好きだった

維月

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第5話

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「お前、あいつは直接告らなきゃいつまでも気づかないって」

バスケの部活中、3日前の経緯を田宮に話し、返ってきた言葉だった。田宮は川瀬と同じく小学生の時から一緒で、菅野の気持ちを知っている。小中ではそれをからかわれ、高校に入っても変わらない気持ちに、呆れられている。

高校卒業まで半年程と差し迫っていた。川瀬は、看護師になるため就職と同時に、看護学校に行くと決めているようだった。今度こそは一緒という訳にはいかない。

大学入試前にははっきりさせたいが、川瀬は自分のことをなんとも思っていない。自分の気持ちに気付いてくれたら、少しは意識してくれるかと頑張ってきたが、期待は出来なさそうだった。玉砕覚悟で伝えてみようかと思案していた。

こうして呼び出されるのはもう何度目だろう。教室の前の廊下の隅で女子に呼び出され
「川瀬さんは、菅野くんのこと好きなの?」
またか、と思う。そしてまた同じ事を繰り返し言った。
「なんとも思ってないから安心して。ずっと同じクラスで腐れ縁で、一緒になることが多いだけだから」
「えっ?そうなの?よかった」

このセリフを聞くと、なぜ直接言わないのかと思う。私に菅野のこと好きじゃないって確約取れても、なんの解決にもならない。今日はそれをぶつけてみた。
「なんで、直接言わないの?」
「言えないよ。恥ずかしいし」

好きな人がいない自分には、分からない感情だった。
「代わりに聞いてみようか?」
以前同じクラスだったこともあり、手を貸してみようかという気になった。そして菅野から好きな人を聞き出し、早くくっついてくれれば面倒な事から解放されるのではと考えていた。
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