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14話 いつも閉まっている店
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「大変でしたね(笑)」
酷い目にあった。
「とりあえず、エールは手を洗って来い」
「ヤスさんも足洗った方が良いですよ(笑)」
蛇との死闘を終え、皆汚れきっていた。
「昨日は結局寝れなかったから、とりあえず洞窟で寝ようか」
川で汚れを落としながらヤスが提案すると
「ノーパンの女の子2人を洞窟に連れ込んで何する気ですか?」
忘れてた。
この2人のパンツが川へ消えていったを思い出す。蛇に襲われてそれどころではなかったが、意識すると突然恥ずかしくなってきた。
「どこ見てるんですか?」
無意識に視線が下に下がっていたようだ。ルンにバレないよう、誤魔化しつつ横に目を向けると、前屈みで手を洗っているエールが視界に入った。水に濡れないようにスカートの端を結んでいるため、裾がより際どくなっている。
言いがかりを付けられても嫌なので無理やり目線を上げると、こんどは緩んだ胸元が目に入る。
ヤスは無理やり首を動かそうとするが動かない。
くそっ、これが男の性というやつか!
ばしゃっ
「見過ぎです(笑)」
顔に水をかけられ正気に戻った。
✳︎ ✳︎ ✳︎
身体の汚れを落とし、洞窟に戻る道の途中。
「ヤスさんがどんなパンツを買ってくれるか楽しみにしてますね(笑)」
「え? 俺が選ぶの?」
「責任取って私達に似合うやつを買ってくださいね(笑)」
「いや、お金払うから自分で買って来てよ」
女性用下着の売り場に入りたくないし、そもそも男性が買った物なんて普通は着たくないだろ。
「ヤスさんはお金で解決するタイプの人だったんですね。私悲しいです」
何故かエールは目に涙を浮かべている。意味がわからない。
「わかったから、2人のパンツちゃんと買ってくるから! だから泣かないで。ね?」
女の子が泣くのはずるい。意味がわからない理由であっても、そんなのは関係なく罪悪感がこみ上げてくる。
「私は絶対に嫌です。自分で買うのでお金だけください」
「では私も自分で買いますね(笑)」
「嘘泣きかよ!」
エールはいつも通りの笑顔になっていた。
先ほどまでのやりとりは何だったのだろうか......
「それとも私の分は選びたいですか?(笑)」
「勘弁してください......」
✳︎ ✳︎ ✳︎
洞窟に着き準備を済ませて町に向かう。
町までもう少しのところでヤスは疑問に思ったことを口にした。
「思ったんだけど、替えのパンツ履けば良いじゃん」
「履いてますよ。当たり前じゃないですか」
「......じゃあ洞窟で眠ってから町行けばよかったじゃん」
「あ......」
「まあ、眠くて頭が働かないときってありますし(笑)」
もうダメだ。眠い。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ヤス一行はノーパンの心配がなくなったことがわかったので、町でとりあえず睡眠を取ることにした。
「昼寝屋さんに行きましょう」
「昼寝屋? そんな店があるのか?」
この世界のサービスにしては前衛的すぎる。
「ここからすぐ近くに一軒だけあるんですよ。ただ、人が入っているのを見たことないです」
「よく潰れないな......」
ヤスは謎のお店に疑問を持つが、普段利用している宿より近いというので昼寝屋を利用することにした。
「誰もいませんね(笑)」
店に入ると、客どころか店員もいない。
「えっと、料金は前払い制で......」
ルンが受付に貼ってある説明書きを読んでいる。
「料金は1人につき大銅貨が1枚くらいだそうです」
「くらいってなんだよ」
「だってそう書いてあるんですもん」
ルンのいう通り、紙には大銅貨1枚くらいと書いてある。
「雑な店だな」
料金もそうだが、時間が書いていない。
「おおらかなお店ですね(笑)」
ヤス達は睡魔が限界になったため、これ以上の詮索はせずにとりあえず寝ることにした。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ヤスが起きるとエールは居らず、ルンは隣で猫を撫でていた。
来た時は眠くて気が付かなかったが、綺麗な内装をしている。室内は眠気を誘うような香りで満たされており、寝るには最高の空間だった。
「おはよう。エールは?」
「おはようございます。エールさんならパンツ買うついでに散歩に行くって言ってましたよ」
「ルンは行かなかったのね」
「行っても良かったんですけど、この子が膝から離れなかったので、エールさんにお任せしました」
目線を落とすと猫がルンの膝の上で仰向けになっている。
「野生を失ったという表現がぴったりだな」
ヤスも撫でようとして手を伸ばしても全く逃げる気配はない。
ルンと猫を撫でながらエールの帰りを待つ事にした。
✳︎ ✳︎ ✳︎
しばらくするとエールが帰ってきた。
「今日はミミさんのお店が開いているらしいですよ(笑)」
「本当ですか? 珍しいですね!」
「ミミさんのお店?」
エールの情報にルンが驚いているが、ヤスはそもそもそんなお店を知らない。
「雑貨屋さんですよ。たまに開いていて、人知れず閉店しているお店です」
「よく潰れないな......」
「マッチの開発者で、悠々自適に暮らしているらしいですよ(笑)」
「なんでそんなに詳しいんだ?」
エールはヤスの知らない事をよく知っている。
以前旅行で来たと言っていたが、それを考慮しても町のことに詳し過ぎる気がする。
「宿屋のご主人が教えてくれました(笑)」
これがコミュ力の差か。
日本にいた時はネットで情報が集められたが、この世界にはそんなものはない。コミュ力の差が情報格差に直結する。
「ちなみに、この昼寝屋さんもミミさんのお店です(笑)」
潰れないお店は、金持ちの道楽だった。
「それで、この後はどうしましょう? 私はミミさんの店に行ってみたいです」
「まあ、いいんじゃないか? この後予定はないし、洞穴で暮らすための良いアイテムがあれば助かるしな」
マッチの開発者ということなので、何かしら良い道具がある気がする。
「ヤスさん少し声を抑えめに。あっちで寝てる方もいるので(笑)」
エールが指差す方に2人寝ているのが見えた。
昼寝屋にも客って来るんだな......
「じゃあ、とりあえずその店行こうか」
3人は寝ている客の迷惑にならないように外へ出た。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ミミの店は閉まっていた。
「やってないじゃん!」
エールの方を見ると入り口の張り紙を指差している。
“昼寝屋さんで寝てきます”
「あの2人だったんですね(笑)」
昼寝屋の2人は利用客ではなく店主達だったようだ。
気を遣って店を出たのが裏目に出た。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ヤスたちが昼寝屋に戻ると、2人はまだ眠っているようだった。
1人は日光に当たり気の抜けた顔で昼寝をしており、もう1人は寝顔であっても凛々しい雰囲気を醸し出している。
「あのー」
2人のうち、店主っぽい人に声をかける。
「ん......なんだい?」
「ミミさんですか?」
「違うぞ」
違うのかい
「違うっぽいぞ?」
「もう1人の方じゃないですか?」
「え? この人?」
もう1人の方は、野生を忘れた猫のような雰囲気を感じる。
経営者には見えないけど......
「あのー」
「zzz」
起きる気配がないので揺すってみる。
「すみませーん」
「がぶっ」
噛まれた。猫かよ。
「......んー?」
まだ寝ぼけているようだ。
「すみません。目を覚ましてください」
店主と思われる女性がこっちを向く。
しばらくすると、目の焦点が段々が合ってきた。
「人の昼寝を邪魔するなんて良い度胸してるじゃないか」
やっと目を覚ましてくれたと思ったら、めちゃくちゃ機嫌が悪い。
「すみません。ちょっとお店に用事が......」
「今日はもう閉店だよ」
「ちょっとだけでも」
「は? 出禁にするぞ?」
ちょっと短気すぎませんか?
店主と思われる女性はヤスにキレた後、直ぐにまた眠ってしまった。
「君たち」
初めに声をかけた凛々しい顔をした女性が起きていた。
「あ、起こしてしまってすみません」
「ミミは寝起き最悪だから起こさない方が良いぞ」
「そうみたいですね」
考えてみたら昼寝しているのを無理やり起こすのは、非常識な行為だ。
「あなたはミミさんのお店の方ですか?」
今眠っている短気な店主がミミというなら、この凛々しいお姉さんは従業員なのだろうか? ダメな店主を支える有能な従業員という構図のお店なのだろう。
「私はタマキだ。ミミとは、まあ友人だな」
タマキと名乗る女性は、自身の綺麗な狐色の髪をいじりながら答えた。
「そうだったんですね。お昼寝中に無理に起こして申し訳ありません。僕はヤスっていいます。で、こっちがエールとルンです」
「ふむ。で、何のようだ?」
「僕達、町の外の洞窟に住む予定でして、そこで使えそうな道具がミミさんのお店にあればなと思いまして」
「ほう。町の外に住むのか。昔はそんな奴らも多かったが、最近では珍しいな」
「一応住めそうなんですが、洞窟の中が息苦しくなるので、何か良いアイテムとかないかなと」
あの洞窟に住んでみてわかったのは換気のしにくさだった。入り口が1つしかない上に狭く、外敵の侵入を防ぐためのドアをつけるため密閉されてしまう。それに加えて火を灯しているため酸欠になる。
「ふむ。まあ、ミミの店には日を改めて来るんだな。こいつは、こうなってしまったらしばらくは起きない」
「そうですか」
「そう気を落とすな。ここで会ったのも何かの縁だ。私が手伝ってやろう」
確かに今は人手が欲しいし、この有能そうなお姉さんに手伝ってもらえたら助かる。しかし、ヤスたちは貧乏なので人を雇うお金などない。
「でも手伝っていただけても僕達お金とかあんまりないので......」
「いや、長いこと生きていると暇でな。金は取らんから安心しろ」
暇なだけだったようだ。
「私、タマキさんには何かを感じます(笑)」
「ん? まあ、色々知ってそうだし人手が増えて困ることはないけど......」
「悪い人ではないと思いますよ(笑)」
エールが言うのならそんな気がしてくる。たまに心を読まれている気がするし、人の心情などを察知したりする能力がヤスよりも敏感なのは確かなのだろう。
「そうと決まれば行こうではないか」
すごい乗り気なタマキにヤスは少し不安を覚えたが、悪い人ではなさそうなので一緒に行くことにした。
酷い目にあった。
「とりあえず、エールは手を洗って来い」
「ヤスさんも足洗った方が良いですよ(笑)」
蛇との死闘を終え、皆汚れきっていた。
「昨日は結局寝れなかったから、とりあえず洞窟で寝ようか」
川で汚れを落としながらヤスが提案すると
「ノーパンの女の子2人を洞窟に連れ込んで何する気ですか?」
忘れてた。
この2人のパンツが川へ消えていったを思い出す。蛇に襲われてそれどころではなかったが、意識すると突然恥ずかしくなってきた。
「どこ見てるんですか?」
無意識に視線が下に下がっていたようだ。ルンにバレないよう、誤魔化しつつ横に目を向けると、前屈みで手を洗っているエールが視界に入った。水に濡れないようにスカートの端を結んでいるため、裾がより際どくなっている。
言いがかりを付けられても嫌なので無理やり目線を上げると、こんどは緩んだ胸元が目に入る。
ヤスは無理やり首を動かそうとするが動かない。
くそっ、これが男の性というやつか!
ばしゃっ
「見過ぎです(笑)」
顔に水をかけられ正気に戻った。
✳︎ ✳︎ ✳︎
身体の汚れを落とし、洞窟に戻る道の途中。
「ヤスさんがどんなパンツを買ってくれるか楽しみにしてますね(笑)」
「え? 俺が選ぶの?」
「責任取って私達に似合うやつを買ってくださいね(笑)」
「いや、お金払うから自分で買って来てよ」
女性用下着の売り場に入りたくないし、そもそも男性が買った物なんて普通は着たくないだろ。
「ヤスさんはお金で解決するタイプの人だったんですね。私悲しいです」
何故かエールは目に涙を浮かべている。意味がわからない。
「わかったから、2人のパンツちゃんと買ってくるから! だから泣かないで。ね?」
女の子が泣くのはずるい。意味がわからない理由であっても、そんなのは関係なく罪悪感がこみ上げてくる。
「私は絶対に嫌です。自分で買うのでお金だけください」
「では私も自分で買いますね(笑)」
「嘘泣きかよ!」
エールはいつも通りの笑顔になっていた。
先ほどまでのやりとりは何だったのだろうか......
「それとも私の分は選びたいですか?(笑)」
「勘弁してください......」
✳︎ ✳︎ ✳︎
洞窟に着き準備を済ませて町に向かう。
町までもう少しのところでヤスは疑問に思ったことを口にした。
「思ったんだけど、替えのパンツ履けば良いじゃん」
「履いてますよ。当たり前じゃないですか」
「......じゃあ洞窟で眠ってから町行けばよかったじゃん」
「あ......」
「まあ、眠くて頭が働かないときってありますし(笑)」
もうダメだ。眠い。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ヤス一行はノーパンの心配がなくなったことがわかったので、町でとりあえず睡眠を取ることにした。
「昼寝屋さんに行きましょう」
「昼寝屋? そんな店があるのか?」
この世界のサービスにしては前衛的すぎる。
「ここからすぐ近くに一軒だけあるんですよ。ただ、人が入っているのを見たことないです」
「よく潰れないな......」
ヤスは謎のお店に疑問を持つが、普段利用している宿より近いというので昼寝屋を利用することにした。
「誰もいませんね(笑)」
店に入ると、客どころか店員もいない。
「えっと、料金は前払い制で......」
ルンが受付に貼ってある説明書きを読んでいる。
「料金は1人につき大銅貨が1枚くらいだそうです」
「くらいってなんだよ」
「だってそう書いてあるんですもん」
ルンのいう通り、紙には大銅貨1枚くらいと書いてある。
「雑な店だな」
料金もそうだが、時間が書いていない。
「おおらかなお店ですね(笑)」
ヤス達は睡魔が限界になったため、これ以上の詮索はせずにとりあえず寝ることにした。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ヤスが起きるとエールは居らず、ルンは隣で猫を撫でていた。
来た時は眠くて気が付かなかったが、綺麗な内装をしている。室内は眠気を誘うような香りで満たされており、寝るには最高の空間だった。
「おはよう。エールは?」
「おはようございます。エールさんならパンツ買うついでに散歩に行くって言ってましたよ」
「ルンは行かなかったのね」
「行っても良かったんですけど、この子が膝から離れなかったので、エールさんにお任せしました」
目線を落とすと猫がルンの膝の上で仰向けになっている。
「野生を失ったという表現がぴったりだな」
ヤスも撫でようとして手を伸ばしても全く逃げる気配はない。
ルンと猫を撫でながらエールの帰りを待つ事にした。
✳︎ ✳︎ ✳︎
しばらくするとエールが帰ってきた。
「今日はミミさんのお店が開いているらしいですよ(笑)」
「本当ですか? 珍しいですね!」
「ミミさんのお店?」
エールの情報にルンが驚いているが、ヤスはそもそもそんなお店を知らない。
「雑貨屋さんですよ。たまに開いていて、人知れず閉店しているお店です」
「よく潰れないな......」
「マッチの開発者で、悠々自適に暮らしているらしいですよ(笑)」
「なんでそんなに詳しいんだ?」
エールはヤスの知らない事をよく知っている。
以前旅行で来たと言っていたが、それを考慮しても町のことに詳し過ぎる気がする。
「宿屋のご主人が教えてくれました(笑)」
これがコミュ力の差か。
日本にいた時はネットで情報が集められたが、この世界にはそんなものはない。コミュ力の差が情報格差に直結する。
「ちなみに、この昼寝屋さんもミミさんのお店です(笑)」
潰れないお店は、金持ちの道楽だった。
「それで、この後はどうしましょう? 私はミミさんの店に行ってみたいです」
「まあ、いいんじゃないか? この後予定はないし、洞穴で暮らすための良いアイテムがあれば助かるしな」
マッチの開発者ということなので、何かしら良い道具がある気がする。
「ヤスさん少し声を抑えめに。あっちで寝てる方もいるので(笑)」
エールが指差す方に2人寝ているのが見えた。
昼寝屋にも客って来るんだな......
「じゃあ、とりあえずその店行こうか」
3人は寝ている客の迷惑にならないように外へ出た。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ミミの店は閉まっていた。
「やってないじゃん!」
エールの方を見ると入り口の張り紙を指差している。
“昼寝屋さんで寝てきます”
「あの2人だったんですね(笑)」
昼寝屋の2人は利用客ではなく店主達だったようだ。
気を遣って店を出たのが裏目に出た。
✳︎ ✳︎ ✳︎
ヤスたちが昼寝屋に戻ると、2人はまだ眠っているようだった。
1人は日光に当たり気の抜けた顔で昼寝をしており、もう1人は寝顔であっても凛々しい雰囲気を醸し出している。
「あのー」
2人のうち、店主っぽい人に声をかける。
「ん......なんだい?」
「ミミさんですか?」
「違うぞ」
違うのかい
「違うっぽいぞ?」
「もう1人の方じゃないですか?」
「え? この人?」
もう1人の方は、野生を忘れた猫のような雰囲気を感じる。
経営者には見えないけど......
「あのー」
「zzz」
起きる気配がないので揺すってみる。
「すみませーん」
「がぶっ」
噛まれた。猫かよ。
「......んー?」
まだ寝ぼけているようだ。
「すみません。目を覚ましてください」
店主と思われる女性がこっちを向く。
しばらくすると、目の焦点が段々が合ってきた。
「人の昼寝を邪魔するなんて良い度胸してるじゃないか」
やっと目を覚ましてくれたと思ったら、めちゃくちゃ機嫌が悪い。
「すみません。ちょっとお店に用事が......」
「今日はもう閉店だよ」
「ちょっとだけでも」
「は? 出禁にするぞ?」
ちょっと短気すぎませんか?
店主と思われる女性はヤスにキレた後、直ぐにまた眠ってしまった。
「君たち」
初めに声をかけた凛々しい顔をした女性が起きていた。
「あ、起こしてしまってすみません」
「ミミは寝起き最悪だから起こさない方が良いぞ」
「そうみたいですね」
考えてみたら昼寝しているのを無理やり起こすのは、非常識な行為だ。
「あなたはミミさんのお店の方ですか?」
今眠っている短気な店主がミミというなら、この凛々しいお姉さんは従業員なのだろうか? ダメな店主を支える有能な従業員という構図のお店なのだろう。
「私はタマキだ。ミミとは、まあ友人だな」
タマキと名乗る女性は、自身の綺麗な狐色の髪をいじりながら答えた。
「そうだったんですね。お昼寝中に無理に起こして申し訳ありません。僕はヤスっていいます。で、こっちがエールとルンです」
「ふむ。で、何のようだ?」
「僕達、町の外の洞窟に住む予定でして、そこで使えそうな道具がミミさんのお店にあればなと思いまして」
「ほう。町の外に住むのか。昔はそんな奴らも多かったが、最近では珍しいな」
「一応住めそうなんですが、洞窟の中が息苦しくなるので、何か良いアイテムとかないかなと」
あの洞窟に住んでみてわかったのは換気のしにくさだった。入り口が1つしかない上に狭く、外敵の侵入を防ぐためのドアをつけるため密閉されてしまう。それに加えて火を灯しているため酸欠になる。
「ふむ。まあ、ミミの店には日を改めて来るんだな。こいつは、こうなってしまったらしばらくは起きない」
「そうですか」
「そう気を落とすな。ここで会ったのも何かの縁だ。私が手伝ってやろう」
確かに今は人手が欲しいし、この有能そうなお姉さんに手伝ってもらえたら助かる。しかし、ヤスたちは貧乏なので人を雇うお金などない。
「でも手伝っていただけても僕達お金とかあんまりないので......」
「いや、長いこと生きていると暇でな。金は取らんから安心しろ」
暇なだけだったようだ。
「私、タマキさんには何かを感じます(笑)」
「ん? まあ、色々知ってそうだし人手が増えて困ることはないけど......」
「悪い人ではないと思いますよ(笑)」
エールが言うのならそんな気がしてくる。たまに心を読まれている気がするし、人の心情などを察知したりする能力がヤスよりも敏感なのは確かなのだろう。
「そうと決まれば行こうではないか」
すごい乗り気なタマキにヤスは少し不安を覚えたが、悪い人ではなさそうなので一緒に行くことにした。
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