地女に恋した俺は夢を見ていた

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第25話

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 俺は一日中PCに向かっていた。
 が、やはりサイトは見つからない。

 結局その日は諦めて、次の日現場に行くと少し騒がしい。

「何かあったんですか?」

 俺はトンさんに聞くと、

「おぅ、ギョプが仕事に来たんだってよ」

「ギョプが?」

 よく考えてみればギョプも地下の住人だ、俺たち同様戻ってきたのだろう。しかし、今の俺は少しでも地上に関しての情報が欲しかった為ギョプの元へ急いだ。

「ギョプ!」

「アニじゃん、久しぶり」

「うん、久しぶり。少し話いい?」

「俺に話が?」

「ちょっと‥‥」

 俺はギョプと人気のない所に移動した。

「お前が俺に話って珍しいな」

「今までは話す事なんてなかったからな。でも聞きたいんだよ。地上の事」

「地上って、もしかしてお前も行ってたのか?」

「そうだよ。でも急に戻って来てしまった」

「ビックリだよな!でも俺はラッキーだったけどな」

「それって捕まってたから?」

「なんで知ってんだよ?」

「地上にギョプがいるのは噂で聞いてた。だからトンさんと探す事にしたんだよ。でも奥さんにギョプは捕まってるって聞いた。しかも浮気でな」

 そう言うと、ギョプは罰が悪そうな顔をした。

「まぁお前も地上にいたなら分かるだろうけど、あっちは綺麗な人が多いだろ?それに何故か積極的でさ、男なら我慢できねぇよ?」

 ギョプもトンさんも同類だ。

「でも奥さんがいるのに」

「分かってるって、話ってそれか?説教する為にわざわざこんな所連れて来たのかよ」

 そうだった、ついイラついて責めてしまった。俺に重要なのはギョプの浮気ではなくカエさんだ。

「ギョプが知ってる地上の事を教えて欲しい」

「知ってる事って、お前もいたんなら分かるんじゃねぇの?」

「俺がいたのはほんの数日間だ。それにどうしても地上に行かないといけないんだよ」

「ほっほ~ん。さては好きな子がいるな?」

「っ!なんだよ、悪いか!」

「仕方ねぇから特別に教えてやるよ」

「何かあるのか?」

「結婚したら自由に行き来出来るんだよ」

「えっ!て事はギョプは今でも地上に行けるのか?」

「それがなぁ、俺は離婚する事になったからもう行けないようだ。後なにかやったら自由に行き来出来る事があったと思うけどそれが何だったかは覚えてねぇんだよな」

「なんだよそれ」

 それでは俺が地上に行ける可能性はない。

「あっ、でも捕まってる時面白い話聞いたな」

「どんな?」

「一緒に入ってたやつが、捕まった理由が地下に行った、からなんだってよ」

「それが?」

「何で捕まったかって?そいつは地上の人間なんだよ。でもどこから聞いたのか地下に行く通路があるって言ってそこを通ってる時に捕まったらしいぞ」

「って事は地下と地上を繋ぐ通路があるってこと?」

「まぁそいつの話を鵜呑みにしてるわけじゃねぇけど、地下があるのは事実だし、現に捕まってるって事はそれ以上行かれたら困るわけだろ?」

「希望はあるって事か」

「でもその通路ってのを探すのは簡単じゃねぇと思うけど」

「いや、それを聞けただけでも俺にとっては道が少し開けたようなもんだよ!」

「あ、そういえばこんな事も言ってたな。秘密基地は秘密基地って」

「何かの暗号か?」

「わかんねぇけど、それで通路を見つけたらしい。まあ実際その通路が地下に繋がってたかどうかは謎のままだけどよ」

 秘密基地は秘密基地。

 俺は頭の中でそれを何度も繰り返していた。何かの手がかりになるはずだ。

「とにかくありがとう。何とかその通路とやらを探してみるよ」

「せいぜい頑張れよ」

 俺はすぐにその通路を探す事にした。でも手がかりはそいつが言ってた秘密基地は秘密基地、だけだ。どこからどうやって探せば‥‥。

「おい、アニどこ行ってたんだよ」

「そうだ!トンさん、これ知ってます?」

「何だよ急に」

「秘密基地は秘密基地」

「は?なんだそれ」

「これを聞いて何か思い当たる節とかないですか?」

「秘密基地なんだろ、子供の頃によく作ってたやつだろ?それがどうしたんだよ」

「子供の頃作ってた‥‥」

 俺は作ってない。子供の頃から勉強ばっかりしていたしそんな遊びは大人数でやるものだと思っていたから友達の少ない俺には無縁だった。

「なんだよ?お前秘密基地も作った事ねぇのか?」

「‥‥はい」

「しっかたねぇな!俺が秘密基地に使ってた所見せてやるから着いてこいよ!」

「はい」

 トンさんに言われ、着いていく。

「ここ、ここ!懐っかしーなぁ」

 そこは絶対誰も来ないであろう入り組んでいて、ライトも届かないような場所だった。

「暗くて何も見えないんですけど」

「その内目が慣れるさ!よしよし埋まってないみたいだ」

 しばらくすると本当に目も慣れてきて、何やら見えてきた。

 そこには、コンクリートの壁に大きな穴があった。高さは約1メートル、横幅は30センチと言った所だろう。どうしてこんな所に穴があるのを見つけたのか聞くと、実はトンさんが小さい頃誰も来ないからと、秘密基地にしていた場所らしい。

 確かに普通に生活していればくる事はまずないような場所だ。

「トンさんありがとう」

「なんでお礼なんか」

「俺、行ってきます」

「おいおい、まさかその穴に入るんじゃねぇだろうな?」

「そのまさかですよ」

「入っても何もねぇぞ?ひたすら道が続いてるだけだ。俺もどこまで続いてるのか行ってみた事あるけどよ、何もなさすぎて怖くなっちまって帰ってきたぐらいだ。やめとけ」

 可能性は十分にある。
 トンさんが行った場所よりもっと先には地上に繋がってるかもしれない。

「心配しないで下さい。興味本位ですから、しばらくしたら戻りますよ」

「本当か?まぁそのうち飽きるだろうしな。気をつけて行けよ」

「行ってきます」

 俺は意を決してその穴に入る事に。地上に出れたとしたら帰ってくるつもりはない。カエさんと幸せになるんだ。いや、カエさんを幸せにするんだ。

 初めはしゃがみながら入る。入り口はとても狭く大人の俺がギリギリ通れるくらいの狭さだ。しかし狭いのは入り口だけで、すぐに立ち上がれるほど広くなったが、真っ暗で何も見えない、壁に手を当てながら慎重に進んでいく。

 どのくらい進んだのだろう。それと、進んでいる時に気付いたが、道がずっと平坦のままだった。俺はてっきり地上に上がるなら坂になってるとばかり。不安になりつつも進むしかない。これ本当に地上に行けるのか?

 確信はない、でも行くしかない。
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