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第九章
兵器足りえるもの-02
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プロスパーにて与えられた自室でベッドに寝転がるオレ。
多分三十分ほどふて寝をしていたが、しかし聞こえた警報に、同じく自室で勉強をしていた楠が立ち上がり、オレへ声をかけてきた。
「海上で敵AD十二機。もしかしたら私たちが出る必要が」
「多分ない」
「え」
「通信機を貸してくれ」
机に備えてある通信機を取り、コントロールセンターと連絡を取って、現状の確認をする。
現在、ガントレット大佐率いるミサイル艦【スタウト】と、同型艦四隻、計五隻による横隊で敵AD部隊に接触間近だという。
「なら問題ない」
「ほ、ホントに?」
「ダディがスタウトに乗艦してるんだ。――戦場が海なら、ダディは無敵さ」
しかし、一応格納庫へは向かおうとオレが言うと、楠は僅かに表情をしかめて、ついてくる。
パイロットスーツを着込みながら移動するオレへ、顔なじみが何人か声をかけてくるが、全員「運がない奴らですね」とあっけらかんとしていたので、オレも「そうだな」と苦笑で返した。
「楠、最良の兵器って何だと思う?」
「え……えっと」
「どんな状況にも対応できる兵器の事」
「その点で言えば、ADじゃないかな?」
「人間だよ」
格納庫へとたどり着くと、慌てた様子の哨がこちらに駆け寄ってくる。
「姫ちゃんも出るの!?」
しかし、そんな言葉を笑うのは、元々オレがアーミー隊に所属していた時に整備を担当していたリチャードだ。
「ヒメが出撃したら敵が可哀想ですよ」
「本当にそうだな。一応整備だけは進めてくれよ、リチャード」
「アイ、ヒメのご命令ならば!」
「次言ったらケツに腕ツッコんでやるからな」
「ワオ、相変わらず怖い元隊長殿だ!」
ハハハと会話を交わした後、オレは哨から渡される整備状況表にチェックを割り振っていく。
「どういう事なのですか織姫君。貴方が出撃したら敵が可哀想というのは」
「言葉通りの意味だよ梢さん。事海上において、ダディの艦隊が負ける事なんてありえないのさ。そこにオレを含めたAD部隊を出撃させたら敵の傷口に塩を塗る事になって可哀想って事」
「それは油断ではないか?」
梢さんと清水先輩も、心配そうにオレへ意見を求めてくるが、しかし周りの整備兵達は「大丈夫大丈夫」と笑うだけだ。
「これが艦隊戦だったらオレ達ももうちょい緊張感持てるけど、ADが十二機ぽっちだろ? だったら大丈夫」
パウチに入ったクラッシュゼリーによる水分・栄養補給を忘れずにこなした所で、オレは雷神へと搭乗を開始する。
「お兄ちゃん、さっきの事だけど」
オレと同じく雷神へ搭乗した楠が、まだ心配そうに聞いてくるので「そうだな」と頷く。
「兵器ってのは、何も戦車や戦闘機、ADだけの事じゃない。
それらのシステムを動かす人間もまた、戦場では兵器なんだよ」
**
戦場が近づいている。
敵は十二機によるAD部隊で、敵機の識別も終了している。
欧州連合系テロ組織で使用される、イギリスの旧世代AD【ランドローバーX-2】だ。戦闘機より発展したADで、空戦能力自体は高めだが、すぐに次世代型【ランドローバーX-5】の登場により、テロ組織に横流しがされた機体でもある。
「質問があります。この艦に搭載されるFH-26は、総何機でしょうか、サー」
戦闘海域に近い場所ではあるものの、先ほどガントレットが「いつでも質問しろ」と言っていたので、言葉を投げる良司。
「基地防衛の機体は十機。今回搭載する機体は五機だ。防衛上の観点から、残る五機は基地にある」
「敵は十二機です。それでどう対処すると」
「リョウジ、空戦最強の兵器は何だと思う」
質問に質問を返されるとは思っていなかった良司だが、思った答えをそのまま返す。
「……ADと考えておりますが」
「ノドカ、陸戦最強の兵器は何だと思う」
「ADかなぁ」
「アキヒサ、海上・海中戦最強の兵器は何だと思う」
「それは流石に戦艦か潜水艦じゃないですかね?」
「最後以外はハズレだ」
キッパリと言い放つガントレット。しかも今回に関しては「老害の意見」とは言わずに。
「お言葉ですが、ADならば陸空共にこなす事が出来ます」
「リョウジ、それはテキストによる勉強か?」
「その通りです、サー」
「ノドカ、お前は」
「他の兵器知らないし、ADが最強じゃなきゃここまで使われないんじゃないの?」
「アキヒサ、お前はどう思う」
「状況による、って事じゃないんすか?」
「アキヒサの成績は」
「この中で一番低いですよ」
「一番わかってる奴が、一番成績の低いアキヒサとはな」
ため息をつくガントレットに、良司はついムキになって問い直す。
「失礼ですが、仰っている意味が理解しかねます、サー」
「アキヒサ、言ってみろ」
「えーっと、間違ってたらすみません。
そもそも今からやるのって陸地戦や市街地戦じゃなくて、海上でイージスシステム搭載した艦艇と、飛来するAD十二機での交戦ですよね?
イージスシステム同士が連携するデータ・リンクシステムがあるんだから、イージスシステム搭載の艦が一番強いに決まってる、って事かと」
多分三十分ほどふて寝をしていたが、しかし聞こえた警報に、同じく自室で勉強をしていた楠が立ち上がり、オレへ声をかけてきた。
「海上で敵AD十二機。もしかしたら私たちが出る必要が」
「多分ない」
「え」
「通信機を貸してくれ」
机に備えてある通信機を取り、コントロールセンターと連絡を取って、現状の確認をする。
現在、ガントレット大佐率いるミサイル艦【スタウト】と、同型艦四隻、計五隻による横隊で敵AD部隊に接触間近だという。
「なら問題ない」
「ほ、ホントに?」
「ダディがスタウトに乗艦してるんだ。――戦場が海なら、ダディは無敵さ」
しかし、一応格納庫へは向かおうとオレが言うと、楠は僅かに表情をしかめて、ついてくる。
パイロットスーツを着込みながら移動するオレへ、顔なじみが何人か声をかけてくるが、全員「運がない奴らですね」とあっけらかんとしていたので、オレも「そうだな」と苦笑で返した。
「楠、最良の兵器って何だと思う?」
「え……えっと」
「どんな状況にも対応できる兵器の事」
「その点で言えば、ADじゃないかな?」
「人間だよ」
格納庫へとたどり着くと、慌てた様子の哨がこちらに駆け寄ってくる。
「姫ちゃんも出るの!?」
しかし、そんな言葉を笑うのは、元々オレがアーミー隊に所属していた時に整備を担当していたリチャードだ。
「ヒメが出撃したら敵が可哀想ですよ」
「本当にそうだな。一応整備だけは進めてくれよ、リチャード」
「アイ、ヒメのご命令ならば!」
「次言ったらケツに腕ツッコんでやるからな」
「ワオ、相変わらず怖い元隊長殿だ!」
ハハハと会話を交わした後、オレは哨から渡される整備状況表にチェックを割り振っていく。
「どういう事なのですか織姫君。貴方が出撃したら敵が可哀想というのは」
「言葉通りの意味だよ梢さん。事海上において、ダディの艦隊が負ける事なんてありえないのさ。そこにオレを含めたAD部隊を出撃させたら敵の傷口に塩を塗る事になって可哀想って事」
「それは油断ではないか?」
梢さんと清水先輩も、心配そうにオレへ意見を求めてくるが、しかし周りの整備兵達は「大丈夫大丈夫」と笑うだけだ。
「これが艦隊戦だったらオレ達ももうちょい緊張感持てるけど、ADが十二機ぽっちだろ? だったら大丈夫」
パウチに入ったクラッシュゼリーによる水分・栄養補給を忘れずにこなした所で、オレは雷神へと搭乗を開始する。
「お兄ちゃん、さっきの事だけど」
オレと同じく雷神へ搭乗した楠が、まだ心配そうに聞いてくるので「そうだな」と頷く。
「兵器ってのは、何も戦車や戦闘機、ADだけの事じゃない。
それらのシステムを動かす人間もまた、戦場では兵器なんだよ」
**
戦場が近づいている。
敵は十二機によるAD部隊で、敵機の識別も終了している。
欧州連合系テロ組織で使用される、イギリスの旧世代AD【ランドローバーX-2】だ。戦闘機より発展したADで、空戦能力自体は高めだが、すぐに次世代型【ランドローバーX-5】の登場により、テロ組織に横流しがされた機体でもある。
「質問があります。この艦に搭載されるFH-26は、総何機でしょうか、サー」
戦闘海域に近い場所ではあるものの、先ほどガントレットが「いつでも質問しろ」と言っていたので、言葉を投げる良司。
「基地防衛の機体は十機。今回搭載する機体は五機だ。防衛上の観点から、残る五機は基地にある」
「敵は十二機です。それでどう対処すると」
「リョウジ、空戦最強の兵器は何だと思う」
質問に質問を返されるとは思っていなかった良司だが、思った答えをそのまま返す。
「……ADと考えておりますが」
「ノドカ、陸戦最強の兵器は何だと思う」
「ADかなぁ」
「アキヒサ、海上・海中戦最強の兵器は何だと思う」
「それは流石に戦艦か潜水艦じゃないですかね?」
「最後以外はハズレだ」
キッパリと言い放つガントレット。しかも今回に関しては「老害の意見」とは言わずに。
「お言葉ですが、ADならば陸空共にこなす事が出来ます」
「リョウジ、それはテキストによる勉強か?」
「その通りです、サー」
「ノドカ、お前は」
「他の兵器知らないし、ADが最強じゃなきゃここまで使われないんじゃないの?」
「アキヒサ、お前はどう思う」
「状況による、って事じゃないんすか?」
「アキヒサの成績は」
「この中で一番低いですよ」
「一番わかってる奴が、一番成績の低いアキヒサとはな」
ため息をつくガントレットに、良司はついムキになって問い直す。
「失礼ですが、仰っている意味が理解しかねます、サー」
「アキヒサ、言ってみろ」
「えーっと、間違ってたらすみません。
そもそも今からやるのって陸地戦や市街地戦じゃなくて、海上でイージスシステム搭載した艦艇と、飛来するAD十二機での交戦ですよね?
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