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第三章
雷神プロジェクト-05
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エレベーターが止まり、ドアを開ける。そこは車を二台分止められそうな、小さな会議室に似た外観をした部屋だった。それに似合わぬ大きな机と高そうなソファが置かれ、既に二人が腰かけている。
オレのパートナー技師・明宮哨と、生徒会書記を務める先輩・清水康彦だ。
哨は、オレの存在に気付くと同時に立ち上がり、オレの元へと駆け寄って来た。
「姫ちゃん!? 姫ちゃんも呼ばれたの?」
「呼ばれた? 誰に」
「理事長だ」
清水先輩の言葉と同時に、二人の視線がオレを連れてきた姉ちゃんに向けられる。そこでようやく姉ちゃんが笑みを浮かべると「少し待っていなさい」と命じてきた。
姉ちゃんは、部屋の奥にある扉の向こうへと去っていく。オレは取り残されたまま立ち尽くしていたが、哨の隣へと腰かけ、二人に現状を聞く事とした。
「二人は、姉ちゃんに呼ばれた。間違いないんだな」
「うん。正確に言うと電話で『理事長命令で招集』って言われて、格納庫区画にある更衣室へ行ったらガタイの良いスーツ姿をした男の人が五人位いて、そこから連絡通路に通されて、ここに来たの。なんか危なさそうだから途中で逃げようかとも思ったんだけど」
哨が語った内容に、清水先輩も頷く。
「オレも同様だ。だが連絡通路の場所は違う。オレが通った通路は、高等部校舎裏の用務員室だ。スーツの男五人、と言うのは一緒だな」
何の為に? いやそれ以前に、ここは何なのだろう。
「哨はともかく、清水先輩は落ち着いてるな」
「落ち着いているものか。ここはどこだ、UIG? しかしJAPAN・UIGとも、TAKADA・UIGとも違うとなると、第三の――バカな。条約以上のUIG建造など連邦同盟に反する。
いや、堅牢な作りと厳重なセキュリティを見る限りでは、ここをUIGと判断する他無い。だが何故、何故オレが呼ばれた。
城坂と明宮妹は何となく分かる。城坂聖奈理事長の弟で、そのパートナーであるならば、まだ。だがオレが呼ばれた理由が解せん。解せないんだ」
どうやら、考えている事は一緒らしい。哨も首を傾げているし、このままでは理由が分からず仕舞いだ。
と。そんな思考を三人で回している間に、先ほど姉ちゃんが姿を消した扉の向こうから、一人の男性が顔を出し、手にティーカップが四つほど乗ったトレイを持っていた。
身体には、日本防衛省の士官が身にまとう制服を着込まれており、勲章から二佐である事が分かる。その奥に、一人の女性。恐らく秘書官と言った所だろうか。白髪と、それに似合わぬ日系人の顔立ち、何より外観の幼さが、同じく身にまとわれている軍服をアンマッチに見せつけた。
「お話し中に失礼。こちらカモミールティだ」
男性は、オレ達の前にティーカップを一つずつ置いていく。
「貴方が、ここの責任者か?」
清水先輩がさっさと問いかけると、男性は一瞬ポカンと口を開けた後、苦笑を浮かべた。
「そうか、そうだね。そう見えても仕方あるまい」
男性は一歩後ろへと下がり、そして今まで自身の後ろに居た少女へと頭を下げた。
「では、ご説明をお願いいたします。一佐殿」
「はい、承りました。二佐殿?」
うふふ、と笑いながら、少女が肩に備えられた勲章を見せつけながら、上座のソファに腰かけ、男性は少女の隣で、楽な姿勢のまま立ち尽くしていた。
「お三方、お呼び立てして申し訳ございません。私が、ここの責任者であります、霜山睦で御座います。階級は一佐です」
「私は、霜山一佐の補佐官を務めております、遠藤義明で御座います。階級は、先ほど一佐殿がおっしゃられたように、二佐ですな」
今度は、オレ達三人が、ポカンと口を開くしか出来なかった。
遠藤二佐は初老の男性だ。既に白髪が目立ち、目元も重そう、しかも身体には贅肉が付いていると来た。絵に描いたような高官、と言った様相を持ちながらも、彼は――見た目十代の女の子に従い、そして腰を引いているのだ。
「驚きは分かります。私自身、あまり現状が心地よいとは考えておりません」
「えっと、霜山一佐……でいいですか?」
オレが、畏まった聞き方で尋ねると、彼女は「はいっ」と元気よく頷いた。
「大変失礼なのですが――今、おいくつで?」
「うふふ、いくつに見えます?」
意地悪く、彼女はニコニコ笑いながらカモミールティを口にしつつ、質問に質問で返した。
「……えっと」
「失礼だが、十代後半にも見えない。十四、高く見積もっても十五歳だ」
喉が渇いていたのか、彼女と同じくカモミールティを口にし、質問にあっさりと返答をした清水先輩。本当に失礼とは思ったが、しかし見えるものは仕方がない。むしろオレなんてそれ以下に見えた。
「うふふーっ! 聞きました二佐!? 私、十代前半に見えるんですって! 物凄く嬉しいわ!」
「はしゃがないで下さい、一佐殿」
「だって、周りが平均三十歳近いと、どうしても私自身の年齢も高く見られがちなんだもの! まぁ私も、本当は三十一歳なんですけどねチクショーッ!」
三十一歳であったが、そう言われても信じる事は難しいと思う。しかし身にまとわれる勲章は、確かに一佐のものであった。
「それより一佐殿。ご説明をお願いいたします」
「あ……失礼しました。私事ではしゃいでしまって」
そこでようやく、話が本題に。
オレのパートナー技師・明宮哨と、生徒会書記を務める先輩・清水康彦だ。
哨は、オレの存在に気付くと同時に立ち上がり、オレの元へと駆け寄って来た。
「姫ちゃん!? 姫ちゃんも呼ばれたの?」
「呼ばれた? 誰に」
「理事長だ」
清水先輩の言葉と同時に、二人の視線がオレを連れてきた姉ちゃんに向けられる。そこでようやく姉ちゃんが笑みを浮かべると「少し待っていなさい」と命じてきた。
姉ちゃんは、部屋の奥にある扉の向こうへと去っていく。オレは取り残されたまま立ち尽くしていたが、哨の隣へと腰かけ、二人に現状を聞く事とした。
「二人は、姉ちゃんに呼ばれた。間違いないんだな」
「うん。正確に言うと電話で『理事長命令で招集』って言われて、格納庫区画にある更衣室へ行ったらガタイの良いスーツ姿をした男の人が五人位いて、そこから連絡通路に通されて、ここに来たの。なんか危なさそうだから途中で逃げようかとも思ったんだけど」
哨が語った内容に、清水先輩も頷く。
「オレも同様だ。だが連絡通路の場所は違う。オレが通った通路は、高等部校舎裏の用務員室だ。スーツの男五人、と言うのは一緒だな」
何の為に? いやそれ以前に、ここは何なのだろう。
「哨はともかく、清水先輩は落ち着いてるな」
「落ち着いているものか。ここはどこだ、UIG? しかしJAPAN・UIGとも、TAKADA・UIGとも違うとなると、第三の――バカな。条約以上のUIG建造など連邦同盟に反する。
いや、堅牢な作りと厳重なセキュリティを見る限りでは、ここをUIGと判断する他無い。だが何故、何故オレが呼ばれた。
城坂と明宮妹は何となく分かる。城坂聖奈理事長の弟で、そのパートナーであるならば、まだ。だがオレが呼ばれた理由が解せん。解せないんだ」
どうやら、考えている事は一緒らしい。哨も首を傾げているし、このままでは理由が分からず仕舞いだ。
と。そんな思考を三人で回している間に、先ほど姉ちゃんが姿を消した扉の向こうから、一人の男性が顔を出し、手にティーカップが四つほど乗ったトレイを持っていた。
身体には、日本防衛省の士官が身にまとう制服を着込まれており、勲章から二佐である事が分かる。その奥に、一人の女性。恐らく秘書官と言った所だろうか。白髪と、それに似合わぬ日系人の顔立ち、何より外観の幼さが、同じく身にまとわれている軍服をアンマッチに見せつけた。
「お話し中に失礼。こちらカモミールティだ」
男性は、オレ達の前にティーカップを一つずつ置いていく。
「貴方が、ここの責任者か?」
清水先輩がさっさと問いかけると、男性は一瞬ポカンと口を開けた後、苦笑を浮かべた。
「そうか、そうだね。そう見えても仕方あるまい」
男性は一歩後ろへと下がり、そして今まで自身の後ろに居た少女へと頭を下げた。
「では、ご説明をお願いいたします。一佐殿」
「はい、承りました。二佐殿?」
うふふ、と笑いながら、少女が肩に備えられた勲章を見せつけながら、上座のソファに腰かけ、男性は少女の隣で、楽な姿勢のまま立ち尽くしていた。
「お三方、お呼び立てして申し訳ございません。私が、ここの責任者であります、霜山睦で御座います。階級は一佐です」
「私は、霜山一佐の補佐官を務めております、遠藤義明で御座います。階級は、先ほど一佐殿がおっしゃられたように、二佐ですな」
今度は、オレ達三人が、ポカンと口を開くしか出来なかった。
遠藤二佐は初老の男性だ。既に白髪が目立ち、目元も重そう、しかも身体には贅肉が付いていると来た。絵に描いたような高官、と言った様相を持ちながらも、彼は――見た目十代の女の子に従い、そして腰を引いているのだ。
「驚きは分かります。私自身、あまり現状が心地よいとは考えておりません」
「えっと、霜山一佐……でいいですか?」
オレが、畏まった聞き方で尋ねると、彼女は「はいっ」と元気よく頷いた。
「大変失礼なのですが――今、おいくつで?」
「うふふ、いくつに見えます?」
意地悪く、彼女はニコニコ笑いながらカモミールティを口にしつつ、質問に質問で返した。
「……えっと」
「失礼だが、十代後半にも見えない。十四、高く見積もっても十五歳だ」
喉が渇いていたのか、彼女と同じくカモミールティを口にし、質問にあっさりと返答をした清水先輩。本当に失礼とは思ったが、しかし見えるものは仕方がない。むしろオレなんてそれ以下に見えた。
「うふふーっ! 聞きました二佐!? 私、十代前半に見えるんですって! 物凄く嬉しいわ!」
「はしゃがないで下さい、一佐殿」
「だって、周りが平均三十歳近いと、どうしても私自身の年齢も高く見られがちなんだもの! まぁ私も、本当は三十一歳なんですけどねチクショーッ!」
三十一歳であったが、そう言われても信じる事は難しいと思う。しかし身にまとわれる勲章は、確かに一佐のものであった。
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