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気付けない気持ち
しおりを挟む少し朝晩が寒くなってきた11月頃。
「おはよう」
「おう、おはよ」
現在高校2年の井戸田まい。
そして隣にいるのが幼馴染の健。一つ年上で同じ高校に通っている。昔から一緒に登校するのが日課だ。
「一緒にこうやって学校行くのもあとすこしだね」
少し寂しそうにまいは言った。
「俺はやっと保護者役を卒業出来るんだな」
まいは小さい頃男子にいじめられているところをいつも健に助けられていた。そうやって守ってもらいながら大きくなったのだ。
学校までは歩いて30分程の所にある。下駄箱で別れそれぞれ教室に向かう。
「おはよう!」
元気に挨拶してくれたのは、中学からの親友、かれん。学校でも有名な美人だ。同い年だけど、お姉さんみたいな存在だ。
「ところで、かれんの彼氏って年上だよね?」
「そうだけど、まいはまだ彼氏出来たことないんだっけ?」
「もー、言わせないでよ、分かってるくせに!」
「ごめんごめん、彼に誰かいい人いないか紹介してもらおうか?」
「遠慮しとくわ、私人見知りだから」
「そんなん言ってるから出来ないんだよ、自分で待ってたって出会いなんてないよ?」
「そんな事言われてもなー」
「気付いてないだけで、意外と近くにいるかもよ?」
「近くに?知り合いの男なんて健ぐらいしかいないよ」
「あれは、まいの事完全に妹扱いしてるもんねー」
「女として見られてない、いや見られたくもないわ、あんなやつ!いつも助けてくれたと思えば『まい、とろいからなー、俺がいなくなったらどうするつもりだよ』って保護者ぶって気に入らない」
2人はいつも恋愛の話題で持ちきりだ。
授業も終わり、門の前でかれんと別れる。
「じゃあね、かれん」
「まいも、バイト頑張って!」
まいはいつも電車で隣町のファミレスまでアルバイトをしに行っている。
バイトは主婦の人から大学生までそれぞれだが、唯一よく喋るのが高校1年生の三輪春人だ。年下とは思えない程、しっかりしていてテキパキと動く真面目な子だ。
10時になり、2人揃って上がる。
「今日もよく働いたね」
ニコニコしながら、春人が話しかけてくる。
「そうだね、お疲れ様」
そう言って、2人は同じ方向に歩いて行く。
ファミレスから駅までは15分程の距離だがお互い電車で来てる為、駅までは一緒に帰っている。
「そう言えば、春人君って私と乗る電車逆方面だよね」
「そうだよ」
「それでいつも駅で時間潰してるの?」
「うん」
少し戸惑いながら春人は答える。
春人には夢があるらしく、その為にバイトも掛け持ちでしてるとか。いつも色んな話をしながら駅まで歩く為自然と仲良くなった。話をしていると駅までの時間があっという間に過ぎていった。
「じゃあ、また明日ね!」
「うん、気を付けて!」
改札口を通るまいを見つめながら手を振った。
「よし、帰ろ」
春人はとぼとぼどこかに歩いて行った。
(この時間はいつも混んでるなぁ)
まいは、電車に揺られながら地元の駅まで帰って来た。駅から自宅まで歩いていたその時。
ジャリッ。
(ん?誰かいた?)
物音がした方を振り向いてみるも誰もいない。
(この道街灯少なくて暗いんだよなぁ)
まいは少し怖くなって家まで早歩きで帰った。
「えー!まだあげてるの?!」
金曜の昼休み、かれんは少し呆れながら言った。
「やめるタイミングが分からなくてさ」
まいと幼馴染の健は親同士も仲が良かった事もあり、毎年お互いの誕生日会をどちらかの家でしている。健の誕生日は12月16日だ。
「だからお願い!明日買い物付き合って?」
まいはかれんに買い物に付き合ってもらえるようお願いした。
「まぁ、いいけど。その後カラオケね?」
「オッケー!ありがとう!」
翌日まいとかれんはモールで待ち合わせて買い物に向かった。
「そろそろネタ尽きてきたよ、寒い時期だからマフラー、手袋、ニット帽」
マフラーを手に取りながらまいは言った。
「じゃあ方向変えて、CDとかは?好きなアーティストとか知らないの?」
「知ってる、知ってる!そういえば最近アルバム出したんだ!私も好きだから借りれるし!CDにしよーっと」
「それ目的でしょ」
2人は笑いながらCDショップに向かう。
「あった!」
ショップにデカデカとポスターが貼ってあるアーティストはメジャーデビューしてまだ1年ちょっとにもかかわらず、すごい人気だ。
無事プレゼントも買えて、2人はカラオケに向かう。
「健君に彼女出来たら、流石に誕生日会とかしないよね?」
「そうだな、でもお母さんが健の事本当の息子みたいに思ってるからなぁ」
「彼女出来たら、その子は苦労するな」
かれんは、彼女目線で語った。
「まぁ、その時はその時でしょ!」
まいは、深く考えるのが苦手で目の前の事にいっぱいいっぱいなのだ。
カラオケも盛り上がり、帰る頃には外は真っ暗になっていた。
「今日はありがとう!」
「時間も遅いし気を付けるんだよ!」
2人はそれぞれ家路に就いた。
(おーめっちゃ寒いじゃん)
ブルブル震えながら足早に歩いていると、
ジャリッ。
(!)
まただ、振り向くも誰もいない。
(そういえば、最近誰かにつけられてるのかな)
怖くなったまいは一心不乱に走った。
角を曲がった瞬間誰かと勢いよくぶつかってしまった。
「いてて‥‥すみません。暗くて見えなくて」
尻餅をつき、謝りながら相手の方を見ると、そこに立っていたのは健だった。
「なにやってんの?」
ポカンとするまいに健はそう言いながら手を差し出した。
「え‥‥ありがと」
まいは健の手を掴み立ち上がり2人は近くのベンチに座った。そして、まいは最近自分の身に起きている事を相談した。実はつけられてる事、バイト中や電車に乗ってる時に視線を感じたりしていた事。
「なんで早く言わないんだよ!」
健は少し怒っている。
「それでバイトって何時上がり?」
「10時まで」
「おせーな」
健は何かを決意したかのように立ち上がり言った。
「仕方ねーから暫くは駅まで迎えに行ってやるよ」
「えっ?でも健もバイトあるでしょ?」
「前のバイトは辞めたから大丈夫」
「なんで辞めたの?」
「受験もあるし就職するかもしれねーからバイトしてる暇ねんだよ」
「素直にありがとうと言えないね、忙しいのにごめん」
「そのくらいの時間はあるし、歩くのも気分転換になるから一石二鳥だな!ハハ!」
(一石二鳥?助かるのは私のほうなんだけどな)
まいは、不思議に思いながらも深く捉えず、少し安心していた。
翌週教室にて。
「そんな事があったんだ、怖いね。私はいつも彼氏に迎えに来てもらうからそんな経験ないけど」
「彼氏いる自慢ですか」
「てか健君ってなんでそんなにあんたに優しいのかね?」
「妹みたいだから?」
「まぁでも女の子が困ってたら助けるよね、夜道は危ないもん」
「私も彼氏がいたら甘えられるのにな」
「妄想する前に好きな人も出来ないんじゃ程遠いね」
「出会いがないからね」
「恋人いない人ってみんなそれ言うけど、そりゃ待ってるだけじゃこないよ、自分から向かって行かないと」
「おー経験者は語るだね。ハハハ。」
その日もバイトが終わりいつも通り春人と駅まで歩く。
「最近不審者多いみたいだから気を付けてね」
「ありがとう」
春人はまいの背中を見つめながら家路に就いた。
地元の駅に着き、キョロキョロするまい。
(あっ本当にいる!)
柵に腰掛けている健の姿を見つけて、無邪気に手を振るまい。
(のんきなやつだな、誰の為だと思ってんだよ)
健は少しため息をつく。
駆け寄って来たまいが一言。
「本当に来てくれたんだ!」
「早く帰るぞ」
健はそっけなく答えて、そそくさと歩く。
「待ってよー」
小走りでまいもついて行く。
「今日は気配感じない、やっぱり2人だと安心だね」
「ストーカーとかだったら危ないから気抜くなよ」
「はい」
「ったく」
あっという間に家まで着いてしまった。
「ありがとね!」
「おう」
2人はそう言葉を交わすと、隣の家に入っていった。健とまいの家は同じマンションのそれも隣の家なのだ。
健はソファに腰掛けて誰かに電話している。
プルルルルル
「もしもし、先輩少し調べて欲しい事があるんですけど。はい、お願いします」
しばらく健に送ってもらう日々が続いたある日。
「えーー!私の事心配じゃないの?」
学校の廊下で話す健とまい。
「まぁそうゆう事だから」
健はすぐ教室に戻って行ってしまった。
健が今日は迎えに行けないと言ってきたのだ。まいは気分が落ち込んだままバイトに向かう。
バイト中もそれが顔に出ていたようで、
「調子悪い?」
春人が心配そうに言ってきた。
「あっ、なんでもないよ!」
なぜこんなに落ち込んでるのかと思いながら気を取り直してバイトに励むまい。
春人と駅で別れて電車に揺られ地元に着くもやはり健の姿はない。
(久しぶりに1人だ。でもきっと大丈夫だよね)
いつもの道を歩いていると、いきなりガシッと誰かに肩を掴まれた。
「ひゃっ!」
心臓が止まりそうな程驚いたまいが恐る恐る振り向くと、そこには中年の男性が立っていた。
まいにはその人物に心当たりがあった。
「あなた‥‥うちの店の常連さんですよね」
まいが震えた声でそう言うと。客はニヤニヤしながら答えた。
「ずっと君の事可愛いと思ってて、いつも見守っててあげたんだよ」
まいは全身に鳥肌が立つのを感じた。
「もっと仲良くなりたいと思ってずっとチャンスを伺ってたんだよ」
(この人の視線だったんだ)
まいは恐怖で体が固まっていた。
「僕と付き合ってください!」
客がまいに手を差し伸べる。
まいは小さい声で言った。
「‥‥ごめんなさい」
すると客はさっきまでのニヤニヤしていた表情がガラッと変わり、今度はまいを睨みつけながら言った。
「えっどうしてダメなのかな?僕はずっと君の為に店に通ってあげてたし、わざわざ家から遠いのにここまで来てたんだよ」
怯えるまいに客が近づいてこようとしたその時。
ガシッ、健が客の肩を掴んだ。
「何だお前、あっ最近まいちゃんと帰ってた野郎だな!家まで上がり込みやがって!」
客は大声で怒鳴った。
「警察呼んでるから大人しく待ってろ」
健は逃げようとする客を押さえつけ警察に渡す。
「また店に行くからねー」
警察に連行されながら不気味に笑う客。
「どうしよう‥‥また来るって」
頭が真っ白になるまい。
「大丈夫、あいつ全科があって次やったら当分出て来れないみたいだから」
「てかなんで分かったの?しかもなんでいるの?」
「ちょっと心配になって知り合いに調べてもらった、詳しいことは言えねーけど、これで一件落着だろ?」
「まぁ‥‥そぉだね。でも怖かったー」
「帰るか」
「足まだ震えてる」
まいの足がガクガクして動けないでいたその時。
「よっこらしょ。」
健がまいをひょいっと抱き抱えた。
(えっ?)
一瞬何が起こったか分からなかったまいだが健の顔がすごく近くにある。お姫様抱っこされていたのだ。
「今日だけ特別だから」
健はなんともないような顔で言った。
胸がキュンとするのを感じ、戸惑ってるまいに健は言った。
「なんか言えよ!」
「あり が とう」
不自然な返事をするまい。
しばらく無言が続き、マンションの下まで帰ってきた。
「もう大丈夫だから」
まいはその頃には歩けるようになっていた。
エレベーターの中でも無言が続く。
(なんか気まずいな、健はずっと真顔だし)
「じゃあな」
「うん」
そう返事をするのが精一杯だった。
お風呂に直行し、熱いシャワーを浴びながらさっきの出来事を改めて思い出すまい。恥ずかしくなり、ストーカーの事などなかったかのように健の事ばかり考えてしまう。
(ちゃんとお礼を言わないと)
お風呂から上がると髪も乾かさずにベットに座りスマホを手に持つ。
《今日はありがとう》
すぐ既読になり返事が来る。
《おう》
いつも通りのそっけない返事だ。
翌日、かれんに昨夜の事を話す。
「そんなドラマみたいな事ある?もしかしてまた妄想?」
「どうしよう、朝もなんか気まずくてさ、1人で早く来ちゃった」
かれんの話も聞かずに続ける。
「絶対意識してるって思われてるよね?」
「いや、意識しすぎでしょ」
呆れ気味に答えるかれん。
「そうだよね、平常心平常心」
その時教室のドアが開き、そこには健が立っていた。
「おい!まい!」
健は少し大きな声でまいを呼ぶ。
(ビクッ!)
びっくりするまい。
「噂をすればだねー」
かれんが茶化すように言う。
「ちょっとこい」
まいは健に呼ばれて屋上まで上がる。
「あのな、あからさまに避けすぎだし、昨日もずっと顔赤かったし、俺がお前のこと助けたのも抱えて帰ったのも、変な意味はねーから!ただお前とは幼馴染だし一応女の子だから。変な妄想すんなよ、バカ!」
健は吐き出すように言った。
「バ、バカじゃないし、そりゃあんないきなりほいっと抱き抱えられたらドキってするに決まってんじゃん!あんたみたいにチャラくて経験豊富じゃないんだから!」
「‥‥‥プッ!ハハハー!」
健は今まで我慢してたかのように笑い出す。
「何笑ってんのよ!」
「いや、あんまり本気でキレるから面白くて!ハハハ!」
「もームカつく!」
まいは、ほっぺを膨らませて怒る。
「まぁそおゆうことだから明日は勝手に早く行くなよー。じゃっ!」
(なんか気が抜けちゃった、一晩中モヤモヤしてたのがバカみたい、あっほんとにバカじゃん)
まいは先に戻った健の後を追う様にそそくさと教室に帰る。
「なんだった?」
かれんが前のめりで聞いてきた。
まいは屋上での事を話した。
「ふーん、そうなんだ」
かれんはさっき教室の前を通る健を見て顔がすごくニヤけていたのを思い出していた。
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