カラーコード

#error

文字の大きさ
1 / 1

カラーコード;NO

しおりを挟む
普通に生きてきた。
明るくなれば起きる、学校に行く、授業はある程度聞く、勉強も運動も程々に出来る。話す友人もそこそこに居るし、家に帰るときはいつも同じ友人と教師の愚痴なんか言いながら帰った。家につけばリビングでテレビを見て、暗くなれば夕食を食べ風呂に入って寝る。趣味も特技も特にない、というか朱に交わって赤くなっとけばいいのだから必要ない、顔もおそらく平均的だろう、友人いわく、整っているがそれ以上でも以下でもないらしい。
ここまで聞いて分かる通り、自分には特徴がない。何なら特徴が無いのが特徴みたいなものだ。だってそっちの方が生きやすいじゃないか、例えばクラスの集まりなんかで呼ばれた時面倒で行かなくても成立してしまう。寂しい奴だとか、負け惜しみだとか思われるかもしれないけど、一生絡まなければならない訳でもないし、自分の発言で何か変わる訳でもない、変ったとしてそんな責任負いたくない。つまり傍観者でありたい。傍観者である限り自分は自分の道を歩き続けることが出来る。
そう思っていた、イヤ、そう思っていられたら良かった
人というのは、考えが変わるときが絶対に来る、大きな失敗をした時、他人の言葉に深く関心を示した時、好きな人が出来た時。
あの日、桜に染まった、新しくも同じ日々の始まりの日、高校の教室であの子を見た。綺麗だと思った。凛とした表情に、髪は黒く長髪で、肌は白く、澄んだ瞳をしており、笑顔になれば周りすら色が変わった気がした。運良く彼女は自分の隣で、こちらを見てニコリと笑って何かを口にしようとした時、他の男子が来た。どうやら同じ中学の友人のようだ。話が終わった後彼女がこちらに話しかける暇なくホームルームが始まりそのまま友人と帰ってしまった。その時は特に何とも思わなかったんだ、別に今日だけしか話せない訳じゃないと思ったから。でもその日の夜に思い出したんだ、自分が傍観者である事を、そして気づいたんだ、自分が色の無い透明人間だという事に。
ものすごく嫌だったんだ、彼女を見るだけの自分が、彼女に見られない自分がものすごく嫌だったんだ。
その日自分は自分の色を作ろうと思った。誰にも染まらない自分の色を、彼女に見てもらうために、
きっとそれがすべての間違いだったのだろう、特徴が無いのが特徴、色が無いのが自分だろ、透明人間なんだから、自分ぐらい見失うなよ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...