魔法少女の異世界刀匠生活

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第六章

円卓会議(ちゃぶ台)-07

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 難しそうな言葉の羅列に、リンナとイルメールがぽかんと口を開けて首を傾げている様子は少し面白かったが、カルファスによる説明が入る。


「国宝指定文化財は、その名の通り『これは歴史的にも価値あるものだから、国が保護して今後も守っていかないといけない』って意味。その刀をそれに指定する事で、盗まれたりするのを防ぐ名目になるね。

 そして、指定文化保護機関っていうのは、例えばそれこそ刀みたいに、後世に伝えていかないといけない文化を保護する場所に指定するよって事。つまり、刀の製造を行うリンナ刀工鍛冶場が、レアルタ皇国の指定する権威ある鍛冶場になったって事」

「そして、そうした権威ある鍛冶場の刀匠と会談する事は、領主としての仕事にもなり得よう。『一般領民であるリンナと会談する』よりも『指定文化保護機関を運営するリンナと会談する』という方が、説得力が生まれるからね」

「……つまり?」


 頭に?を浮かべるリンナの言葉に、クアンタが分かりやすく、端的に説明する。


「この刀は今後歴史的に価値のある刀に、そしてお師匠はレアルタ皇国を代表する刀匠の一番偉い人になった。だから、皇族と適度に会談を行っても違和感のない立場になる、という事だ。後、今後の護衛を増やす名目にもなる」

「あーなるほど……え?」


 突然の出来事に固まり、一切動かなくなるリンナをクアンタに任せておく皇族五人。


「ではまとめるとしましょう」


 シドニアの言葉に四人が頷き、彼もそれを確認した上で、続ける。


「まずは現状、災いへの対策として各領土皇国軍駐屯基地にいる皇国軍人の定置配備と六時間交代警護による防衛策を徹底する必要がある。

 しかしそれには一般領民によって疑問視される可能性があるので、リンナ刀工鍛冶場の刀匠・リンナを【指定文化保護機関】の長に任命し、彼女と皇族五人が定期的に会談、それによる警護というお題目を与える事で、一般領民からの疑いを回避すると同時に、敵であるマリルリンデが狙うリンナの護衛も同時に行う。

 年単位で行える施策ではないからして、あくまで短期的な対処案にはなるが、その間に問題解決が出来ればそれでよし、継続的に問題が発生する可能性があれば、その間に別案を検討するという事で、意義のある者は?」


  全員が口を紡いでいる。アメリア、カルファス、アルハットはそれで良いとし、イルメールに関しては首を傾げて「何言ってんだコイツ」といわんばかりの表情をしているが無視。


「結構。ではこれにて領主会議を終了とする」


 会議が終了する。シドニアはサーニスを呼び出し「皇居にご案内する準備を」と指示をして、サーニスも頷きつつ、リンナへ視線を向ける。


「……あのまま放置でよろしいのですか?」

「混乱はあるだろうが、まぁ問題は無いだろう。リンナへのフォローはクアンタに任せよう」

「いえ彼女あんまり人の心分からなさそうなんですがそれは如何なものなのでしょうか……」


 シドニアの皇居に向かう皇族四人。イルメールがリンナの額に軽く口付けをして、それでも反応がないので胸を軽く揉んだイルメールの手を全力で跳ねのけるクアンタ。


「その内、オメェと決着つけるゼ」

「何時でも構わない。――お前は私の敵だ」

「おぉ、怖ェ。だがその視線は悪くねェ。オレに喧嘩売ってくる奴ァ貴重だからな、大切にオメェの成長を見守っているぜ」


  アメリアの使いである黒子達がイルメールによって倒壊した馬車を直していたので、アルハットが錬金術を使役して修繕に協力。

  去り際、彼女はクアンタへ視線と霊子端末を向けた。

  クアンタも霊子端末に気付き、視線を向けると、何やら赤外線センサーにも似た非接触型通信が、クアンタへ。

  通信は全て、クアンタの思考回路と繋がる。霊子端末を見据えたアルハットは、何やら文字を記入していき、その記入文字がクアンタの脳内でも表示される。


『貴女の構造を理解しているわけではないけれど、見えるかしら』

『見えております。これに対して返信できていますでしょうか?』

『問題なしね。一度皇居へ着いたら、もう一度そちらへ伺うわ。少し、貴女と話をさせて欲しい』

『了解いたしました。所でこの通信はどのようにして行われているのでしょうか? 自分には理解できずにいるのですが』

『それも後で説明するわ。通信可能距離はまだ数メートルほどだし、そもそもこの霊子端末自体、私とカルファス姉さましか持っていないもの』

『了解いたしました』

『それより、私に対して敬語は無くていいわ。皇族といってもお飾りのようなものだから』

『了解、以後は敬語を無しに話をさせて頂く』


 通信が途絶えた。クアンタは若干ふらつく体を戻しながら、今一度アルハットへと視線を向ける。彼女が手を振り、続けてカルファスが手を振る姿も見えたので、振り返す。


「ではクアンタ、今日の所は失礼するぞ。また明日、何かしらの形で使いを寄越す故、その時に色々と話をするぞ」

「了解。お師匠の護衛に関しては」

「今日の所は吾輩の黒子を通りに配置するだけとなってすまんが、それでよいか?」

「否、構わない。むしろ人が多いのも考え物だ。私がお師匠を護衛する」

「いい返事じゃ。吾輩もリンナの友人として、あ奴を守りたいと思っとるという事だけは、理解しておくのじゃぞ」

「分かっている。色々と気遣いを感謝する」


 馬車が去っていく姿を見送り、家宅へと戻っていく。

  未だにボーっと立ち尽くして考え込むリンナの肩を揺すると、それが最後のトリガーとなったか、彼女は高らかに叫ぶのだ。


「ちょっとアタシどうなっちゃうの――ッ!!」

「そのツッコみは少々遅かったようだな」


 既に、その問いに答える皇族は皆、居ないのだから。
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