流石に臣下の身では言えない。
正直、何度か「殿下がお持ちの称号はあまり好ましくありませんの」とか言いそうになったけど、陛下直々の箝口令もあり本人にすら伝えられない。

笑ってくれ。
見た目は令嬢、中身は小市民！
誰か私に名探偵の頭脳をください！！


それでも私なりに頑張ってみたんだけどね。
称号を消したい私と称号を増やしたい殿下ではどうにも噛み合わない。

具体的には「もっとちゃんと勉強して！」という私の立場と「今までと同じ事してても今までと同じ称号しか貰えないだろ！」という殿下のスタンスはどうにも交わらなかった。


それでも称号が『傾国の親王』と示されている以上、殿下自身がいずれは国を治める立場にある重さを自覚できればあっさり覆るだろうと考えた。
そしてそれは7歳には難しい話だ。
前世なら小学校に上がったくらいの年齢で司法やら行政やらについて勉強しようとしても無理がある。

だから割とのんびり構えてたんだよねー。

「殿下は最近、どのような本をお読みになられましたの？」
とか聞いて、それとなく読み書きなんかの勉強の内容やペースを確認しながらお茶飲んで雑談してた。

しかしそれも最初の２～３ヶ月の話。

少しずつ、顔を合わせる時間が短くなってきたと思ったら半年経つ頃には面会も叶わなくなった。

えー、もう、手紙で約束したじゃん！
何度か手紙をやり取りした上で今日の登城が決まったのに勘弁してくれよ！！