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01話 異世界
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光がヤス達を包み何も見えなくなった後、気がつくと山にいた。足下に目を向けると背の低い草に囲まれている。
「ここはどこだ?」
「どこなんでしょう?(笑)」
声をした方を見ると、先ほどの天使がいた。
「夢じゃなかったのか......」
神様からエールと呼ばれていた天使は、ニコニコしながらこっちを見ている。
「エールさん......で良いのかな? これからどうするの?」
「そんなかしこまらないでください。エールでいいですよ(笑)」
「じゃあ、エール。これからどうする?」
「とりあえず人のいそうな場所に向かいませんか?(笑)」
確かに、まずは情報を集めたい。
「人がいる世界なら良いですね(笑)」
「......ここがどういう世界かわからないのか?」
「そうですねー。私にはよくわかりませんが、とりあえず空気があってよかったですね(笑)」
え? そのレベルなの?
「見た感じ自然も豊かですし、食べ物もありそうですね(笑)」
何もわからないにも程があるだろ。
「わからないのは仕方がないので、今わかる範囲で考えるしかないです(笑)」
まあ、確かにエールみたいに今わかる範囲で推察するしかないだろう。
「町が見えますよ(笑)」
山から地上を見ると、そう遠くない距離に町が見える。
「とりあえず人がいる世界でよかった......」
「まあ、人型とは限りませんけどね(笑)」
「......とりあえず、あの町を目指すか」
人がいることを願いながら町に向かうことになった。
✳︎✳︎✳︎
町への道中、エールと周囲を観察しながら進む。
「今見える範囲では、地球と同じような環境だな」
空気があり、水もあり、気温も丁度良い。遠くには町が見えて、町へ続く道もあった。
「もしかして地球だったりする?」
「どうでしょう?(笑)」
多少、時代や国は違うかもしれないが、もしかしたら地球かもしれない。
「ヤスさん、何かいますよ(笑)」
「......」
よく見るスライムみたいな奴がヤス達の前をゆっくり横切って行った。
「第一村人発見」
「人じゃないですけどね(笑)」
淡い期待は打ち砕かれ、現実に引き戻された。
「とりあえず、襲ってこなくってよかったな」
「今死んだら試練もリタイアです(笑)」
試練か......
ヤスがここへ送り込まれた理由は、エールの試練を手伝うためである。
「そもそも試練って何なんだ?」
「一言で言えば女神になる儀式です(笑)」
「女神になるの!?」
「達成できたらですけどね(笑)」
まさかの女神候補だった。
女神になるのを手伝うって重大任務すぎない?
「試練ってやっぱり難しいの?」
「噂では、天使学校の教官の背後をとるくらいって聞きました(笑)」
基準がわからない。
「そもそも受験資格が厳しすぎて、この試練って天界でも謎が多いんですよね(笑)」
「誰でも受けられるわけじゃないのね」
「はい。全天使の90%以上から推薦がないと受けられません(笑)」
受験資格エグいな。
「そうまでして神様ってなりたいものなの?」
「神様になれば全天使が部下ですから、なりたいって天使は多いですよ(笑)」
「エールも出世したいのね」
「どうなんでしょう?(笑)」
「でもそのために推薦集めたんでしょ?」
「私は何もしていないですけどね(笑)」
エールは困ったように笑っている。
「私も初めて知ったのですが、試練って推薦されると受けないといけないんですよ(笑)」
何その友達が応募しちゃいましたみたいなやつ
「あと、女神になったら自分の世界を創らないといけないんですよ(笑)」
何だかとんでもない事を引き受けてしまったかもしれない......
この試練って成功したら、もはやその世界の神話じゃないか。
「そもそも試練の内容がわからないけど、クリアしたらお知らせとか来るの?」
「この世界の女神様が来てくれるらしいです(笑)」
「さっき会った女神の友達だっけ?」
天界でそんなこと言っていたのを思い出す。
「どんな神様なの?」
「うーん。噂によると凄い綺麗な女神様で、イイ性格してるらしいです(笑)」
相変わらずこの試練とやらは情報が少ない。
「で、試練内容は謎だと......」
「内容なのですが、判断するのは女神様なので、女神様が喜びそうなことかもしれません」
大雑把だが、何もないよりかはマシか。
「まあ、一度死んだ身で帰る場所もないし、役に立つかはわからないけどエールに付き合うよ」
諦めてエールを手伝う事を心に決める。願いを叶えてくれるらしいしね。
「ちなみに、さっき死んだらリタイアって言ってたけど、死んだらどうなるんだ? さっきの女神様が迎えに来てくれるとか?」
一度死んでいるので、死への恐怖は今までほど無い気がする。
「天に昇ることもなく、この世界で彷徨い続けることになります(笑)」
「......」
死ぬの怖い。むしろ彷徨い続けるのが決定している時点で今までより恐怖度増しているんですけど。
「俺のリスク酷くない?」
先ほどの女神からはそんな説明など一切なかった。もう詐欺と言っても過言ではないのではないか。
俺は死んだら地縛霊? エールはリタイアで天界に帰るんだろうし、理不尽すぎないか?
「私もヤスさんと同じですよ。死んだら仲良く彷徨いましょうね(笑)」
「......怖くないの?」
「怖くないと言ったら嘘になります。でも何もしなくてもいつかは死んでしまいますから。私は、今できる事を1つ1つやっていこうって思います(笑)」
「そうか」
エールの言っていることは正しい。
このまま何もしなければいずれは死ぬ。
であるなら、とりあえず行動を起こして可能性を模索していった方が良い。
仮に途中で死んでも一応1人ではないみたいだし......
「エールのいう通りだな。色々試してみて、結果的にダメでもその時後悔しないようにしたいな」
「ふふっ、ありがとうございます(笑)」
失敗すれば酷い運命の待つ試練を強制されている状況にも関わらず、エールは笑顔でいてくれる。エール自身も不安だろうにヤスを元気付けてくれる。
ヤスは、この健気な天使の力になりたいと思うようになっていた。
エールと試練について話していたら、町の入り口が見えて来た。
よく見ると門番がいるのがわかる。
「人がいてよかった......」
とりあえず安心した。
と同時に不安が込み上げる。
「言葉は通じるのか?」
「大丈夫ですよ(笑)」
大丈夫なの?
人がいるかすら知らなかったのに?
「とりあえず、行きましょ(笑)」
エールと共に入り口へ近づくと門番が話しかけてきた。
「⚫︎✖︎◼︎⚫︎▶︎」
「⚫︎✖︎◼︎⚫︎▶︎ー(w)」
「ちょっと待てー!!」
エールを引っ張り一度入り口から離れる。
「お前、当然のように謎の言語使うなよ!!」
「わからなかったんですか?(笑)」
やっぱり言葉通じないじゃん。
どうすんだ、これから......
ちゅ
「っちょ何すんだいきなりっ!」
「ふふっ、天使の御加護です(笑)」
いきなり唇を奪われた。
「これで言葉も分かりますよ(笑)」
マジでか!?
「まさかそんな効果があるとは......」
「味も変えられますよ? 試してみますか?(笑)」
「やめときます......」
さっきは急だったので何とかなったが、改めてとなると心臓に悪い。下手すれば止まるかもしれない。
未だに心臓がバクバクしている。
「それでは町に入りましょう(笑)」
町にはあっさり入ることができた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「ヤスさん。私この世界来たことあります(笑)」
エールが急に重大なことを言い出した。
「昔、連休が取れた時に旅行で来ました(笑)」
連休とか旅行とか突っ込みたい点はあるが、とりあえず助かった。
「来たことある場所なら安心だ。で、どんなところなんだ?」
「この世界には魔王がいます(笑)」
「......」
「物価が高く、私たちは無一文です(笑)」
「......」
「今夜寝る場所もありません(笑)」
「笑えないんですけど......」
こんな状況なのにエールはニコニコしている。
「大丈夫ですよ! まだ午前中です。お金稼いで宿を確保する時間はあります(笑)」
前向きなエールの言葉に背中を押されると、何だか大丈夫なんじゃないかという気持ちになってくる。
「そうだな、まだ午前中だ。まだ慌てる時間じゃない」
「ふふっ、のんびり行きましょう(笑)」
ヤスはエールがたくさんの天使に推薦された理由が少し分かった気がした。
試練の内容は生活を安定させつつ少しずつ考えていこう。
とにかく今は生き残ることが第一だ。
「ここはどこだ?」
「どこなんでしょう?(笑)」
声をした方を見ると、先ほどの天使がいた。
「夢じゃなかったのか......」
神様からエールと呼ばれていた天使は、ニコニコしながらこっちを見ている。
「エールさん......で良いのかな? これからどうするの?」
「そんなかしこまらないでください。エールでいいですよ(笑)」
「じゃあ、エール。これからどうする?」
「とりあえず人のいそうな場所に向かいませんか?(笑)」
確かに、まずは情報を集めたい。
「人がいる世界なら良いですね(笑)」
「......ここがどういう世界かわからないのか?」
「そうですねー。私にはよくわかりませんが、とりあえず空気があってよかったですね(笑)」
え? そのレベルなの?
「見た感じ自然も豊かですし、食べ物もありそうですね(笑)」
何もわからないにも程があるだろ。
「わからないのは仕方がないので、今わかる範囲で考えるしかないです(笑)」
まあ、確かにエールみたいに今わかる範囲で推察するしかないだろう。
「町が見えますよ(笑)」
山から地上を見ると、そう遠くない距離に町が見える。
「とりあえず人がいる世界でよかった......」
「まあ、人型とは限りませんけどね(笑)」
「......とりあえず、あの町を目指すか」
人がいることを願いながら町に向かうことになった。
✳︎✳︎✳︎
町への道中、エールと周囲を観察しながら進む。
「今見える範囲では、地球と同じような環境だな」
空気があり、水もあり、気温も丁度良い。遠くには町が見えて、町へ続く道もあった。
「もしかして地球だったりする?」
「どうでしょう?(笑)」
多少、時代や国は違うかもしれないが、もしかしたら地球かもしれない。
「ヤスさん、何かいますよ(笑)」
「......」
よく見るスライムみたいな奴がヤス達の前をゆっくり横切って行った。
「第一村人発見」
「人じゃないですけどね(笑)」
淡い期待は打ち砕かれ、現実に引き戻された。
「とりあえず、襲ってこなくってよかったな」
「今死んだら試練もリタイアです(笑)」
試練か......
ヤスがここへ送り込まれた理由は、エールの試練を手伝うためである。
「そもそも試練って何なんだ?」
「一言で言えば女神になる儀式です(笑)」
「女神になるの!?」
「達成できたらですけどね(笑)」
まさかの女神候補だった。
女神になるのを手伝うって重大任務すぎない?
「試練ってやっぱり難しいの?」
「噂では、天使学校の教官の背後をとるくらいって聞きました(笑)」
基準がわからない。
「そもそも受験資格が厳しすぎて、この試練って天界でも謎が多いんですよね(笑)」
「誰でも受けられるわけじゃないのね」
「はい。全天使の90%以上から推薦がないと受けられません(笑)」
受験資格エグいな。
「そうまでして神様ってなりたいものなの?」
「神様になれば全天使が部下ですから、なりたいって天使は多いですよ(笑)」
「エールも出世したいのね」
「どうなんでしょう?(笑)」
「でもそのために推薦集めたんでしょ?」
「私は何もしていないですけどね(笑)」
エールは困ったように笑っている。
「私も初めて知ったのですが、試練って推薦されると受けないといけないんですよ(笑)」
何その友達が応募しちゃいましたみたいなやつ
「あと、女神になったら自分の世界を創らないといけないんですよ(笑)」
何だかとんでもない事を引き受けてしまったかもしれない......
この試練って成功したら、もはやその世界の神話じゃないか。
「そもそも試練の内容がわからないけど、クリアしたらお知らせとか来るの?」
「この世界の女神様が来てくれるらしいです(笑)」
「さっき会った女神の友達だっけ?」
天界でそんなこと言っていたのを思い出す。
「どんな神様なの?」
「うーん。噂によると凄い綺麗な女神様で、イイ性格してるらしいです(笑)」
相変わらずこの試練とやらは情報が少ない。
「で、試練内容は謎だと......」
「内容なのですが、判断するのは女神様なので、女神様が喜びそうなことかもしれません」
大雑把だが、何もないよりかはマシか。
「まあ、一度死んだ身で帰る場所もないし、役に立つかはわからないけどエールに付き合うよ」
諦めてエールを手伝う事を心に決める。願いを叶えてくれるらしいしね。
「ちなみに、さっき死んだらリタイアって言ってたけど、死んだらどうなるんだ? さっきの女神様が迎えに来てくれるとか?」
一度死んでいるので、死への恐怖は今までほど無い気がする。
「天に昇ることもなく、この世界で彷徨い続けることになります(笑)」
「......」
死ぬの怖い。むしろ彷徨い続けるのが決定している時点で今までより恐怖度増しているんですけど。
「俺のリスク酷くない?」
先ほどの女神からはそんな説明など一切なかった。もう詐欺と言っても過言ではないのではないか。
俺は死んだら地縛霊? エールはリタイアで天界に帰るんだろうし、理不尽すぎないか?
「私もヤスさんと同じですよ。死んだら仲良く彷徨いましょうね(笑)」
「......怖くないの?」
「怖くないと言ったら嘘になります。でも何もしなくてもいつかは死んでしまいますから。私は、今できる事を1つ1つやっていこうって思います(笑)」
「そうか」
エールの言っていることは正しい。
このまま何もしなければいずれは死ぬ。
であるなら、とりあえず行動を起こして可能性を模索していった方が良い。
仮に途中で死んでも一応1人ではないみたいだし......
「エールのいう通りだな。色々試してみて、結果的にダメでもその時後悔しないようにしたいな」
「ふふっ、ありがとうございます(笑)」
失敗すれば酷い運命の待つ試練を強制されている状況にも関わらず、エールは笑顔でいてくれる。エール自身も不安だろうにヤスを元気付けてくれる。
ヤスは、この健気な天使の力になりたいと思うようになっていた。
エールと試練について話していたら、町の入り口が見えて来た。
よく見ると門番がいるのがわかる。
「人がいてよかった......」
とりあえず安心した。
と同時に不安が込み上げる。
「言葉は通じるのか?」
「大丈夫ですよ(笑)」
大丈夫なの?
人がいるかすら知らなかったのに?
「とりあえず、行きましょ(笑)」
エールと共に入り口へ近づくと門番が話しかけてきた。
「⚫︎✖︎◼︎⚫︎▶︎」
「⚫︎✖︎◼︎⚫︎▶︎ー(w)」
「ちょっと待てー!!」
エールを引っ張り一度入り口から離れる。
「お前、当然のように謎の言語使うなよ!!」
「わからなかったんですか?(笑)」
やっぱり言葉通じないじゃん。
どうすんだ、これから......
ちゅ
「っちょ何すんだいきなりっ!」
「ふふっ、天使の御加護です(笑)」
いきなり唇を奪われた。
「これで言葉も分かりますよ(笑)」
マジでか!?
「まさかそんな効果があるとは......」
「味も変えられますよ? 試してみますか?(笑)」
「やめときます......」
さっきは急だったので何とかなったが、改めてとなると心臓に悪い。下手すれば止まるかもしれない。
未だに心臓がバクバクしている。
「それでは町に入りましょう(笑)」
町にはあっさり入ることができた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「ヤスさん。私この世界来たことあります(笑)」
エールが急に重大なことを言い出した。
「昔、連休が取れた時に旅行で来ました(笑)」
連休とか旅行とか突っ込みたい点はあるが、とりあえず助かった。
「来たことある場所なら安心だ。で、どんなところなんだ?」
「この世界には魔王がいます(笑)」
「......」
「物価が高く、私たちは無一文です(笑)」
「......」
「今夜寝る場所もありません(笑)」
「笑えないんですけど......」
こんな状況なのにエールはニコニコしている。
「大丈夫ですよ! まだ午前中です。お金稼いで宿を確保する時間はあります(笑)」
前向きなエールの言葉に背中を押されると、何だか大丈夫なんじゃないかという気持ちになってくる。
「そうだな、まだ午前中だ。まだ慌てる時間じゃない」
「ふふっ、のんびり行きましょう(笑)」
ヤスはエールがたくさんの天使に推薦された理由が少し分かった気がした。
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