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第三章
雷神プロジェクト-06
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「自己紹介の続きと行きましょう。私たちは、日本防衛省情報局・第四班六課、通称【四六】と申します」
「四六……!?」
オレが驚き、声を荒げると、霜山一佐はフフッと微笑んだ。
「織姫様は、ご存じでしたのね」
「ご存じも何も。オレのアーミー隊に、何度も情報を流してきたのは、アンタらだったのか!」
「アーミー隊の方々には、何度もお世話になりました。我々が対処し得ない場所に、何度も派遣をお願いしてしまい、誠に申し訳無く思っております」
「姫ちゃん、アーミー隊って、何?」
オレの隣に座る哨が尋ねてくる。オレの眼前に座る清水先輩も、口にはしないが視線は向けている。
「アーミー隊とは、米軍が所有する特殊部隊の名です。陸海空軍の垣根を超え、対テロ組織を目的として作られたアーミー隊は、今まで幾度も新ソ連系のテロ組織鎮圧に出向いて頂きました。
彼――城坂織姫様は、そのアーミー隊を率いていらっしゃいました、元部隊長さんなんですよ」
「お目にかかれて、光栄ですな」
霜山一佐の説明と、隣で笑みを浮かべる遠藤二佐の言葉に、オレも顎を引いて畏まる。
アーミー隊に居た頃のオレは、ただ命令に従い、戦ってきただけだ。それに現場で隊長を務めていただけだからして、相手をしたテロ組織全部の実態を知り得ているわけでは無いのだ。
「我々四六は、主に国内外で活動するテログループの情報を取得し、処理を行うのが主なお仕事です。防衛省の中でも機密性が高い部隊ですので、今まで聞いた事が無いとしても、驚く事ではありません」
「その四六とやらが、なぜこのUIGを持ち得る?」
清水先輩の言葉通りだ。一国が、国を代表する大企業がUIGを有する事は、有り得ない事ではない。
しかし、防衛省の一部署が、この様なUIGを所有しているなど、聞いた事が無い。
「正確には、この場所はUIGでは有りません。ここは高田重工がUIGの有用性を確立させるために建造した、UIGの元祖なのです」
「つまりここは、試作されたものって事ですか?」
「ええ。正式名称が無いので、我々も【試作UIG】と呼んでいます」
哨の言葉に頷く霜山一佐。彼女は「本題に入らせてください」と一言口にした上で、一度呼吸を行った後、言葉通り本題に突入した。
「かつてこの日本には、城坂修一様という方がいらっしゃいました。彼は現AD総合学園の理事長を務める城坂聖奈様と、城坂織姫様の、お父上です」
清水先輩と哨の視線が、今一度オレに。だが、オレには父親の記憶など全く無いので、反応を求められても困る。
「修一様は元々高田重工に勤めており、AD兵器の有用性が高まった時期には防衛省技術開発局の主任を勤めていらっしゃいました。ADの基礎理論を組み立て、そして今運用に至れているのは、彼有っての功績で御座います。
そんな修一様は、一つ大きな懸念を持たれておりました。
『発展を続けるAD兵器は各国の軍事バランスを崩壊させるものである』――彼はそう提唱し、なんとAD兵器の軍事利用撤廃を掲げたのです。
ですが、事はそう簡単ではありません。核兵器を持つ事が出来ず、米国との軍事提携でしか身を守る事が出来ない日本と言う国で、自衛手段として発展するAD兵器。
この日本を愛するが故に、そんな進化を見届ける事しか出来ぬ己を呪い――修一様は【国家間AD機密協定】、通称【連邦同盟】と言うシステムを作り上げ、進化に正当性を確立させました」
AD兵器の開発及び量産についてを規律し、その力が正しく、そして如何に戦争を回避するかどうかを左右する制度を、まずは制定したオレの父親。
だが……事はそれだけでは済まなかった。
「新ソ連――つまり、連邦同盟に加盟しない国々は、AD兵器の情報を一切他国から得る事が出来ず、自前で開発を続ける他無い。だけれど、独自開発には限界がある。
次第にAD兵器の所有数と技術力の差が、国としての軍事力とイコールになってしまい、このままではいずれ、連邦同盟国と新ソ連、二つの組織は大々的な戦争へと発展する。
軍事力を得ようとする情報戦争、その為の戦闘行為など」
――ロシア系テログループ【ミィリス】のような存在によって。
「修一様はそれを恐れた結果、『戦争の無い世界』を作り上げる為に、幾つかのプロジェクトを立ち上げました。その一つが――【雷神プロジェクト】と呼ばれるものです」
『雷神プロジェクト?』
オレ達三人がそう言葉を繰り返すと、遠藤二佐が部屋に備えられたプロジェクターを起動させ、部屋の壁に一枚、AD兵器のカタログスペック表を映し出した。
スペックを見た清水先輩と哨は、驚愕の表情を浮かべる。
「何……これ!?」
「……正気の沙汰じゃない」
そう綴った二人。残念だがオレはずっと現場に出向いていた人間であるからして、カタログスペックだけでは、イマイチ理解が出来無い。
「お二人が驚かれるのも、無理はありません。このスペック表が現すものは『秋風に搭載されている全能力を三倍に増やし、かつリミッターを設けない仕様』であると語っているも同様なのですから」
「秋風の全能力を三倍……リミッターを、かけない!?」
そう聞けば、確かに二人の驚愕は当然である。秋風に搭載されている高速処理チップは、機体制御から武装処理まで並列処理を行ったとしても余裕が保たれている。
オレが行っているように、反映度の設定を一度にした上でも処理落ちを回避するようにしているのだ。並の人間であれば、これ以上を求める必要は無い。
それに加え、秋風が有する機体出力の三倍が発揮される機体となれば、その圧倒的速力は人間の身体を簡単に壊してしまう。
内臓はボロボロとなって血反吐を撒き散らし、その上脳みそはシェイクされる。そんな状況下で操縦者に冷静な判断など出来っこない筈だ。
「この機体は、GIX-P001【雷神】と申します。城坂修一様が提唱した【雷神プロジェクト】のナンバーゼロワン。
驚異的な攻撃能力と機動性により、この一機だけでAD兵器何十機分と言う戦闘能力を持ち得る、一騎当千の超高性能AD兵器です。
【雷神プロジェクト】は核兵器の存在意義と同じく、圧倒的戦闘能力を持ち得るAD兵器を、国が複数機所有する事により、他国――主に新ソ連を牽制する事を目的としたプロジェクトで、この機体はその試作機なのです」
「四六……!?」
オレが驚き、声を荒げると、霜山一佐はフフッと微笑んだ。
「織姫様は、ご存じでしたのね」
「ご存じも何も。オレのアーミー隊に、何度も情報を流してきたのは、アンタらだったのか!」
「アーミー隊の方々には、何度もお世話になりました。我々が対処し得ない場所に、何度も派遣をお願いしてしまい、誠に申し訳無く思っております」
「姫ちゃん、アーミー隊って、何?」
オレの隣に座る哨が尋ねてくる。オレの眼前に座る清水先輩も、口にはしないが視線は向けている。
「アーミー隊とは、米軍が所有する特殊部隊の名です。陸海空軍の垣根を超え、対テロ組織を目的として作られたアーミー隊は、今まで幾度も新ソ連系のテロ組織鎮圧に出向いて頂きました。
彼――城坂織姫様は、そのアーミー隊を率いていらっしゃいました、元部隊長さんなんですよ」
「お目にかかれて、光栄ですな」
霜山一佐の説明と、隣で笑みを浮かべる遠藤二佐の言葉に、オレも顎を引いて畏まる。
アーミー隊に居た頃のオレは、ただ命令に従い、戦ってきただけだ。それに現場で隊長を務めていただけだからして、相手をしたテロ組織全部の実態を知り得ているわけでは無いのだ。
「我々四六は、主に国内外で活動するテログループの情報を取得し、処理を行うのが主なお仕事です。防衛省の中でも機密性が高い部隊ですので、今まで聞いた事が無いとしても、驚く事ではありません」
「その四六とやらが、なぜこのUIGを持ち得る?」
清水先輩の言葉通りだ。一国が、国を代表する大企業がUIGを有する事は、有り得ない事ではない。
しかし、防衛省の一部署が、この様なUIGを所有しているなど、聞いた事が無い。
「正確には、この場所はUIGでは有りません。ここは高田重工がUIGの有用性を確立させるために建造した、UIGの元祖なのです」
「つまりここは、試作されたものって事ですか?」
「ええ。正式名称が無いので、我々も【試作UIG】と呼んでいます」
哨の言葉に頷く霜山一佐。彼女は「本題に入らせてください」と一言口にした上で、一度呼吸を行った後、言葉通り本題に突入した。
「かつてこの日本には、城坂修一様という方がいらっしゃいました。彼は現AD総合学園の理事長を務める城坂聖奈様と、城坂織姫様の、お父上です」
清水先輩と哨の視線が、今一度オレに。だが、オレには父親の記憶など全く無いので、反応を求められても困る。
「修一様は元々高田重工に勤めており、AD兵器の有用性が高まった時期には防衛省技術開発局の主任を勤めていらっしゃいました。ADの基礎理論を組み立て、そして今運用に至れているのは、彼有っての功績で御座います。
そんな修一様は、一つ大きな懸念を持たれておりました。
『発展を続けるAD兵器は各国の軍事バランスを崩壊させるものである』――彼はそう提唱し、なんとAD兵器の軍事利用撤廃を掲げたのです。
ですが、事はそう簡単ではありません。核兵器を持つ事が出来ず、米国との軍事提携でしか身を守る事が出来ない日本と言う国で、自衛手段として発展するAD兵器。
この日本を愛するが故に、そんな進化を見届ける事しか出来ぬ己を呪い――修一様は【国家間AD機密協定】、通称【連邦同盟】と言うシステムを作り上げ、進化に正当性を確立させました」
AD兵器の開発及び量産についてを規律し、その力が正しく、そして如何に戦争を回避するかどうかを左右する制度を、まずは制定したオレの父親。
だが……事はそれだけでは済まなかった。
「新ソ連――つまり、連邦同盟に加盟しない国々は、AD兵器の情報を一切他国から得る事が出来ず、自前で開発を続ける他無い。だけれど、独自開発には限界がある。
次第にAD兵器の所有数と技術力の差が、国としての軍事力とイコールになってしまい、このままではいずれ、連邦同盟国と新ソ連、二つの組織は大々的な戦争へと発展する。
軍事力を得ようとする情報戦争、その為の戦闘行為など」
――ロシア系テログループ【ミィリス】のような存在によって。
「修一様はそれを恐れた結果、『戦争の無い世界』を作り上げる為に、幾つかのプロジェクトを立ち上げました。その一つが――【雷神プロジェクト】と呼ばれるものです」
『雷神プロジェクト?』
オレ達三人がそう言葉を繰り返すと、遠藤二佐が部屋に備えられたプロジェクターを起動させ、部屋の壁に一枚、AD兵器のカタログスペック表を映し出した。
スペックを見た清水先輩と哨は、驚愕の表情を浮かべる。
「何……これ!?」
「……正気の沙汰じゃない」
そう綴った二人。残念だがオレはずっと現場に出向いていた人間であるからして、カタログスペックだけでは、イマイチ理解が出来無い。
「お二人が驚かれるのも、無理はありません。このスペック表が現すものは『秋風に搭載されている全能力を三倍に増やし、かつリミッターを設けない仕様』であると語っているも同様なのですから」
「秋風の全能力を三倍……リミッターを、かけない!?」
そう聞けば、確かに二人の驚愕は当然である。秋風に搭載されている高速処理チップは、機体制御から武装処理まで並列処理を行ったとしても余裕が保たれている。
オレが行っているように、反映度の設定を一度にした上でも処理落ちを回避するようにしているのだ。並の人間であれば、これ以上を求める必要は無い。
それに加え、秋風が有する機体出力の三倍が発揮される機体となれば、その圧倒的速力は人間の身体を簡単に壊してしまう。
内臓はボロボロとなって血反吐を撒き散らし、その上脳みそはシェイクされる。そんな状況下で操縦者に冷静な判断など出来っこない筈だ。
「この機体は、GIX-P001【雷神】と申します。城坂修一様が提唱した【雷神プロジェクト】のナンバーゼロワン。
驚異的な攻撃能力と機動性により、この一機だけでAD兵器何十機分と言う戦闘能力を持ち得る、一騎当千の超高性能AD兵器です。
【雷神プロジェクト】は核兵器の存在意義と同じく、圧倒的戦闘能力を持ち得るAD兵器を、国が複数機所有する事により、他国――主に新ソ連を牽制する事を目的としたプロジェクトで、この機体はその試作機なのです」
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