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1.帰国
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国際空港に到着し、ターンテーブルを回るスーツケースを回収して額の汗を拭った。
夏の季節のせいか、それとも人の行き来が多いせいなのか。空調は効いているはずなのに、日本を出る前と変わらない蒸し暑さが肌にまとわりつく。ビジネスマンや明るい髪色の観光客が、スーツケースを手に行き交っている。
充電切れのスマホにバッテリーパックを交換すると、画面には親族から着信と、理央からの着信履歴がすごいことになっていた。最後の方は、もう怒涛のように連絡が届いている。
タイミングよく鳴ったコールに、名前をタップして通話に出る。すぐに馴染の声が返ってきた。
「朔?!」
――おぉ、少しぶりに理央の声を聞いた気がする。
「おまえ、今、どこにいんの?」
しばらく連絡のつかない状態だった不義理を責めるような理央の口調に、思わず口元が緩む。
夏季休業期間が始まってすぐに、他大学で3日間集中開催される科目講座に参加することを理央に告げた。
「なんで言わなかったんだよ。言ってくれたら、俺も申し込んだのに!」
履修登録が100%丸かぶりなことを揶揄われることが多く、常に行動を共にしているような状態を脱却したいと思っていたのだ。
これでシンクロ率は95%くらいだと言い張れると思ったが、拗ねている理央を前に、あえてそれを言葉にするのは控えた。
「おまえがこういうのに興味あると思わなかったんだよ。たった3日のことだし。てか、この後、お前も地元に来るだろ?」
夏季休みの間、実家へ2週間ほど帰省するつもりだ。理央は、進学と同時に住まいを大学近くに移していたから、昨年と同じく実家へ来ないかと誘っていた。地元の友人も母も、理央の顔を見たがっている。
そう言ったのは自分なのに――
――その約束をすっぽかした。
遠くで、搭乗アナウンスが聞こえた。
夏の季節のせいか、それとも人の行き来が多いせいなのか。空調は効いているはずなのに、日本を出る前と変わらない蒸し暑さが肌にまとわりつく。ビジネスマンや明るい髪色の観光客が、スーツケースを手に行き交っている。
充電切れのスマホにバッテリーパックを交換すると、画面には親族から着信と、理央からの着信履歴がすごいことになっていた。最後の方は、もう怒涛のように連絡が届いている。
タイミングよく鳴ったコールに、名前をタップして通話に出る。すぐに馴染の声が返ってきた。
「朔?!」
――おぉ、少しぶりに理央の声を聞いた気がする。
「おまえ、今、どこにいんの?」
しばらく連絡のつかない状態だった不義理を責めるような理央の口調に、思わず口元が緩む。
夏季休業期間が始まってすぐに、他大学で3日間集中開催される科目講座に参加することを理央に告げた。
「なんで言わなかったんだよ。言ってくれたら、俺も申し込んだのに!」
履修登録が100%丸かぶりなことを揶揄われることが多く、常に行動を共にしているような状態を脱却したいと思っていたのだ。
これでシンクロ率は95%くらいだと言い張れると思ったが、拗ねている理央を前に、あえてそれを言葉にするのは控えた。
「おまえがこういうのに興味あると思わなかったんだよ。たった3日のことだし。てか、この後、お前も地元に来るだろ?」
夏季休みの間、実家へ2週間ほど帰省するつもりだ。理央は、進学と同時に住まいを大学近くに移していたから、昨年と同じく実家へ来ないかと誘っていた。地元の友人も母も、理央の顔を見たがっている。
そう言ったのは自分なのに――
――その約束をすっぽかした。
遠くで、搭乗アナウンスが聞こえた。
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