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第八章
バトルロワイヤルにて-02
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沈黙があった。島根も神崎も動きを止めつつ、しかしメインカメラはオレ達の雷神を捉えたままだ。
こちらが動けば、向こうも動く。
「二対一か」
「どうしますか。流石にこの雷神でも、エースパイロット級二人を相手に戦う事は」
「いや、方法はあるぜ。楠、しばらく緊急回避とかはせずに、オレへデータだけ送ってくれ」
「それは」
「頼む。火器が無い雷神じゃ、二人に勝つ方法はこれしかない」
今回に関しては秋風に乗って来たい所であった。何せ雷神には火器管制が無いので、武器を使う事が出来ない。
――まぁあっても引き金を引けないから、結局は雷神の方が良いと言う結論には至っただろうが、ぼやいてしまう。
けど、方法自体が無いわけでは無い。
オレは楠に訴え、彼女もしばし考えると、コクリと頷いた。
「よし、なら顎を引いて、衝撃に備えろ。――揺れるぜッ!」
雷神が、地面を強く蹴り付けて、ただ駆け抜けてくる光景を彼女――島根はどう思っただろうか。
ただ真っ直ぐに向かっていくだけだが、島根は待ちわびていたようにレーザーサーベルの一閃を横薙ぎに振るう。
しかし、振るわれる直前に彼女の眼前に辿り付いていたので、振るわれる右腕部を持ち上げて、起動を逸らす事に成功。レーザーサーベルは空を斬り、そして雷神は島根機にピッタリとついて、両腕の自由を取った。
「――ッ!」
楠から一つのデータが送られる。彼女も僅かに操縦桿を強く握って緊急回避に入りたくはなっただろう。しかし、グッと堪えてオレの行動を待つ。
データの内容は、ロックオン情報である。
雷神の情報処理能力は楠とリンクする事によって、より高精度になる。
雷神の腹部を狙った滑腔砲のロックオンをされた事を意味し、放たれるタイミングを、オレが逆算。
そんな中、島根機の両肩部電磁誘導装置より強く電磁波が放たれている【感覚】を察し、今放っている磁場とは違う磁場へと変更処理を行いつつ、島根機と距離を放さないようにする。
『まさか姫ちゃん――!』
「だから姫ちゃんって言うなって……っ!」
神崎機より放たれる、滑腔砲の一撃。
しかしオレは、引き金が放たれる寸前で、強く地面を蹴り付け、島根機を起点として、島根機の上空を取る事に成功する。
放たれた弾丸が、島根機に着弾すると同時に、機体を島根機の背後に下す。
着弾した島根機がグラリと倒れ込んできたので、そのまま島根機を盾にした状態で、脚部キャタピラを稼働させ、神崎機へと接近する。
『あなたって人は、卑怯なっ!』
「二対一よりかは正攻法だぜ!」
装填の完了した滑腔砲がもう一撃放たれる。
戦闘不能になった島根機に再び着弾し『めっちゃ衝撃来るーっ!!』と島根が怒ってる。ごめん、後でジュース奢る!
二発目の着弾が確認されたタイミングで島根機の肩に右足を乗せ、蹴り付ける。その速度を利用して空中を駆ける。
「もう、こんな方法だなんて」
「良い子ちゃんのお前じゃ、考え付かないだろ――!」
ロックオン情報は無い。しかし神崎ならばロックオンなどせずに着弾点を計算し弾丸を放つ事など造作もないだろう。
神崎機を観察しながら、彼女の機体が引き金を引くタイミングを見計らい――操縦桿とフットペダルを同時に操作する。
滑空していた機体に急制動をかけ、その場で停止が確認される前に、脚部スラスター最大出力。空中で背面飛びに近い挙動を行って、放たれる弾丸とは逆方向へ移動し、着地する。
距離は一秒で詰める事が出来た。装填を完了するには三秒ほどの時間を有する筈なので、愚直にも真っ直ぐ神崎機へと駆け抜ける。
しかし、神崎機が行った行動は――高火力パックのプラスデータを全て取り外し、雷神の体当たりを受け止めるという行動であった。
「接近戦ならッ!」
『なめないで――下さいっ!』
彼女の声は、正にその通り。
なんと神崎機は、武器を持たぬ代わりに肉弾戦闘に特化した雷神の動きを完全に読み切り、放った二撃のパンチを、素体の秋風で受け流したのだ!
「、っ! どうだ楠、これが神崎の強さだ!」
「本当にどうして高機動パックを使わないのですかッ!?」
単純なパイロット能力だけであれば、島根や久瀬先輩にも匹敵するのが神崎だ。
神崎機は機体の関節部に搭載されるダガーナイフを抜き放ち、上段から振り下ろす。
その寸前で腕をクロスして神崎機の腕部にぶつける事でナイフの一刺しが機体へ襲い掛かる事自体は止めた。
――そしてここからが、雷神にしか許されぬ特化行動の神髄だ。
「い――けぇええええええっ!!」
操縦桿を強く押し込み、全スラスターを最大出力で点火させる。一面に暴風が吹き荒れ、砂塵を撒き散らしながら、神崎機へと渾身の体当たりをお見舞いする。
背中から地面へと倒れる神崎機と、倒した寸前に上空へ飛んだ雷神が、電磁誘導装置を用いた空中での回転。
再度、背部スラスターを点火させ、神崎機の腹部に強く蹴り付けた事によって――決着は成される。
『しょ――勝負有り! 敗者復活戦の勝者は、新型AD兵器【雷神】を駆る、一年Aクラス・秋沢楠さんと、一年Cクラス・城坂織姫さんのペアです!!』
マスコミ用席よりシャッターが多く切られている光景が目に入り、オレと楠は視線を合わす。
コックピットハッチから姿を出して、マスコミへ向けて手を振りながら満面の笑みを浮かべる。
――雷神と言う機体は武器を持たない。故に出来る戦い方がある。
それこそが、この機体が生まれた意味であり、これからオレ達の【雷神プロジェクト】を伝えていく真意なのだから――
こちらが動けば、向こうも動く。
「二対一か」
「どうしますか。流石にこの雷神でも、エースパイロット級二人を相手に戦う事は」
「いや、方法はあるぜ。楠、しばらく緊急回避とかはせずに、オレへデータだけ送ってくれ」
「それは」
「頼む。火器が無い雷神じゃ、二人に勝つ方法はこれしかない」
今回に関しては秋風に乗って来たい所であった。何せ雷神には火器管制が無いので、武器を使う事が出来ない。
――まぁあっても引き金を引けないから、結局は雷神の方が良いと言う結論には至っただろうが、ぼやいてしまう。
けど、方法自体が無いわけでは無い。
オレは楠に訴え、彼女もしばし考えると、コクリと頷いた。
「よし、なら顎を引いて、衝撃に備えろ。――揺れるぜッ!」
雷神が、地面を強く蹴り付けて、ただ駆け抜けてくる光景を彼女――島根はどう思っただろうか。
ただ真っ直ぐに向かっていくだけだが、島根は待ちわびていたようにレーザーサーベルの一閃を横薙ぎに振るう。
しかし、振るわれる直前に彼女の眼前に辿り付いていたので、振るわれる右腕部を持ち上げて、起動を逸らす事に成功。レーザーサーベルは空を斬り、そして雷神は島根機にピッタリとついて、両腕の自由を取った。
「――ッ!」
楠から一つのデータが送られる。彼女も僅かに操縦桿を強く握って緊急回避に入りたくはなっただろう。しかし、グッと堪えてオレの行動を待つ。
データの内容は、ロックオン情報である。
雷神の情報処理能力は楠とリンクする事によって、より高精度になる。
雷神の腹部を狙った滑腔砲のロックオンをされた事を意味し、放たれるタイミングを、オレが逆算。
そんな中、島根機の両肩部電磁誘導装置より強く電磁波が放たれている【感覚】を察し、今放っている磁場とは違う磁場へと変更処理を行いつつ、島根機と距離を放さないようにする。
『まさか姫ちゃん――!』
「だから姫ちゃんって言うなって……っ!」
神崎機より放たれる、滑腔砲の一撃。
しかしオレは、引き金が放たれる寸前で、強く地面を蹴り付け、島根機を起点として、島根機の上空を取る事に成功する。
放たれた弾丸が、島根機に着弾すると同時に、機体を島根機の背後に下す。
着弾した島根機がグラリと倒れ込んできたので、そのまま島根機を盾にした状態で、脚部キャタピラを稼働させ、神崎機へと接近する。
『あなたって人は、卑怯なっ!』
「二対一よりかは正攻法だぜ!」
装填の完了した滑腔砲がもう一撃放たれる。
戦闘不能になった島根機に再び着弾し『めっちゃ衝撃来るーっ!!』と島根が怒ってる。ごめん、後でジュース奢る!
二発目の着弾が確認されたタイミングで島根機の肩に右足を乗せ、蹴り付ける。その速度を利用して空中を駆ける。
「もう、こんな方法だなんて」
「良い子ちゃんのお前じゃ、考え付かないだろ――!」
ロックオン情報は無い。しかし神崎ならばロックオンなどせずに着弾点を計算し弾丸を放つ事など造作もないだろう。
神崎機を観察しながら、彼女の機体が引き金を引くタイミングを見計らい――操縦桿とフットペダルを同時に操作する。
滑空していた機体に急制動をかけ、その場で停止が確認される前に、脚部スラスター最大出力。空中で背面飛びに近い挙動を行って、放たれる弾丸とは逆方向へ移動し、着地する。
距離は一秒で詰める事が出来た。装填を完了するには三秒ほどの時間を有する筈なので、愚直にも真っ直ぐ神崎機へと駆け抜ける。
しかし、神崎機が行った行動は――高火力パックのプラスデータを全て取り外し、雷神の体当たりを受け止めるという行動であった。
「接近戦ならッ!」
『なめないで――下さいっ!』
彼女の声は、正にその通り。
なんと神崎機は、武器を持たぬ代わりに肉弾戦闘に特化した雷神の動きを完全に読み切り、放った二撃のパンチを、素体の秋風で受け流したのだ!
「、っ! どうだ楠、これが神崎の強さだ!」
「本当にどうして高機動パックを使わないのですかッ!?」
単純なパイロット能力だけであれば、島根や久瀬先輩にも匹敵するのが神崎だ。
神崎機は機体の関節部に搭載されるダガーナイフを抜き放ち、上段から振り下ろす。
その寸前で腕をクロスして神崎機の腕部にぶつける事でナイフの一刺しが機体へ襲い掛かる事自体は止めた。
――そしてここからが、雷神にしか許されぬ特化行動の神髄だ。
「い――けぇええええええっ!!」
操縦桿を強く押し込み、全スラスターを最大出力で点火させる。一面に暴風が吹き荒れ、砂塵を撒き散らしながら、神崎機へと渾身の体当たりをお見舞いする。
背中から地面へと倒れる神崎機と、倒した寸前に上空へ飛んだ雷神が、電磁誘導装置を用いた空中での回転。
再度、背部スラスターを点火させ、神崎機の腹部に強く蹴り付けた事によって――決着は成される。
『しょ――勝負有り! 敗者復活戦の勝者は、新型AD兵器【雷神】を駆る、一年Aクラス・秋沢楠さんと、一年Cクラス・城坂織姫さんのペアです!!』
マスコミ用席よりシャッターが多く切られている光景が目に入り、オレと楠は視線を合わす。
コックピットハッチから姿を出して、マスコミへ向けて手を振りながら満面の笑みを浮かべる。
――雷神と言う機体は武器を持たない。故に出来る戦い方がある。
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